ぼうけんのしょ12 1 eiichi_bolero 2020年6月24日 15:04 ドイツで知り合った大学の先輩を訪ねて、南ドイツのミュンヘンへ。 好きなの頼んで!旅は楽しくないとね!とご馳走に。ドライブのお供にマックをほおばる。 ミュンヘンからしばらく走ればアルプスに、近づく。春には水浴客で賑わうビーチに。 先輩の運転で、BGMにはドラクエ名曲の数々を車内に響かせて山へ迫る。この時の冒険感ったら。 あ、先輩!めっちゃ綺麗な川っすよ!!って助手席から叫ぶ。とっさに撮ったけど、エメラルドグリーンとはこのことかと唸る。 近くの広場に停めて、川に降りる。ザーっという音に鳥の澄み渡るようなさえずり。手を浸すとキンキンに冷えていやがった。 さらに進むにつれて、やつが顔を出した。ほらみえた?と少し得意げな先輩。仕事の休みの日に眺めに来ることもあるらしい。なんとも羨ましい。 オーストリアとの国境に面する。山間深い道をくぐって。 少しずつ、でも着実にその大きさを増す。それは、彼が雄大たることを物語る。 ドラクエの音楽に、僕はご機嫌で指揮を振りながら、車窓を愉しむ。なんと贅沢な体験。 勇ましいとはどういうことか。語らずして語る。 シャッターチャンスを逃すまいと窓から構えて森を抜け、ここぞと開けてご挨拶。ファインダーをのぞくことが、もったいなく感じた。 大好きな風景。これぞRPG。一生、心に豊かに刻まれるあの景色。あの風。音。世界がここにある。 なんとちっぽけな。でも、なんと偉大な。 村に着いた。駐車場にあったゴミ捨て場。たまらない。この表情。 やまびこの村。おもわず仰ぎたくなる。ここにも暮らしがある。深く、深く。何呼吸もした。 氷が削る台地は、鋭くえぐれる。それがこの地形を作り、水と氷が長い永い年月をかけて営んでいる自然。表情。 放牧の牛さんたちの飲み場。とにかく綺麗で冷たい。アルプスの水。少しだけ僕も。忘れない味。 さて、暗くならぬうちに帰ろうかと、車を遮る牛の列。カランカランと首からさげたカウベルを鳴らしながら誰に言われるでもなく、一歩一歩と村に戻る。何百頭いただろう。彼らは確かに会話していた。その迫力の大行進をただ見守ることしかできなかった。命を感じた。 牛の行進を見送って、夕立が来て。これぞ冒険といわんばかりの帰り道。山の天気は変わりやすい。昇る水蒸気が道を煌びやかに。 軍車。気づいてすぐ撮る。冒険は油断できない。 ふもとに帰るころには、虹がお出迎え。先輩に、心から感謝。誰かを感動させることができるなんて、本当に素敵だ。 町に戻っても魔法は消えない。僕の冒険は僕のものだから。 1 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート