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【とある研究者の自己紹介】ママ研究者としての生活

こんにちは。いつもは統計言語Rの勉強記録をnoteに書いている、生命科学系研究者のえいこです。

今までずっと自己紹介的なものをちゃんとしていなかったなーとふと思ったのでnote開始3ヶ月にして、「えいこ」とは何者か?を少し書いておきます。

最初の投稿でも一応自己紹介みたいなものは軽くしていました。

この投稿ではどちらかというと、これからどんなnoteにしていくかを書いていて、自分が何者なのか?をあまり書いていませんでした。

今回の記事で書くこと、

・生命科学系・生物学系の研究といってもかなり広い分野に渡るので、個人が特定去れない程度にどんな研究をしているのか?

・今は研究+子育ての二本立ての生活ってどんな感じか?(私の個人的な意見も交えながら)

どんな研究をしているの?

生命科学系の分野って一般的に見たらどんなことをしていると思われているのでしょうか?

分野の分け方は色々あると思うのですが...生物の大きな分類はやはり、リンネを思い浮かべる人が多いのでは無いでしょうか?

リンネといえば、「界門綱目科属種」。大きい分類は動物界と植物界と菌界ですよね?

で、どの界の研究をしているかというと、「動物界」。時々研究ツールとして「菌界(大腸菌)」にもお世話になりますが、研究対象は「動物界」。

この分類は大きすぎました...次に門は「脊椎動物門」。線虫とかショウジョウバエの研究ではありません。

綱は「ほ乳綱」。ゼブラフィッシュの研究ではありません。これ以上はあまり絞り込めないのでこの辺にしておきます。

ざっくりいうと、ネズミさんを使ったヒトの研究をしています。

ではどんな研究かというと...ヒトの病気の研究。

病気っていっても、がんとか、精神疾患とか色々あるんですが...遺伝子の病気を主に対象として研究しています。

私たちを構成している細胞一つ一つに遺伝情報(DNA)が「核」の中に収まっています。

このDNAは「生物の設計図」とも呼ばれることがあり、私たちを作るのにとても大事なのです。

でも私たちの全てを作るためのものなので、ものすごい情報量なのです。

情報を写しとる時に、ちょっとした間違いが起こることはそんなにおかしく無いことなのですが...とっても大事な部分に間違いが起こってしまうと、それが病気として現れてきます。
(この遺伝子レベルの間違いを「変異」と言います)

変異はかなりの確率で起こってしまいますが、ヒトは修復機構を持っていて、「間違ってしまった!」という時には割とちゃんと治ります。

でも修復機構がうまく働かないことが稀にあって、変異が保存されてしまい、先祖代々DNAにその変異が受け継がれてしまうことがあるのです。
これを、遺伝病と呼ぶこともあります。

例えば、高校生物で「遺伝」の授業でよく取り上げられる「血友病」も遺伝子の変異による疾患です。

「血友病」は血液を固めるために大事なタンパク質を作っているDNAに変異が入ってしまっています。そのタンパク質が作られなくなり、「血液が固まりにくい」という病気(疾患)となって表に現れます。

「遺伝子の間違いによって発症する病気をどうやって治療すれば良いのか?」

を今、研究しています。

治療するためにできること代表的なことは...
・患者さんの症状を和らげる(Quality Of Life を保つ)
・変異の入っていないDNAを外から入れてあげる
・遺伝子を編集する材料を入れて、元に戻す(いわゆるゲノム編集と呼ばれる技術を使います)
・異常な組織を取り除いて実験室で作った組織を移植する(再生医療と呼ばれます)
などなど。

こういった治療研究の一部に携わって、日々研究をしているわけです。

治療研究というと、患者さんに接して、製薬企業と一緒に治験をするという華々しいイメージが強いです。

が、私はどちらかというと、基礎の「キ」という部分の研究をしていて、遺伝子がなくなることでどういうことが起きるのか?病気はどうして起こるのか?をじみーに研究しているのです。

研究+子育ての二本立ての生活ってどんな感じか?

正直言って、大変です。

朝、起きて朝ごはんを食べる(夫は私よりも早く出勤します)
子どもたちが起きてくる→朝ごはんを食べる(30分くらいかかる...)
着替えて、保育園の準備をする→出発!
保育園に子どもたちを預けて(時々、「ママ行かないでー」言われてしまいます...)研究室へ... (ここまでで相当な疲労感)

研究室で実験に勤しみます。(時々(結構な頻度で)PIがチクチクいじめてくる)
(進捗報告の準備、論文を読む、執筆作業などは意外と時間がかかるので、時間があっという間に過ぎていきます)

17時に研究室を出て、保育園にお迎え
1時間くらいかかって帰宅。子どもたちの面倒を見ながら夕飯を作る。
夫が帰ってくる。
お風呂に入って、寝かしつけ。(一緒に寝る)

とまぁ、一人で研究のことをじっくり考える時間なんてありません。

どうしても「研究も大好き」「子育てもしたい」という2つの感情が入り混じります。

だけど、優先順位をつけてはっきりと「どちらか」に重心をきちんと乗せることが大切だと思います。

私個人の考えでは、子育ては今の時期しかできないので、かなり子育ての方に比重を乗せている働き方をしています。

(子どもの“人”としての基礎は小学校就学前にある程度作られるのでは?と思っているので、その間にきちんと子どもたちと向き合おうと考えているのです。)

ただ研究の世界にいる人は、研究が大好きでこの世界に入っているので、子育てに比重を大きくする意味を理解してくれない人は結構います。(基本的に男性社会で、「子育て」というものがそもそもわからない人が多いので)

その中でも、きちんと自分が大事なものを見極めて仕事することが大事なのではないでしょうか。(「研究」に比重を置く働き方だってアリだと思います。かなりパートナーの協力が必要なので話し合うことが大切です。)

「治療研究」に携わっているので、常に患者さんの治療を考えることも大切です。がそれは、もういつでも研究ができる人に任せてしまいましょう。

「研究はいつでもできる。」これが,私の考え方です。

今は、子どもたちとじっくり向き合いながら、チョコチョコ研究しているというイメージで日々を過ごしています。


今度、機会を見つけて「なぜ研究の道に入ったのか?」を書いてみたいと思います。

それでは、また!

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最後までお読みいただきありがとうございます。よろしければ「スキ」していただけると嬉しいです。 いただいたサポートはNGS解析をするための個人用Macを買うのに使いたいと思います。これからもRの勉強過程やワーママ研究者目線のリアルな現実を発信していきます。