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水素燃料の弱点を克服する夢の粒

英語でも水素エネルギー社会に該当する言葉はあるが、シリコンバレーではあまり話題に上らない。 あまりにも現実味に欠けるからだ。 そんな現状を変えるかもしれない技術を見つけた。

運べないし貯められない燃料

水素ガスは非常に扱いが難しい。 ちょうど、軍事ライターの文谷数重さんがJapan In Depthで水素利用の問題点を書かれている。とてもわかりやすい。
  
衝撃!「水素社会」は来ない その1

衝撃!「水素社会」は来ない その2

ガスを固形物に吸収

きっかけはGizmagで新しい水素カプセルを使ったドローンの飛行デモのお話。 記事自体は軽く触れているだけだが、燃料を作ったCella社のページが面白い。
 
水素をガスのままでなく、ポリマーに吸収させペレット状にしてあつかう技術。 すでに、IAI(イスラエルの軍需企業)と提携してUAVのデモも成功させたらしい。 特殊な金属に吸収させたり、エタノールなどの液体にして扱う技術は読んだことがあるが、ペレット状にするというのは初めてきいた。

ペレット1gあたりに1リットルのガスを吸収でき、使用済みペレットは再利用可。 気温50度cまでは安全に保存できるらしい。 ミリ単位の粒にすれば、液体と同じように取り扱うことも可能。 
 
サイクルを要約すると:
 1)ポリマーの粒に水素を閉じ込める
 2)100度Cに熱することで水素ガスを取り出す
 3)ガスは燃料電池に送られ発電
 3)使用済みの粒は再利用のため回収

下の図は発電の流れ。 

       *画像はCella社の許可を得て掲載しました。 詳細はこちら

この技術が実用化されたら、酸素活用の障壁がほとんどなくなる。 運搬と貯蔵に高圧タンクが必要なくなるからだ。 ガソリンと同じくらいの安全対策は必要だろうが、自動車も燃料タンクの形状の自由度が増す。 単純計算で、ペレット5Kgがミライのタンク満タンと同じになる。 ガス抽出設備とロスを考慮しても、車体の軽量化につながるだろう。 補給施設も既存のスタンドと同等かより安値になる

実現するかは別問題だが... 

不安が残るとすれば、やはり再生設備の規模とエネルギーのロスだろうか。 残念ながら、プラント全体の効率を示す資料は見つからなかった。

机上の理論は素晴らしいが、再三が取れなくて実現しない技術では意味がない。 この分野では実証実験止まりで消える技術が多いのも事実だ。 期待し過ぎずに進展を見守ってゆこうとおもう。

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