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オールドスクールのススメその2。


以前に書いたオールドスクールのススメは、
「今から始めるべきでしょうか?」
という質問を受けた回答としてのもの。
今回は個人的にオススメなお話をば。

個人的にオススメの理由は

1:禁止、制限が滅多な事で動かない。

2:再録版+簡易に組めば安く仕上がる。

3:MTGの基本としてのプレイングが身につく。

4:一撃でゲームが終わるコンボがほぼ無い。

5:たった1枚のカードでゲームが決まる事がほぼ無い。

6:アドバンテージの取り方が違う。

7:青が一方的に強いという事がない。

8:アンティーク感を楽しめる。

それぞれについて詳細を書いていこう。

1:禁止、制限が滅多な事で動かない。

あまり説明がいらないと思うお話だけれども、
なにせ使えるセットが限られている。
その中で禁止や制限をされているカードは

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・アンティに関するカード(禁止)
・昔から強いとされている一部のカード(制限)

というだけ。
続唱のルール変更
相棒のルール変更
といった話や、
根本的なカードテキストの変更が無い限り、
環境が安定している。
そのため、
突然にしてあるカードが禁止や制限になるといった事がない。
一度買ったカードが無駄にならないし、
じっくり腰を据えてMTGを楽しめる。

昨今のスタンダード~モダンは禁止の乱発が多く、
5000円も出して買ったカードが、
「ある日突然禁止改定で半額!」
なんて事もある。
そういう事がまず起きない。
これは結構大きい。
このオールドスクールの世界は全て旧枠。
旧枠カードの相場はおおむね安定していて、
急激に上がる事はあっても、
下がる事が少ない。
安心して遊べるという事はとても大切。

2:再録版+簡易に組めば安く仕上がる。

オールドスクールの世界はやろうと思えばお金をかけられる。
パワー9が欲しいと思えばお金がかかる。
けれども、
ほとんどのカードは、
・Revised
・第4版
・クロニクル
・第5版

あたりから引っ張り出すだけでOK。
実際にオールドスクールの大会で好成績なデッキが、
必ずしもパワー9を入れているわけでもない。
いつか本当に欲しくなった時に買うくらいでも構わない。
最初の飛び込みから高額カードで行かなくても良いのが、
この世界の良いところ。

上記4つのセット以外で特定のセットにしかない、
上記4つのセット以外である程度使えるコモンやアンコモンは以下。

《Order of the Ebon Hand》:フォールン・エンパイア、コモン
《トーラックへの賛歌/Hymn to Tourach》:フォールン・エンパイア、
コモン
《稲妻の連鎖/Chain Lightning》:レジェンド、コモン2
《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers》:フォールン・エンパイア、
コモン1
《Order of Leitber》:フォールン・エンパイア、コモン1
《深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow》:ザ・ダーク、アンコモン2
《イス卿の迷路/Maze of Ith》:ザ・ダーク、コモン1
《ゴブリンの手投げ弾/Goblin Grenade》:フォールン・エンパイア、
コモン1

だいたいのカードはお安い価格。
オールドスクールの世界は一部の再録禁止のカードは確かに高い。
が、それが必須というわけでもない。
青単は厳しいかもしれないが、
白単、黒単、赤単、緑単はおおむね難しくなく組める。
再録版だけで組めば1万円以内に収まる事もある。
1枚5000円のスタンダードレアを2~4枚買うより、
1デッキ1万円からスタートするほうがお手軽だ。

ちょっぴり本気になろうって気持ちになったら、
《心霊破/Psionic Blast》:アンコモン
《陥没孔/Sinkhole》:コモン
あたりのUnlimitedまでにしかないカードに目を向けるのも一興。

3:MTGの基本としてのプレイングが身につく。

MTGの基本である、
リソース、アドバンテージ、テンポといった事が、
この世界ではとても大きく学べる。
経験していない人に説明するのはとても難しいし、
文章で伝わるかどうかも難しいが、
この世界は、
「出来ない事が多い。」
という世界。
正確には、
「2000年以降で出たカードに比べて、
 この世界だけでデッキを組むと、
 不器用で出来ない事だらけ。」

となるが、これだとなんとなく誤解を招きそうだ。
後述の話とも繋がるのだが、
「あれも出来る、これも出来る」
というカードが無い。
わかりやすい例を挙げると、
「魔除け」「命令」「分割」シリーズのカードのように、
複数ある効果から選べるなんて器用なカードがほとんどない。
器用なカードが無いのは対戦相手も自分も同じ。
そうなると構築やプレイングを考える。
考えて身につくものはプレイヤーをとても強くする。
この点については、
「どのカードも1枚しか入れられない」
というルールのおかげで、
ある意味で器用さを失われているEDHにも通じるものがある。

これだけでわかってもらえるとは思えないのだけれども、
オールドスクールの世界はプレイヤーを強くする。

4:一撃でゲームが終わるコンボがほぼ無い。

これは本当にシンプルの書いたまま。
無限コンボなんてほとんど無い。
無限ターンは出来るけれども現実的ではない。
一応書いておくと、
《Time Vault》
《動く秘宝/Animate Artifact》
《賦活/Instill Energy》
の3枚で成立する。

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しかし、《Time Vault》は制限カード。
そういえば何故制限されているんだろう?
《通電式キー/Voltaic Key》
《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》
《多用途の鍵/Manifold Key》
などが無い世界でこのカードはあまり制限する意味が無いはずだが。
ま、それはともかく、
無限をやろうとすると2枚で一撃必殺!なんて事が無いので、
変な言い方だが、
「まともなMTG」
が出来る。
決して一撃必殺のコンボを否定しているわけではないのだけど、
「ハイ、ストーム貯まりました!サヨウナラー!」
「《実物提示教育/Show and Tell》から《全知/Omniscience》!
 《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》!
 おしまいでーす!」
「《Demonic Consultation》+《タッサの神託者/Thassa's Oracle》!」
「《最後の審判/Doomsday》+《タッサの神託者/Thassa's Oracle》!」
といった
「特定の対抗手段が無い限り一方的なコンボゲーになる。」
という事がオールドスクールの世界には非常に少ない。
「コンボパーツを《思考囲い/Thoughtseize》で潰し、
 トップからコンボパーツをツモられない事を祈る。」
なんて話が無いという事。
こういう言い方をしていると誤解されそうなので、
一応書いておこう。
今のMTGが健全じゃない!なんて解釈をしないでほしい。
そういう意図ではなく、
このオールドスクールの世界のMTGの楽しさの1つですよ!
純粋な時代のMTGを楽しんでみて!

というだけ。

5:たった1枚のカードでゲームが
決まる事がほぼ無い。

これは4の理由に近いのだけど、ちょっぴり違う。
たった1枚のカードでゲームが決まるカードと言って、
皆が思い浮かべるカードはだいたいお決まりのはずだ。
悪名高き奴等だ。
悪名高いと言っても店主は大好きなカードなのだけど、
でも悪名高き奴等だ。
その筆頭たる存在はもう説明不要だと思う。
あの鹿野郎だ。

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《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》の事だ。
ついにレガシーでも禁止を食らい、

スタンダード:禁止
パイオニア:禁止
ヒストリック:禁止
モダン:禁止
レガシー:禁止
ブロール:禁止

不名誉な6冠を達成する大馬鹿野郎である。
こいつが出てくると、
「MTGをするのではなくて、
 オーコを対処するゲームになってしまう。」

というのが一番問題だ。
他の一部のプレインズウォーカーも同様で、
「それを対処出来なかった事で負ける。」
という事は往々にしてある。

オールドスクールの世界はプレインズウォーカーが無い。
強いプレインズウォーカーというのは、
「それ1枚だけでゲームを終わらせるパワー」
がある。
単純明快な強さのパワー9達には、
「ゲームを終わらせるパワー」
というやつはない。
強いプレインズウォーカーはこれがある。
ハッキリ言ってしまうのもなんだが、
パワー9よりも余程タチが悪い。
理由は簡単で3でも述べている、
「複数ある効果から選べる」
という能力を持っているパーマネントだから。
「魔除け」「命令」「分割」は一度撃てば終わりの呪文だが、
プレインズウォーカーは壊されない限り毎ターン使える。
「勝手にアドバンテージくれる装置」であり、
「放っておくとゲームに勝てる装置」だ。

もっと言うと、
「ジェイス潰せないから負けたわ。」
「リリアナがどうにも出来ないから負けたわ。」
こういう事というのは、
プレイヤーが強いのではなくて、
カードの強さがプレイヤーの実力を完全に凌駕しているという事。
つまりプレイングではどうする事も出来ない事がある。
これを読んでいる人も一度は経験しているのではないだろうか。
「ある程度勝ったと思われる盤面を、
 たった1枚のプレインズウォーカーでひっくり返され、
 為す術もないまま負けた。」

という経験を。
そういうものが無いオールドスクールの世界は、
たった1枚のカードでゲームを決められる事など珍しい。
プレインズウォーカーというシステムは面白い。
面白いし強い。
けれどもそれが無い世界もまた面白い。

6:アドバンテージの取り方が違う。

このお話も3~5の話と通じるものがある。
2000年以降のカードには一方的なアドバンテージをくれるカードが結構ある。
その最たるものはプレインズウォーカー。
オールドスクールでは厳密に言って、
一方的なアドバンテージのカードはたった1枚。

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《Ancestral Recall》のみ。
このカードだけがカードを1枚消費して手札を単純に増やす。
(《Braingeyser》も該当しそうだけどX次第なので例外。)
他のカードは相応のコストを支払う、または状況を選ぶ。
この
「他のカードは相応のコストを支払う、または状況を選ぶ」
でアドバンテージを得られるカードというのは、
《Moat》
《The Abyss》
《ジェイムデー秘本/Jayemdae Tome》
《支配魔法/Control Magic》
《Wheel of Fortune》
《Timetwister》
《津波/Tsunami》
《野火/Flashfires》
《ハルマゲドン/Armageddon》
《地震/Earthquake》
《神の怒り/Wrath of God》
《破裂の王笏/Disrupting Scepter》
《精神錯乱/Mind Twist》
《Amnesia》
《強欲/Greed》
《土地税/Land Tax》
《森の知恵/Sylvan Library》
などのカード達の事。

《Ancestral Recall》のみがコストも異常な安さでアドバンテージを得る。
しかしこのカードは制限カード。
早々何度も出てこない。
なにせこの世界のチューターは《悪魔の教示者/Demonic Tutor》だけだ。
使用可能カードの中で《Ancestral Recall》しかないのだから、
プレイヤーはアドバンテージを他の方法で模索しなければならない。
そこが3でも述べている
「出来ない事が多い。」
に繋がっている。
プレイヤーは
「出来ないならどうする?」
を考え、プレイに繋げる。
それが面白い。
アドバンテージを自力で考え、
相手のライフを20点削る。
(またはライブラリーアウトを狙う。)
「強いカードやプレインズウォーカーを叩きつけて、
 それを守りきれば勝ちじゃあああ!」
なんて簡単に言えない世界だ。
だいたいのカードは1対1交換だ。
この1対1交換が基本となっている中で、
どれだけリソース、アドバンテージ、テンポを考えるかが、
勝利への鍵となるところがオールドスクールの魅力の1つ。

7:青が一方的に強いという事がない。

この世界の青は強い。
だが他の世界ほどひどくない。
一番わかりやすく言うと、
《意志の力/Force of Will》
《否定の力/Force of Negation》
をはじめとするピッチスペルがこの世界には無い。
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
《王冠泥棒、オーコ/Oko, Thief of Crowns》
をはじめとする邪悪なプレインズウォーカーもこの世界には無い。
《思案/Ponder》
《渦まく知識/Brainstorm》
《定業/Preordain》
《先触れ/Portent》
《血清の幻視/Serum Visions》
《選択/Opt》
などの1マナ1ドローのライブラリー操作すらない。
他の世界にある青だけの異常とも言える特権はほとんど無い。
どの色にも
「戦える権利」
というものがある世界だ。
前述した通り一方的アドバンテージをもらえるカードは、
《Ancestral Recall》1枚だけでこのカードは青いけれども、
だからといって青だけが強い世界ではない。
大したレアも使わない黒単や白単が優勝する事もある。
青相手には《津波/Tsunami》や《ハルマゲドン/Armageddon》を通せば、
押し切れる事も多い。
どの色にも戦える権利があるというのは、
健全な世界だと言い切ってもいい。
「青いデッキが襲ってくるのが前提。」
という世界ではない。

8:アンティーク感を楽しめる。

この世界のルールからして旧枠が前提だ。
MTGは歴史が長くなるにつれて様変わりしたところがいくつもある。
・土地がマナシンボルだけになった。
・枠が数回変化した。
・フルアート版等全く枠が無いカードが出た。
・マスターピースや絵違いカードが大量に出た。
こういうものがごっちゃになっているデッキは、
一切の統一感がない事だけはちょっぴり残念だ。
しかし、オールドスクールの世界は枠は1種。
古き良き時代の最初のMTGの枠のみだ。

FOILさえない。

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α、β、Unlimitedの枠には独特の趣がある。
このアンティーク感は他では味わえないものと言い切れる。
そして、
最初は再録版でオールドスクールを始めて、
1枚1枚をゆっくり純正にしていく事も楽しみの1つにしても良い。
全てを純正に出来た時の喜びは何ものにも代えがたい達成感があるはず。

ここまで書いてきてどれほど面白さを伝えられるかわからないが、
オールドスクールはとても魅力的な世界だ。
EDH同様、入るだけなら大きなコストもかからないので、
多くの人に入って来てほしい。

ではまた。





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