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#私の不思議体験その2。

#私の不思議体験

Cardshop Serraのあるこの沼津市はとても変わった街だ。
沼津駅から車で1時間走っても沼津市から抜けられない場所がある。
車で1時間と言えば小旅行するような距離だ。
普通なら車で1時間なら県外にも出られる。
その1時間走っても市内を抜けない場所に今から数年前に泊まりで行った。

今日はそんな数年前のお話。
店主は仕事で一切休めず、
たまには休まないとという事で、
スタッフが探してくれた市内の温泉宿に行く事になった。
1人で。

辺境の地へ・・

場所もわからないし、
どんな宿なのかも知らない。
ただスタッフがとってくれただけ。
わかっている事は市内という事だけ。

「どこ?これ。」
と思いながらグーグルで地図を確認。
とりあえずほぼ一本道だという事だけ理解して車を走らせる。
とてもシンプルだ。
海岸線をひたすら走るだけで着く。

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わかる人はこの言い方でわかるはず。
「ラブライブサンシャイン!!の聖地への道を、
 そのまま海岸線沿いに突っ走るだけ。」

という。
聖地からでもさらに30分くらいは走る。
この聖地は沼津駅から結構な距離があるのだが、
そこからさらに遠い。

そして山道なんだけど海岸線。
別の表現を使うと断崖絶壁に道路作っただけ。
落ちるとたぶん死ぬ。
そんな道を抜けると寂れた港町。
娯楽が全然無さそうな町並み。
いや、町っていうより村。

すでに営業していない、
そもそも何屋だったのかすらわからないお店は、
看板に書いてある電話番号がなんと5桁。
「どうやってかけるんだろう、この電話番号。」
と思いながら通り過ぎる。

釣具屋や海鮮系の料理店はちらほらある。
とりあえず食べ物にはありつけそうだ。
だが、後でこの凄まじさを思い知る。
この町(村?)は、
夜8時になったらほぼ真っ暗だ。
やっているお店は1~2店。
それすら10時までには閉まる。
料理店は早いところでは夕方4時に閉まる。
おいおい、夕食を何時にする気だ?
と言いたくなるような場所だ。
なお、
タクシーの営業は夕方5時で終わるらしい。
本当に沼津市か?ここ。
静岡、浜松に次いでそれなりに人がいて、
それなりに町があるのが沼津市だったはずだぞ。
もうちょっと遅くまで色々なお店営業していてもいいんじゃない?
と思うくらい夕方になるとどんどんお店から明かりが消える。

意外と良いホテル?

そんな何も無さそうな場所の温泉宿。
平日素泊まりで6000円くらい。
特にこれといって何も期待せずにチェックイン。
とりあえず見た目は結構綺麗なホテル。

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お風呂は木で出来たお風呂。
これが非常に良い。
温泉と言えばだいたい岩で囲われた露天風呂や、
石で出来た室内大浴場がお約束。
木のお風呂は結構少ない。
木のお風呂はメンテナンスが大変で、
あまり多くないらしい。
ただ、どっちがいいか?と言ったら、
確実に木のお風呂。
座った時の木の柔らかさがとても良い。
「お、このお風呂だけでも素泊まり6000円ならアリだな!」
と思う良いホテルだった。

1人で1時間くらいお風呂に入った後、
ラウンジに行ってみた。
海が見えてとても景観が良く、
お茶やコーヒーがタダで飲める。
それどころかお酒も。
お酒は日替わりで1種、
高級なお酒ではないけれども、
0時までタダ酒が飲める。

・・・不思議にサービスがいいぞ、このホテル。

しいて欠点を言うなら、
携帯の電波が弱い事くらいだ。
ホテルのラウンジ付近なら無料Wifiが効いているが、
Wifiの範囲外は時々「圏外」というレアな文字が表示される。
さすがド田舎。
同じ市内なんだけどね。

周辺の散策

そんなサービスの良いホテルを満喫しつつ、次の日を迎えた。
同じ市内とはいえ、
右も左もわからないような地域だ。
どこに何があるのかサッパリわからないので1人で散策。

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とりえず景色だけは綺麗だ。
海の色も綺麗だ。
料理店はギリギリある。
港があるだけあって海鮮系がほとんど。
他と違う事と言えば、
タカアシガニというカニが食べられる事。
このカニはこのへん以外では滅多に食べられないらしい。
それ以外は絶望的。
娯楽施設がほぼ見当たらない。
このへんに住んでいる人は一体何を娯楽にするのだろう。
居酒屋を一軒も見つけられない。

港にはいくつもの船があるので、
漁業は一応やっていそうだし、
途中途中にみかん畑などがあるので、
農業もやっているのだろう。
しかし、廃墟が多い。
なんとなくバブル崩壊後に放置されたままなんじゃないかな?
と思うようなホテルや旅館が結構いくつか見つかる。
店主は廃墟マニアではないけど、
こういう寂れた感はかなり好き。
「おおー!廃墟だ、廃墟!」
なんて思いながら写真を撮る。

不思議な出会い

そして、とある場所に辿り着いた。
廃墟だ。
イイ感じに周りに何にもない廃墟だ。
行ってみよう。
車を止めてその廃墟の写真を撮ろうと建物に近づく。

建物に近づいたら猫が出てきた。
1匹や2匹じゃない。
軽く数えただけでも5~6匹は見えた。
何故こんなに猫が??
野良・・・だよねぇ・・・?
猫ってこんなに群れて生きる生き物だったっけ?

ま、いいか。
猫と廃墟、一緒に撮るもまた一興。
と写真を撮ったあたりで、

「いらっしゃい。」

?!
ひ、人がいた!
突然廃墟だと思っていた扉が開き、
おじいさんが出てきた。

は、廃墟とか言ってすみませんでしたー!!

と心で思いながら挨拶をする。

「ここは営業しているんですか?」

「ホテル業は休業。喫茶店部分はやってるよ。」

・・・これで?
全体見渡しても全力の廃墟にしか見えないよ、おじーちゃん。
あとホテル部分はドコ?

「こっちおいで。コーヒーでも出すよ。」

と、建物の中に案内される。
建物の中は外見からは想像もつかない程だった。
最高の景観、木造のちょっとだけ年季が入った喫茶店。
なんとも言えない味がある。
なんだろうこの不思議な場所は。

で、出されるがままコーヒーを飲む。
コーヒー飲みつつ、
そのおじいさんのお話をのんべんだらりと聞く。
どうやらこの人は経営者でありながら、
クギを使わない木造建築、

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いわゆる宮大工の建築設計が出来る人なのだそうだ。クギを使わない木造建築は世界でも日本でしか無いはず。
しかもそれが出来る人も今は減ってきているという話。
その建築設計が出来るって・・・。

・・・この人、神話レアのFOILよりレアリティ高い人じゃない?
なんでこんな携帯の電波も届きにくい、
しかも廃墟みたいなところで生活してんだろう。

謎だ。
話を聞けば聞くほど不思議な人だ。
頭の良い人だという事もわかる。
相当なアイデアマンだ。
発想力が違いすぎると感じる箇所もいくつもある。
目上の方に言うのは失礼かもしれないが、
この人、とても面白い。
ただただ話を聞いているだけで飽きない。

気がつけば夕方になってしまい、
夕食を調達しなければいけない時間になったので、
この猫だらけの廃墟、もとい喫茶店を後にした。
ちなみに猫はこのおじいさんが飼っているのだとか。

「猫、何匹いるんですか?」

「25匹。」

25?!

「区別付きます?」

「付くよ。毎日顔合わせてるからね。」

全くもって変わった人だ。

このおじいさんとはその後もお付き合いが続き、
半年に一度くらいは会いに行っている。
不思議な出会いからもう何年も経ち、
相変わらずただお話を聞きに行くだけに等しいが、
このお話が楽しい。

後日談

ある日このおじいさんのところに行った際に、
たまたま置いてあったアイテムが気になった。
それは羅針盤だった。
古めかしく、錆びついた羅針盤。
なんとなく判断するに、
船につけておく羅針盤のような気がする。
なんだかとても惹かれるものがあり、

「これ、どこに売ってますか?」

と聞いてみた。

「あげるよ。」

「え?いいんですか?!」

なんだかあっさり手に入ってしまった。

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もらった羅針盤。
同じものは探したら売っているのだろうけど、
この古さは時間が経たないと出せないアンティーク感。
周りの木の部分も羅針盤そのものも、
時間による味は新品では出せないものになっている。

大喜びで持ち帰った。
この羅針盤を見た途端に、
「マナが出るか、カード引けるかどっちかだな。」
と思っていたMTG馬鹿。

自分の人生はふとした偶然の出会いで変化する事が多いのだけれど、
このおじいさんとの出会いもそんな変化の1つだった。
あの日休みをとらなかったら、
あの日沼津市のド田舎に行かなかったら、
廃墟だと思って入らなかったら、
この人には会えていない。
こうして数年経ってみて、
巡り合わせって不思議だなぁと思った事の1つ。
このおじいさんは年齢70を超えても仕事を続けるバイタリティがあり、
そして言うまでもなく起業家。
自分なんかに比べて知識も経験も稼いだ額も違う。
お話を聞いているだけでとても勉強になる。
この人とお話しなかったら、
自分の経営はもっと下手くそだったんじゃないか?
と思うような事が多い。
人との出会いはとても大切だなぁと思った出来事の1つでもあった。

ではまた。







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