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#26 二次離島にみる老老医療の現実

・山間部、離島住民にとっては老老医療は切実な問題
・壱岐の二次離島にみる老老医療の解決策

音声解説はこちら

老老介護、認認介護、老老医療・・

日経新聞で「老老医療」という新しいキーワードが出てきました。

『高齢化が著しい日本で十分に医療を受けられないリスクが膨らむ。体力が衰えた高齢医師が老いた住民を診る「老老医療」が増えるからだ。日本経済新聞の分析によると、大都市圏では2026年までの10年間に後期高齢者1人あたり診療時間は2割減少。医師の不足感が過疎地並みになる地域が2割に達しそうだ。遠隔診療の普及など医療の生産性を高める対策が必要だ。』(日経新聞2020.9.23)

「老老介護」とか「認認介護」とか、語呂としてはいいのでしょうが、ネガティブ感がぬぐえません。80歳を超えるような医師が診察する場合もあり、もはやどちらが患者なのか分からないことも。。

老老医療:65歳以上の高齢者を同じく65歳以上の医師が診察している状態
老老介護:65歳以上の高齢者を同じく65歳以上の高齢者が介護している状態
認認介護:認知症の要介護者を認知症の介護者が介護している状態

診療所医師の高齢化率は30%を超えており、3人に1人は65歳以上の医師ということになります。開業医が高齢化すると、特に在宅医療を担う医師が減ることになります。

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離島医療の実態

写真は、長崎の壱岐の島(郷ノ浦)から二次離島(北海道・本州・四国・九州との間を直接結ぶ交通手段ない島)に出ているフェリー。壱岐にはいくつかの病院と診療所がありますが、二次離島には診療所があるものの看護師のみが常駐していたり、医療従事者不在の島もあります。

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私が訪問したのは二次離島の一つである大島にある三島診療所。大島は人口200人程度、高齢化率は50%を超えています。三島診療所に医療スタッフは常駐しておらず、週一回壱岐島の病院から医師が来ます。今は何とか医師の派遣ができていますが、壱岐の病院勤務医も高齢化が進んでおり、近い将来派遣が難しくなるかもしれません。

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へき地医療を誰が担うのか?

このような離島での医療は不採算です。一般的には離島の自治体から委託報酬をいただいて診療を行うのですが、派遣する医師や看護師の人件費を補うに十分とは言えません。離島に派遣すればするほど赤字が膨らみます。

従来、このようなへき地医療は公立病院が中心に担っていましたが、ここ数年で社会医療法人が担うケースが増えてきました。週一回以上へき地に医師を派遣することで、社会医療法人の認定要件を満たすことができ、法人税非課税などの恩恵を受けることができます。

ただ社会医療法人の派遣医師も高齢化が進んできており、週一日のへき地への移動は体力的にもこたえるはずです。せめて二回に一回はオンライン診療を混ぜるなどメリハリがあってもいいように思います。

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