目覚まし時計のベルは鳴らない。
”私には、誉めてもらいたいすばらしい特技がある。”
こんなふうに書くと、なんだかとても偉そうで”ヤな感じぃ~”と女子高生たちに、嫌われてしまいそうだけど。(なんだそれは?)
この頃、不景気のせいか、人の心がすさんだせいか、はたまた自分に何か問題があるのか、人から誉められることなんて滅多にない。たまには自分で自分を誉めたって、バチは当たらないだろう。
私は目覚まし時計を使うことは、ほとんどと言っていいほどない。いつも決まった時間に目覚めることが出来るからだ。しかも、仕事柄、勤務時間が不規則で、起きなければならない時間もまちまちだが、それでもちゃんとそれぞれの時間に、自分から目覚めることが出来るのだ。だから私は小学生の時から(もちろん病気の時以外は)遅刻した事がない。
なんだ、それくらいのこと、と思う方もいらっしゃるかもしれない。でも、私の本当の特技はこれからなのだ。
目覚まし時計いらずの私も時々、どうしても信じられないくらい早い時間に起きなければならない時がある。そんな時に限っては念の為に、目覚ましをセットすることがある。
”なんだ、結局、目覚まし時計を使うんじゃないか!”と思われるかもしれない。でも、目覚める時刻をセットしても、その目覚まし時計を私は使うことはないのだ。使ってはいないが、その目覚ましをセットすることで、私は確実に起きたい時間に目覚めることが出来る。
なんだか、ワケがわからないが、つまりはこうだ。
私は性格上、目覚まし時計で起こされるのは絶対にイヤなタチだ。”ジリリリィ!!!お前はもう起きなきゃならないんだ!時間がないぞぉ!起きろ起きろぉ!”とはやしたてられ、まるで朝から機械に命令されてるみたいで、それがなんだか私は許せない。一日の始まりからこんなふうに、気分を害されたくはない。
だから目覚ましのベルが”鳴る直前に”私の体は自然と起きることが出来るのだ。しかもその精度は、鳴る前のジャスト10分以内。(自己ベストは1分前だ!)
”だったら目覚まし時計をセットする必要がないじゃないか!”というご意見もあるかもしれないけど、そうもいかない。目覚まし時計で起こされたくないという気持から、私はその数分前に起きることが出来る。つまり、目覚ましが鳴る前に目覚めたい気持から、私は目覚め、直前にスイッチを止められる。目覚ましが鳴るから起きるという本質的な意味では、この目覚まし時計は役に立ってる。
なんだかどう説明してもワケがわからなくなるが、つまりは、私は目覚まし時計によって、自分の目覚める時間をコントロールできるという特技を持っているのである。(当たり前で余計にわからないな。)
まぁ、わかる人に、わかってもらえたらいい。
しかし、私のこの特技もひとつ難点がある。とても朝早くに起きる時にだけ、私のこの神業は発揮されるから”ほら、見てごらん!ジャスト5分前に起きたぞ!”と自慢げに言ったとしても、家の者は、まだみんなスヤスヤと眠っている。
結局私はこの特技で
誰からも誉められたことがない。
ちょと寂しい気もするけど
まぁ、それも一つの人生だろう。
やれやれ。
最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一