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「プロダクトライフサイクル」で診療報酬を考えてみた!

新刊「なんか変だよね!診療報酬」(3月末発刊予定)を執筆中。
原稿から一部を公開!

診療報酬改定も導入期からはじまる

「リフィル処方せん」を「プロダクトライフサイクル」をもとに考えてみます。「プロダクトライフサイクル」とは製品やサービスの一生をグラフで表したものです。製品やサービスを導入した当時は売上が低くてもこれが成長するにつれて売上があがっていき、いずれ飽和し衰退していくような一生です。

これを診療報酬にたとえてみます。

リフィルや資格確認は導入期

導入期が、まさに診療報酬で新設された年度。まさに2022年度診療報酬改定で「リフィル処方せん」や「オンライン保険資格確認」が導入されているので、導入期にあたります。導入期の場合、診療報酬点数が高めについたり、要件もゆるめだったりします。

あと逆に様子見として点数をつけて次回以降の改定で要件をさらに緩和していくということもあります。「リフィル処方せん」はまさに後者で、2022年改定では実験的に導入。2024年改定で大病院以外にも普及させるためにはどうしたらいいかを検討することでしょう。

オンライン診療は成長期

成長期は点数が新設された次回の診療報酬改定。「オンライン診療」は2020年改定で導入され、2022年改定で点数が上がり、患者の居宅までの30分要件などが緩和されています。成長期の場合、厚生労働省が強力に医療機関に点数算定を望んでいます。導入期は様子をみていた医療機関も成長期になると点数算定をはじめていくのではないでしょうか?

在宅医療は成熟期


成熟期から飽和期になるにつれて、診療報酬の要件が厳しくなったり点数が下がったりします。「在宅医療」が成熟期にあたるかなと。「在宅医療」はまだ量的に十分とはいえないため、すそ野を広げていきたいという思いがあります。2022年改定では、通院外来をメインで行っている診療所にも一部「在宅医療」をになうように誘導し、地域包括ケア病棟を有している病院には在宅療養支援病院になるように促しています。

地域包括ケアは飽和期

飽和期の代表格は「地域包括ケア病棟(病床)」。導入されたのは2014年改定。2014年が導入期、2016年が成長期、2018年が成熟期、2020年が飽和期とすると、2022年は本来、衰退期となります。ただ、衰退とまではいかないため飽和期としました。「地域包括ケア病棟(病床)」は十分に整備され、逆にしぼっていく時期にきています。急性期後の転棟メインで受けている地域包括ケア病棟(病床)は次回改定でも厳しくなることでしょう。

後発医薬品は衰退期

衰退期は「後発医薬品」にしました。国の後発医薬品使用割合の目標値は、2023年度末までにすべての都道府県で80%以上。2021年4月末時点で30都道府県が目標値をクリアしています(協会けんぽ調べ)。これだけ目標値をクリアできていると、評価が厳しくなります。割合が高い医療機関を評価するというよりは、割合が低い医療機関が「後発医薬品使用体制加算」が算定できなくなる(もしくは点数が下がる)ようにします。まさに2022年改定がそんな感じでした。

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