十二月歌舞伎『天守物語』を観た記

『マハーバーラタ戦記』を観てからすっかり歌舞伎にハマっています。
十二月歌舞伎の二部と三部の感想です。

爪王・俵星玄蕃

Xで『爪王』の前評判を見て楽しみにチケットをとった第二部。
短い！もっとみたい！と思う楽しい演目でした。
ストーリーもわかりやすいし、動物らしさもありかつ激しい振りが続いて、自然と拳を握ってしまう。

『マハーバーラタ戦記』から彦三郎さんが気になりチケットをとったのに、彦三郎さんだと全くわからない、『マハーバーラタ戦記』と全く違う演技にまた彦三郎さんを観たい！とオタク心が動かされました・・

ノーマークで観た『俵星玄蕃』、これがまた良かった・・・！
今まで赤穂浪士の演目にそこまで感銘を受けたことがなかったのに、松緑さんの語り口、坂東亀蔵さんの立ち居振舞い、お芝居全体のすっきりした感じがとても沁みて、泣きそうになりました笑

猩々・天守物語

『猩々』で、松緑さんと勘九郎さんがまた観れて、しかも踊りまくっており、第二部で注目した演者さんの凄さをすぐに再確認でき、拍手拍手でした。
松緑さんは腰をしっかり落とした、重心が下にあって芯が全くぶれない動き、勘九郎さんは松緑さんに比べて重心は上にあるけれど、跳躍やスピード感など力強い筋力に裏付けされた動き、と思いました。
どちらもすごい！！
膝蓋骨骨折中の身からすると、日本舞踊の膝の曲げ伸ばしや蹲踞の姿勢、床に膝を打ち付ける動作は、恐ろしくて笑
早くあんな動きができるくらい筋力を戻したいところ。

メインイベント『天守物語』。
ただただ美しいものを浴びたくて、このチケット（と休暇）をとりました。

期待が大きかったせいか、
序盤はセリフが空を舞っているような物足りなさも少し感じたり、
いちばん有名な「帰したくなくなった」のセリフのときに客席から笑い声が起きたことにムッとしたり、
静かなシーンでの客席の物音（携帯・・・）に興ざめしたりはありましたが、
まさか勘九郎さんと思わなかった老婆の歌舞伎らしい演出や、
まさか獅童さんの怖可愛い妖怪そぶりや、
獅子舞の大変な演出や、
虎之介さんのまっすぐ爽やかな演じ方や、
そして何より、七之助さんと玉三郎さんの美しさ、可愛らしさが。
観にきてよかったー！！と満足ホクホクでした。

七之助さんは、爪王に続いて凛とした美しさや気高さ、強さが断然格好良かった・・・
玉之助さんは語るに及ばず。世界観をつくりあげられていました。

とっても楽しかったので、しばらくは歌舞伎を追いかけそうです。