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郷土菓子を巡る冒険

ここでしか食べられないお菓子が食べたい。

もともと甘いものは好きだったけど、最初から郷土菓子に興味があったわけではない。
どちらかというとケーキや菓子系デニッシュなどを好む洋菓子派だった。
大阪、埼玉、東京、長く故郷を離れ、大きな街の近くに住んでいたこともあり、食べてみたいケーキや話題のパンケーキ、お気に入りの店にはことかかなかった。
久しぶりに故郷に帰ったものの、思うように気に入ったケーキやパンのお店が見つからない。
美味しいものを求めるとフラストレーションがたまる。
それならいっそ、ここでしか食べられないものを求めよう。
それが郷土菓子を追い求めるようになった始まりだ。

あくまき、ねりくり、宮崎近辺でしか見かけないお菓子は数が限られている。
近隣県にも興味の矛先が向くのに時間はかからなかった。
お隣の県なのに、共通のものもあれば、いままで存在も知らなかった昔ながらのお菓子がある。
他県への移動中、スーパーや直売所のお菓子コーナーに立ち寄って注意深く見ていると、今まで知らなかったお菓子がちょこんと並んでいる。
ああ、未知の郷土菓子に偶然出会えた時のあの喜び。
それが、ごく小さなエリアだけで親しまれてきたお菓子であった時、まるで運命のようなものさえ感じる。

地域に根付いたお菓子の中には、日保ちがしないから外に出て行かないもの、その土地で昔からとれていた素材を使ったもの、人気が出て全国デビューしたもの、いろんなお菓子がある。
残念なことに、すごく気になっていて、いざ買いに行けるとなった時にはもうお店をたたんでしまっていた所も少なくない。
そうなると、こうしているうちにまだ知らない郷土菓子がどこかで消えてしまっているかもしれない、という焦りが生まれてくる。

そうやって、その土地で昔から親しまれてきたお菓子、郷土菓子のジャングル奥深くに、ずんずんと足を踏み込んでいった。




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