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予想外の結果

ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。

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はじめまして。
MtGでは今まで数えきれない数のカードが誕生してきましたが、
歴代で最も予想を裏切られたカードはなんですか?
いい方面と悪い方面の両方とも聞いてみたいです。
よろしくお願いします。

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悪い方を答えると、
それを支持している人から反感を買っちゃうのだけど、
それでも聞かれたら正直に行く。
良いとこも悪いとこもあってMTGだし。
それでも良いとこが多いからこそ、
自分はこの道を選んだのだし。

まずは悪い方から。

悪い方っていっぱいあるような気もするけれども、
それでもやっぱりワースト1はこれしかない。

両面カード。

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これは本当に最悪。
MTGのロゴが存在しないカードを作って何がしたいの?
と思った。
加えて、印刷の技術が年々と進化していく中、
(そのわりに何故か印刷の質は劣化していくのだが・・・。)
初期の印刷と今の印刷が少し違う事からも、
スリーブ必須のトーナメント環境で、
いちいち裏返さないといけないカードなんてもってのほか。
二重以上のスリーブをしている人はとても面倒だ。
いちいち裏返しにしている人もいれば、
裏返った際のために別で4枚同カードを用意する人もいる。
本来必要でないアクションや用意をしなければならないのは、
根本的に間違っている。

そして、
《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》が、
「トーナメントの運営上支障をきたす。」
という理由で禁止になっているくらいなら、
裏返しにする時間が無駄になるので、
十分にトーナメントの運営上支障をきたしている。

スムーズにゲームを進めるなら、
こんなものを作らなくても良かった。
条件で反転する神河のカードと根本的には変わらないのだから、
いちいち別のルールを作り出す必要は無かった。
神河の反転カードは不評だったという話を聞いた事があるが、
だったら両面も作るなと。

ただでさえ、
いくつものルールやキーワードを作り、
初心者がとっつきにくい状態だ。
そこへこんな混乱するルールは全くもって不要。
とくにゼンディカーの夜明けでさらなる混乱を招く事になっている。

ゼンディカーの夜明けより前の両面カードは「変身する両面カード」
と呼ばれ、第1面(表面を第1面と呼び裏面を第2面と呼ぶ)で戦場に出し
一定の条件を満たすと「変身」して第2面になるというものだった。


一方、ゼンディカーの夜明けに収録されている両面カードは
「モードを持つ両面カード」と呼ばれ、
この両面カードをプレイする際に第1面か第2面どちらで戦場に出すか選ぶ事が出来る。


「モードを持つ両面カード」については、様々な細かいルールがある。

例えば、第1面と第2面のどちらとしてプレイ(呪文として唱える、または土地としてセット)するかは、そのカードをプレイする直前に決定する。


小道

例1:
自分が《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》をコントロールしていて、
墓地に《岩山被りの小道/Cragcrown Pathway》(第2面は《樹木被りの小道/Timbercrown Pathway》)がある場合、
《世界のるつぼ》によって《岩山被りの小道》《樹木被りの小道》のどちらとしてプレイしてもよい。
同様に《ムル・ダヤの巫女/Oracle of Mul Daya》で公開した自分のライブラリーの一番上が《岩山被りの小道》である場合、
《岩山被りの小道》《樹木被りの小道》のどちらとしてプレイしてもよい。
これらは「土地をプレイ」しているので、プレイする際にどちらの面かを選ぶことができる。


髑髏砕き

例2:
自分が《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》をコントロールしていて、
墓地に《髑髏砕きの一撃/Shatterskull Smashing》(第2面は《鎚の山道、髑髏砕き/Shatterskull, the Hammer Pass》という土地カード)がある場合、
《世界のるつぼ》によって、第2面の《鎚の山道、髑髏砕き》を土地としてプレイすることができる。
第1面の《髑髏砕きの一撃》として唱えることはできない。

《世界のるつぼ》と《ムル・ダヤの巫女》が一緒にある場合、
例1と同じように、
墓地にある《髑髏砕きの一撃》を、
第1面の《髑髏砕きの一撃》として唱えることはできないが、
第2面の《鎚の山道、髑髏砕き》を土地として
プレイできる。


また、プレイする以外の場合は第1面のみを参照する。

ドルイドの物入れ

例3:
《ドルイドの物入れ/Druidic Satchel》の能力を起動し、
自分のライブラリーの一番上を公開したところ《岩山被りの小道》だった。
この場合、第1面の《岩山被りの小道》としてのみ戦場に出すことができ、
第2面の《樹木被りの小道》として戦場に出すことはできない。
例1と似ているが、例1は「土地をプレイ」していることに対し、
こちらは「土地カードを戦場に出す」という効果であるため。


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例4:
あなたは土地を生け贄に捧げて《輪作/Crop Rotation》をプレイした。
解決時、ライブラリーから《岩山被りの小道》を選択して戦場に出した。

これは問題なく可能だが、
第2面である《樹木被りの小道》として戦場に出すことはできない。
これも「土地カードを戦場に出す」という効果であり、
土地のプレイではないため。
例としては例3とほぼ同じ。
同様にして《森の占術/Sylvan Scrying》で土地を探す際に、
第2面だけが土地の《髑髏砕きの一撃》は手札に入れる事が出来ない。


画像14

例5:
あなたが《ゴブリンの放火砲/Goblin Charbelcher》を起動したところ、最初に公開したカードが《髑髏砕きの一撃》だった。
《髑髏砕きの一撃》の第2面は《鎚の山道、髑髏砕き》という土地カードだが、
この場合は第1面、ソーサリーである《髑髏砕きの一撃》しか参照しない。
そのため土地カードとは見なされず、そのまま公開を続行する。


モードを持つ両面カードのEDHに関するルールとしては、
第1面がジェネラルとして指定できるカードであれば、
裏面に関わらずジェネラルにできる。
第2面がジェネラルの条件を満たしていない場合でも、
ジェネラル領域からプレイできる。

どちらの面で唱えたとしても、ジェネラル領域から2回目以降に唱える際に必要な2マナは等しく増える。

ハルヴァール

例6:
あなたは《戦闘の神、ハルヴァール/Halvar, God of Battle》をジェネラルにしたEDHデッキを使用している。
第1面の《戦闘の神、ハルヴァール》をジェネラル領域からプレイし、
その後破壊されてジェネラル領域に戻った。
次に第2面の《領界の剣/Sword of the Realms》としてプレイする場合、
ジェネラル領域からこのカードを唱えるのは2回目になるため、
《領界の剣》として1度も唱えていないにも関わらず、
追加の2マナが必要になる。


また、モードを持つ両面カードが原因で続唱に関するルールが変更された。

ヴァルキー

今までは3マナの《暴力的な突発/Violent Outburst》の続唱で、
2マナの《嘘の神、ヴァルキー/Valki, God of Lies》
(第2面は7マナの《星界の騙し屋、ティボルト/Tibalt, Cosmic Impostor》)
が公開された場合、
《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えることができた。
これがあまりにゲームバランスを崩壊させるという事で、
ルール変更が行われた。
ルール変更後は、
続唱で唱える呪文が適正かどうかを唱える直前にチェックするようになり、
《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えることはできなくなった。


「変身する両面カード」
「モードを持つ両面カード」

さらに「合体カード」はそれぞれ特徴が異なっている。

例えばマナ・コストについて。

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「変身する両面カード」の第2面はマナ・コストを持たないが、
第2面の点数で見たマナ・コストを参照する場合、
第1面のマナ・コストを参照する。
例えば、
《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》の第2面である、
《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》が戦場に出ていて、
それを《仕組まれた爆薬/Engineered Explosives》で破壊したい場合。

《昆虫の逸脱者》はマナ・コストを持たず、
《昆虫の逸脱者》の点数で見たマナ・コストは1である。

つまり、蓄積カウンターが1個置かれていればOK。
蓄積カウンター0個では破壊できない。


「モードを持つ両面カード」の第2面は、
第2面に書かれたマナ・コストを持つ。



特定の条件を満たすと合体する「合体カード」については、
第1面はカードに書かれたマナ・コストを持つ。
第2面は戦場で合体している場合にのみ参照され、
合体している2枚の、
第1面の点数で見たマナ・コストの合計に等しい、
点数で見たマナ・コストを持つ。
マナ・コスト以外は、組み合わされた第2面の特性のみを持つ。

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例えば、
4マナの《折れた刃、ギセラ/Gisela, the Broken Blade》と、
7マナの《消えゆく光、ブルーナ/Bruna, the Fading Light》が合体すると、
《悪夢の声、ブリセラ/Brisela, Voice of Nightmares》になる。
《悪夢の声、ブリセラ》はマナ・コストを持たず、
点数で見たマナ・コストは11である。

なお、合体カードは表面と裏面にカードが描かれているが、
ルール上、両面カードではない。

というような違いがある。
それぞれが微妙に異なっており非常にややこしい。

色々と細かいルールの話を挙げたが、
こんな違いを初心者はまず理解出来ない。
初心者お断りなルールは本当に避けて欲しい。
初心者が入ってこれないようなものは、
WotC社にとっても不利益に繋がるというのに。
新規参入を拒むような事はやるべきではない。
この両面については初心者どころか、
多少MTG慣れしている人でも混乱するようなルール。
「プレイヤーはいちいち新キーワードを期待していない。」
という事をWotC社は何もわかっていない。
ハッキリと言ってしまえば、
《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》が使われる理由は、
「強いから。」
であって、
両面カードが良いから使われているのではない。
この点をWotC社は履き違えている。
特に競技プレイヤーは強いカードだから使うのであり、
両面カードのシステムが優れているかどうかとは別の問題。

MTGのロゴが裏側にあってこそMTGのカードなのだから、
その伝統をぶち壊しているカードは何の価値もない。

ついでに言わせてもらうと、
ここまで説明するのに何文字書いたと思っているんだ(笑)
何人か読み飛ばしていたとしても不思議がないぞ。
そのくらい両面関連のカードはややこしい。
こんなにルールが面倒なカード、本当に作らないでくれ。
MTG歴二桁年数の人であっても知らない事も多いルールだ。

相棒カード

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次点では相棒カード。
こっちは説明不要と思われるが、
ゲームバランスを崩壊させて、
最終的に相棒ルールそのものが変更されるという、
擁護のしようがないシステム。
最初のルールでは
「ゲームを開始する前に、ゲームの外部からあなたが所有していて
 あなたの開始時のデッキが条件を満たしている相棒能力を持つカード1枚を公開してもよい。
 そうしたなら、そのゲームの間1回、
 あなたはそのカードをゲームの外部からプレイできる。」

だった。
これは条件さえ満たしていれば、
「初手の手札が1枚増えている事と同義」
だった。
これもMTGの伝統を壊す事になるし、
実際にトーナメント環境が大荒れになって、
無理やり現在の

「ゲームを開始する前に、ゲームの外部からあなたが所有していて
 あなたの開始時のデッキが条件を満たしている相棒能力を持つカード1枚を公開してもよい。
 そうしたなら、各ゲーム中に1度だけ、あなたは、
 あなたが優先権を持ち、自分のターンのメイン・フェイズ中で、
 スタックが空であるときに(3)を支払うことで、ゲームの外部から
 あなたの相棒をあなたの手札に加えることができる。
 これは特別な処理であり、起動型能力ではない。」

このルールに変更。

ルールを作る前にゲームバランスの崩壊に気づけただろうに。
相棒ルールは最近のカードでありながら、
「カードテキストに書かれている事が一切正しくない状態。」
になってしまうという馬鹿げた状態になってしまった。

両面同様に今からでも廃止してもらいたいルール。

オパールのモックス

しょうもない意味で悪いのも1つ挙げておこう。
これは

《オパールのモックス/Mox Opal》

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だ。
他のモックスシリーズは、
《モックス・タンタライト/Mox Tantalite》
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
それと元祖5種である
《Mox Pearl》
《Mox Sapphire》
《Mox Jet》
《Mox Ruby》
《Mox Emerald》
も全て
「モックス・石の名前」
で来ている。
(一応書いておくと《Mox Lotus》も石の名ではないが同じ条件。)
なのにオパールだけが和訳が
「オパールのモックス」
となっている。
和訳した人は何を考えているんだろう?
と思った。
別に
「モックス・オパール」
でいいだろうと。
《金属モックス/Chrome Mox》は
単語的に金属を意味するChromeがモックスの手前に来ているので、
これは和訳としても問題は無い。
オパールだけがおかしい。
このオパールのせいで日本語版には統一感がなく、
異様にダサいので結局英語版を使う事が基本になっている。
全言語のチェックはしていないが、
訳し方がおかしいのは日本語版だけではないだろうか。

良い方。

プレインズウォーカー。

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新しいカードタイプを出す事はとても難しかったと思うけれども、
システム的になんとか面白いところで収まったかなと思うところ。

最初のMTGのイメージというのは、
「あなたは魔法使いです!
 数ある魔法を駆使して最強の魔法使いを目指しましょう!」

という感じの設定。
プレインズウォーカーという存在は、
MTGの世界で偉大なる力を持った特異の魔法使いにのみ与えられる称号。

このプレインズウォーカーをカード化した際に、
「プレインズウォーカーの力の一部を借りたものをカード化」
というイメージで作られたらしい。

最初にプレインズウォーカーが出た時は、
「ええー。プレインズウォーカーって最強クラスの魔法使いでしょ?
 それをカード化しちゃうのはちょっと・・・。
 せっかくの世界観壊れない?」
なんて気持ちにもなったものだが、
ゲームシステムとしては結構良い出来で、
「プレイヤーはプレインズウォーカーさえも従えて、
 さらなる高みを目指す魔法使い!」

というイメージを考えて、
「あ、意外にコレいいかも!」
と思えた。

その後、
「オイオイ、やり過ぎだよ、このプレインズウォーカー」
という奴等がどこかしらで制限や禁止されるのは置いておくとして、
元祖の5種の中では、
《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》
《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》
弱すぎず、強すぎずでバランスが取れていて結構好き。
この2種はEDHでも活躍の場が残りつつ、
侮れないだけの能力があるところを含めてとても良い出来。

もちろん単純に強いプレインズウォーカーは嫌いじゃないので、
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》
などの凶悪なプレインズウォーカーも好きだ。
ただしバランスブレイカー過ぎるのはちょっと困りもの。
《レンと六番/Wrenn and Six》
《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
など、ちょっと度が過ぎている奴らは、
本当に作って良かったのか甚だ疑問だ。

精神隷属器

単体のカードで予想を良い意味で裏切ってくれたのは、

《精神隷属器/Mindslaver》

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これ。
相手のターンを奪い取り、
いじり放題やりたい放題。
時に一撃で場を壊滅させる事まで出来ちゃう面白いカード。
ヴィンテージでも活躍した経歴もある。
このカードが出たことで、
「1ターン目、《ゴブリンの溶接工/Goblin Welder》!」
と言われるだけで、
「アカン!死ぬかもしれん!」

と思わせる事まであった。
実際に1ターン目《ゴブリンの溶接工》から、
2ターン目に《大あわての捜索/Frantic Search》を撃たれ、
《精神隷属器》が墓地に落ち、
3ターン目から連続起動されて負けた事がある。
この動きは今のヴィンテージ環境でも出来るし、
やられたら場が壊滅するデッキもある。
まさかここまで面白いカードを出してくれるとは思わなかった。
数ある予想外に出たカードの中でも特にお気に入りの1枚。

最近のヴィンテージでは見なくなってしまったが、
EDHでは時々置いてくる人はいる。
長期戦になる事もあるEDHだと、
突然これを使われて状況が一転するので面白い。
使われる方はたまったものじゃないが。
自分もEDHでこれを使った事があり、
その時は対戦相手の手札に《悪魔の教示者/Demonic Tutor》があり、
ライブラリーの中を見たら《ネクロポーテンス/Necropotence》があり、
全力で残りライフを支払ってあげた事もある。
(やられた事もある。)
ちなみにこのカードをアン・シリーズと組み合わせると、
相手の財布の中身を空っぽにする事も出来る。
(やり方がわからない人は質問を投げて下さい。
 記事で回答します。)

以上。
裏切られた方は他にもいっぱいあるけれども、
だいたいGoldfishさんが言ってくれているので、
ここでは割愛。

あとは個人的に結構良い方向に裏切られたカードでは、
《運命のきずな/Nexus of Fate》
もランクインする。
WotC社としては失敗作のカードだったのだろうけど、
このカードはEDH的に結構気に入っている。

ではまた。





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