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8.ドゥルタラーシュトラの結婚

ドゥルタラーシュトラとパーンドゥ、そしてヴィドゥラが生まれて数年経ちました。
三人が育てば育つほど、王家は繁栄の一途をたどります。
作物は育ち、雨は豊かに降る。

叔父であるビーシュマはこの三人に心血を注いで、指導に当たりました。
すべてをつぎ込んだといっていいでしょう。
子供たちは、ビーシュマを筆頭に沢山の先生たちから、クシャットリヤ(王族・武人階級)であるために必要なありとあらゆる学問を学びました。

体術においては、弓や馬の扱い、こん棒や剣の扱いから、象を操るスキル。学問においては、政治や歴史、仔細の渡るヴェーダなどすべての分野を習得しました。

長男であるドゥルタラーシュトラは、三人の王家の息子たちの中でも特に信じられないほどのパワーを身に着けました。次男のパーンドゥは弓を射ることに卓越していましたし、ヴィドゥラはダルマ(宇宙の法則・秩序)を理解し、法に優れていたのです。
3人劣らず素晴らしい素材をそれぞれもっていましたが、王位を継ぐのは次男パーンドゥでした。

なぜならドゥルタラーシュトラは目が見えなかったから。
(ヴィドゥラはメイドの子のため、賢いが王位は継げない)。

《ガネーシャのひとりごと》
みんなもう完全に忘れていると思うけど、シャンタヌは既に亡くなっているんです。王子たちの義理のお父さんね。だからほんと、世継ぎ問題は急務だったんだよね。覚えてたって?お、やるじゃない!


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三人がすくすくと成長して、悩むのはお嫁さん探し。ビーシュマは彼らにとって父親以上の存在になっていましたから、早速張り切って三人の奥さんを探しました。良い姫がいないかと情報取得に奔走します。

いずれドゥルタラーシュトラとパーンドゥの息子たちが、バーラタ史上に名を残すような大戦争を引き起こすということも知らずに・・・

しばらくしてビーシュマは東西に広がるたくさんの国々の中から、ガンダーラ国スバラ王の娘、ガーンダーリーを見つけ、ドゥルタラーシュトラのお嫁さん候補として推薦しました。
ガーンダーリーは、シヴァ神を崇拝しているとっても真面目な王女。スバラ王は、娘の未来の婿が盲目であることを心配しますが、ガーンダーリーは、
「あの方の目が見えないのであれば、あたくしも一生目を使わず、何も見ませんから!!」と宣言し、その日以来、常に目隠しをして過ごすのです。

そこまでの覚悟があるのであれば、とスバラ王は彼女をドゥルタラーシュトラの元へ嫁がす決意をします。
ただし、ガーンダーリーと共に、ガーンダーリーの兄であるシャクニも付き添いとしてクル族の元に送りました。(このシャクニ、のちのち出てくるから少し頭の片隅に残しておいてほしい)


《ガネーシャのひとりごと》
え?そっちですか?

「私があなたの目となり支えます」的な方向ではなくて、「一緒に見ない」方選んじゃいました?って皆さん思った?いや~思うよね、思っちゃうよね。
でも、ガーンダーリーのこの「見ない生き方」チョイスに関してはヴェーダーンタ的には学びが多いところ。実はここに「ダルマ(宇宙の秩序に調和すること)とは?」という本質が、隠されているんだ。

マハーバーラタって一見ただの会話に見えても、決して無駄なことがひとつもないんです。

ヴャーサも、なかなかすごいよね。


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