「ロミオの青い空」感想 その2(ロミオとアンジェレッタ)
■はじめに
こんにちは、eiketsuです。今回は、前回の続きです。
↓前回の記事
前回は、ロミ空に関する感想などのnote記事を書くまでの経緯や、名劇全般について書きました。今回は、ロミ空の見どころだと思うところの1つをお話しします。
基本的に、前回の記事からご覧いただけるとありがたいです。また、ロミ空のネタバレもありますのでご注意ください。
■二人の出会い
自分自身に向けてのおさらいも兼ねて、いったん話の進行を整理します。
・ロッシ一家での生活
ミラノに着いたロミオは、第7話で一時的にアルフレドと別れて、煙突掃除夫としてマルチェロ(ロッシ親方)に買われることになります。が、ロミ空を観た方なら分かるように、とにかくロッシ一家が劣悪です…。特にロッシ一家の母親エッダと、息子アンゼルモは、ロミオにとても冷たいです。加えてひどいのは、夜間の、まるでロミオを牢屋に閉じ込めておくかのような行為です。しかも日中は、過酷な煙突掃除がロミオに課せられます。
そんな感じで、最初はロミオは孤立無援と言っていい状況だったと思います。
・ロッシ一家に住むアンジェレッタ
徐々に明らかになるように、ロッシ一家にはマルチェロ、エッダ、アンゼルモだけでなく、少女アンジェレッタも一室に住んでいます。
ロミオはある日の夜、食事のパンと共にアンジェレッタからの手紙がロミオの寝床に置かれていることに気づきました(このときはまだアンジェレッタの名前も知りませんでしたが)。まだ文字の読み書きができなかったロミオは、カセラ教授という男性の所へ文字の読み書きを教わりに行きます。ロミオは勉強に励み、一室にいるアンジェレッタと手紙を交わしました。そしてロミオは、アンジェレッタのいる部屋に招待されます。
それは幸いなことでした。ただし一方で私はこのときもまた、ロッシ一家の三人に嫌疑を募らせたものです。なぜなら、三人はアンジェレッタのことをロミオに隠そうとしているように思えたからです。
・出会った二人
それでも、お互いの文通によって二人はめでたく出会うことができました。その後の展開については今後も述べていきます。
■お互いに救い合う
私にとって、ロミ空で特に好きなエピソードの1つは、この二人の親交の描写です。それについて述べていきます。
・二人それぞれの過酷さ
まず、これは直接的な理由ではなくて背景です。背景を思い返すと、二人が出会えた後はともかく、特に二人が出会うまでの間は二人ともとても過酷だったと思います。
ロミオは前述の通り、ひどい孤立無援の状態でした。マルチェロはまだ少しはロミオに協力的な面もありますが、それでも基本的にはロミオに厳しいです。エッダとアンゼルモはもっとひどいです。そのうえ、日々の煙突掃除も苦しいです。それでもロミオは健気にがんばるところはありますが、いつ音を上げるか分からないほどの過酷な状況に変わりないです。
アンジェレッタもまた、相当苦しかったと思います。その理由として、部屋から出るのも難しいほど身体が病弱だったからというのはありますが、それだけではないです。あんなにギスギスした一家の中で、ほぼずっと独りで一室にいるだけであり(しかも、前述のように自分の存在を隠されているみたい)、誰とも気持ちのコミュニケーションができない。ある意味、ロミオ以上に苦しかったと思います。
以上の背景は、二人の親交の描写が好きである理由そのものではないですが、この背景がかえって二人の親交を際立たせたと思います。
・お互いに救い合う二人
幸運にも、出会った二人はお互いに救い合うことができたと思います。すなわち、それまでお互いに孤独だったのが、お互いに精神的に親密になる。たしかに二人とも物理的な過酷さは特段変わったわけではないですが、活力や生きる喜びを取り戻すことができました。
それに至るまでの一連の流れの中で個人的に好きなのは、二人の間のコミュニケーションの取り方です。それは、なんというか、お互いが同じ場にいることの幸せを感じながら会話するような感じです。それから、やっぱりお互いに気持ちを共有し合うような会話です。オルゴールの美しい音色も相まって、そういう場面は本当にロマンチックです。
目に見えないところも見ようとする
アンジェレッタからお願いされて、青空を観て描いてくることにしたロミオ。アンゼルモたち狼団の妨害により、ロミオは持っていたスケッチブック(アンジェレッタから借りたもの)を失ってしまいました。ロミオは、そのときにハトの落とした羽を手に入れたものの、アンジェレッタからのお願いに応えることはできませんでした。
それでも、私はこの一連の出来事も好きです。ここで特筆したいのは、ロミオに対するアンジェレッタの心づかいです。元々自分のお願いしたこと(青空を描いてくること)は、結果的には叶いませんでした。ですが、アンジェレッタはロミオがそれに取り組もうとしたことをありがたく感じたと思います。ハトの落とした羽のプレゼントも、それ自体がありがたいだけでなく、自分のためにハトの羽を持ってきてその話をしてくれたことにこそありがたみを感じたのではないかと思います。
アンジェレッタは、ロミオの取り組みの結果自体にとらわれず、目に見えないところも見ようとしました。だからこそ、お互いにさらに他己受容的になれたのだと思います。
■おわりに
というわけで、ロミ空での好きな見どころの1つとして、ロミオとアンジェレッタの親交を紹介しました。
記事をお読みいただき、ありがとうございました🙇
このシリーズはあと2件ほど記事を追加する予定です。
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