10.ドゥルヨーダナ誕生
長男ドゥルタラーシュトラの妻ガーンダーリー。次男にして王のパーンドゥの妻はクンティ―とマードゥリー姫。姫たちの中で最初に妊娠したのは、ガーンダーリーでした。
以前、賢者ヴャーサが、
「私とアンビカーとの間にできた子供は100人の王子の父となるでしょう」
と予言していたのを覚えているでしょうか。
その子供というのがドゥルタラーシュトラなわけですから、そのお嫁さんになったガーンダーリーは子が宿ったとわかるや、
「ついに私に100人の子供ができるわ!」と大喜びです。
ガーンダーリーは、夫であるドゥルタラーシュトラに忠実な女性だったので、彼のためにも早く世継ぎを産んで差し上げなければ、という思いで必死だったのです。
しかし、2年経ってもまだお腹の中の子供は生まれてきません。
ガーンダーリーが一番最初に身ごもったはずなのに、
あまりにも妊娠期間が長かったせいで、
先にクンティーが子供を産んでしまいました。(のちに出てきますがその子はユディシュティラです)
それを知ったガーンダーリーは、嫉妬で気が狂いそうになってしまい、イライラが募って思わず自分のお腹を叩きました。するとお腹から大きな肉の塊が出てきてしまったではありませんか。慌てたガーンダーリーでしたが、賢者ヴャーサが現れてそれを101個に分けて瓶に入れました。
「ガーンダーリー妃よ、心配しなくても大丈夫です。しばらくこのままにしておきなさい。子供たちは無事に生まれるでしょう」
とヴャーサは彼女を慰めました。
不安でいっぱいだったガーンダーリーでしたが、一か月もすると瓶から子供たちが生まれはじめました。最初に生まれたのは、長男のドゥルヨーダナ。
そのあと次々に子供たちが元気よく誕生しました。
王の兄の息子が生まれたのですから、お祝いムード一色になってもよいとこと。けれども残念なことにドゥルヨーダナが生まれた日は、鳥達がわめき叫び獣達は喉を鳴らし、国中の至る所に不吉な予兆が現れました。
賢者ヴャーサも、ビーシュマもヴィドゥラも、ドゥルヨーダナを見た全てのものたちは、
「この子は非常に悪い運命を背負っている!」と悟ります。
賢者たち三人はドゥルタラーシュトラとガーンダーリーに、この子は生かしておくべきではないと説得を試みますが、自分の子供に深い愛着を持っていた二人は頑としてこの意見を聞き入れませんでした。
こうして、ドゥルタラーシュトラの世継ぎとして、100人王子が誕生したのです。
(ちなみに王女も一人生まれています。なので全部で100王子1王女。)
後に、パーンドゥの子供たちと区別するときに、100人王子たちのことをカウラヴァ(クル一族の子供たちという意)と呼びます。
《ガネーシャのひとりごと》
サンスクリット語ではね、DrとかDuって音から始まるとあんまりよくない意味を表すことが多いんだって。
ドゥルタラーシュトラもドゥルヨーダナもそれを暗示しているんです。
あとね、なんで100人かって言うと、これも混乱の象徴なの。
その混乱を産んだガーンダーリーは、自分の息子たちが不幸の道を辿ることを目撃するように定められた人。
もしも宇宙の調和を見定めることができたら、ガーンダーリーだって行く先は変えられたんだけどね・・・うふふ。
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