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法人営業って実は<売らないこと>なんです

法人営業のコツ、というマガジンなのに、のっけから「売らない」という記事って何よって話ですが(笑)、本当です。

私は自分自身でも長く、主に形のないもの(いわゆる無形商材というやつですね)を営業し、今でも売るということに関わっているのですが、こと法人営業に関しては、意外かもしれませんが「売らないこと」が売上につながるケースがよくあります。というか、むしろ売らないことが法人営業のコツの一つだと思っています。

そんなわけあるかいっ!って思った方。
そりゃそうですよね。

どういうことか、ちゃんと説明しますね。

営業という職業は、商品やサービスを売ることが仕事です。これも当たり前ですが、前提として共有しておきます。
だから、お客様が個人だろうと法人だろうと、自分が扱う商品・サービスを売らなくてはいけません。

個人のお客様の場合、その商品やサービスを買うかどうか、契約するかどうかはそのお客様が決めることです。(細かいことを言えば、大きな買い物の場合は家族と相談して、ということもあるかもしれませんが、基本その人が買うかどうかということにかかってきます。)その人が納得し、買うと決めれば買ってくれます。それに、自分からその商品を探している場合は、予算や必要としているスペックが揃っていれば、多くの場合買ってくれるでしょう。

でも、法人の場合は個人よりも、悩みや課題、ニーズが個人よりもずっと複雑です。この商品・サービスが欲しいといっていても、本当にそれがその企業にとって必要なものなのかどうかわからないことも多いです。

例えば、あなたがシステム会社の営業担当もしくはSEだとしましょう。
ある日、新しく社内システムの構築をしたいという問い合わせを取引先から受けたとします。打ち合わせでお客様から開発の目的や要望を聞いたとき、要望の中のひとつに機能として追加は可能だけれど、開発の目的や今後のことを考えるとその機能は本当は必要ない、ということがわかりました。
その時、あなたはそのことをお客様にきちんと説明し、必要ない機能の開発を“売らない”という選択をすることができますか?

この“売らない”選択をした場合、目先の売上は減るかもしれません。
ですが、取引先の担当者は、あなたのことをどう感じるでしょうか。自分たちの利益だけではなく、本当に自分たちのことを考えてくれる、信頼できる人だと思ってくれるはずです。
一度築いた信頼関係は、あなたが誠実であり、信頼できる人であり続ける限り、崩れることはありません。
そして、きっと本当にその機能が必要になった時、またあなたの会社へ依頼をしてくれるでしょう。それだけではなく、他の部署やグループ会社を紹介してくれるかもしれません。
あなたの行動が、ファンを作り、また新しいお客様(ファン)を連れてきてくれるのです。

私の尊敬する方に、保険の営業でNo.1になった方がいます。
その方は、お客様と信頼関係を築き、あなたの会社の保険に切り替えたいと言っていただいたにも関わらず、現在の保険の契約内容が十分であることを理由に、自分の会社の保険を契約しなかったそうです。
お客様は、その誠意ある対応と人柄に更にほれ込み、何人もお客様をご紹介してくださったそうです。そして、それは今も続いていると。

この方の話は個人の方への営業の話ですが、法人営業だとしても同じことです。特に法人営業では、ファンをつくることで、先ほどのたとえ話のように案件の規模が大きくなったり、リピートになる確率がぐっと上がりますから、個人向けの営業よりも、反響も大きくなります。

“売らない”選択が、目の前のお客様によい影響を与え、あなたのファンを増やしてくれるということなのです。


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