名前について

木暮栄一を英語表記にするなら、EIICHI KOGUREだ。

パスポートなどの公的書類では、もちろんそうなっている。が、例えばSNSやDJをするときのフライヤーなどでは、eiichi kogreyと表記している。“U”を抜くのはまだ語感上アリとしても、最後の”Y”は何なのか。知らない人が読めば、

「コグレイ?......つまり孤愚霊?昭和の後期に友達とノリで作ったら、本物の人たちに一瞬で潰されちゃう暴走族の名前......もしくは、Stupid lonely ghost?中二病?」

と、首を傾げざるを得ない、その”Y”の由来を確かめるべくドラム・セットに座ると、僕の体が叩き始めたのは7/8のクールなビート。これは......

確認を取るべく電話をかけた相手は留守電だった。SMSで以下の文章を送信。

『お久しぶりです。ちょっと確認したい事があり連絡いたしました。また明日電話します』

それから夕食を済ませ、何度めかの山崎豊子を斜め読みしつつプルーム・テックの蒸気を吸引していると、相手からのシンプルな返信があった。(以下原文ママ)

『こぐゥレィーーー!!!』



いま聴いても最高なこの曲は、54-71というバンドのクラシック・トラック。

この上なくシンプル&タイトな返信が全てを語る通り、”KOGRE” に続く”Y” の名付け親は、今も様々な場所で活躍する敏腕ドラマー、BOBOくんだった。


僕が所属する the band apart 周りの身内スラングの一つに『言霊(ことだま)』というものがある。

全く同じ内容の話も、語り手のスキル(口調、表情、言葉選び etc.)によって、不特定多数への伝わり方が変わってくることを表したスラングで、例えば、他愛のない話でも、その人が語ることにより何だか面白おかしく聞こえる場合、「(笑いの)言霊持ってますね〜」ということになる。

BOBOくんは間違いなく、言霊をその身に宿す人物の一人だ(俺調べ)。会話の時は笑い方面の言霊力が強過ぎ、真剣な話もちょっと面白く聞こえてしまって困るけど、それがドラム演奏になると一変する。

『普通のエイト・ビートを叩いているのに、なぜか凄くカッコ良い』。

これも一種の言霊だよね。僕もいつかそうなりたいと思っています。


今日、関東は梅雨入りらしい。熱気や湿度はまだしも、それらと一緒にやってくるアイツとの戦いがまた始まると思うと、今から体が痒い。

そんなアイツの名を冠した涼やかな一曲は、実際の鬱陶しさとは真逆の心地良さ。

それではまたね。






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