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東京で縮こまるな日本に出よ

ずっと東京でビジネスをしていると、東京が日本の全てのような錯覚に陥ってしまう。

人口は多いし、多くの企業が集積している。
政治の中心でもあるし、メディアもここを中心としている。

でも考えてみたら、世界で活躍する日本企業は、東京に本社が無いことが多い。

昔、「ニューヨークは虚業の街だよ」と言われたことがある。「だって、金融とエンターテイメントの街だから。実体ではなく幻想で成立している。」と言っていた。

東京はそこまでではないけれど、金融・メディア・エンターテイメント・政治が他の都市にはない特質だとするなら、同じような感じがしなくもない。


ぼくが福岡に移住したのは2010年。もう12年になろうとしている。

移住して実感したのは、ビジネスを考えるときのバランス感覚が格段に上がったことだ。

東京でビジネスをしていると、どうしても似たような人たちが集まってしまう。仕事を企画しても、イベントをやっても、夜の集まりをやっても、似たような業種、似たような考え方を持った人たちが集まる。まさしく”Birds of a feather flock together.”な感じ。

だから相当とんがった、もしくは偏った考えであっても、なんだか普通に思えてきて、だんだん普通がわからなくなってくる。これは、人口が多いからではなく、似たような人同士が集まりすぎるから、バランスが取れなくなってくるのだと思う。

福岡にいると、とにかく何をやっても様々な業種、様々な考えの人が集まる。ITやネット系の人は多いけれど、その分野で最先端のビジネスをやっている人は極めて少ない。けれども、小売店や製造業、工芸をはじめ、様々な分野で一流の人たちがいる。場所を間違えなければ、海外でのビジネス経験のある人や、海外に進出している人などは、びっくりするほど身近にいて、しかも結構多い。でもそういう人たちは、「日本を飛び出して世界で勝負!」みたいな気負いはなく、必然的にそうなっているだけであって、「だって、その方が面白いじゃない。」という感じだ。

フランスにお店とかあって世界に進出しててすごいですね。とか言ったら、いや、世界とかじゃなくて、フランスだけだよ。とか言われそうだし、ニューヨークで働いていた時の話とかも、別に特別な話として語る人など誰もいない。

つまりこのフラットな感覚が、ビジネスを考えるときにとても良い刺激になっている。

結局、ぼくらがやっているような最先端のIT技術は特別な人のためではなく、この社会のための道具でしかない。だから、特別な集団ではなく、様々な人たちがいる社会そのものをちゃんと実感し、「日本と世界」とかではなく、都市のフラットなつながりが世界というものを形成しているのだと自覚することが、とても重要だ。

だから、東京であっても福岡であっても、一つの場所に閉じこもっていないで、どんどん活動を広げていくべき。

東京で縮こまるな、日本に出よ。
東京を目指すな、日本に出よ。

本当の日本は、東京だけでもなく、福岡だけでもなく、この多様性豊かな都市のつながりそのものなのだから。

そしてその先に、世界の都市がフラットにつながっていく。
ぼくたちがそこを実践するのは、これから。
もうすこし。じわじわとそうなりつつあるから。

頑張るよ。ぼくたちも。

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