何歩も踏み込んだ『逃亡』ーー『逃亡』再演のための試作上演(東京幕引き手記|220240815|三人之会)
・高行健の『逃亡』
『逃亡』とは、ノーベル文学賞を受賞した作家である高行健が1989年に脱稿した戯曲である。
1989年6月4日、北京の天安門広場で民主化運動に参加した学生や市民たちが軍隊によって強制退場を迫られ、多くの犠牲者が出た。後に「六・四天安門事件」と呼ばれるこの事件をフランスで聞いた高行健は、異国の地でこの『逃亡』を執筆した。
『逃亡』のストーリーは比較的シンプルで、時空の定まらない廃墟に中年・青年・娘の三人が抗議運動の参加者を狩る軍隊から逃げて隠れ、最後に