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新しいことは若い人にという欺瞞

誰もが気がついているように、社会は劇的に変化をしている最中だ。

もともとこの社会では、人口減少が進んでいた。人をなかなか採用できない。働き手の確保が難しい。そんなことが企業の重大な課題になっていた。だから、社員が退職することはとても大きなダメージなので、働きがいのある職場づくり、仕事の進め方。そういうことに、どの会社も真剣に取り組み始めていた。

そこにコロナがはじまった。

きっかけはコロナなのだけど、もともと課題だったこともあり、新しい働き方。会社に出社しないで良いということを、今後の標準的な働き方と決定した大企業は、すごい勢いで増えている。

出社しないことで、会社にまつわる儀礼的なものは次々消滅しはじめている。面白いことに、お中元やお歳暮といった慣習も劇的に減っていて、市場規模はこの10年近く減少を続けている。そう考えると、儀礼的なものが吹き飛ぶのも長期トレンドとして動いていたのかもしれない。

いずれにしても、もしかしたら10年くらいの時間をかけて変化するはずだったことが、一気に押し寄せたようにも見える。

こうした突然の変化は、社内の状況だけでなく、事業環境も含め、企業経営に劇的な影響を与えている。新しい時代がはじまったのは確かだ。もう過去に戻ることはないだろう。でもこの時代をどのように生き延びたらよいかは、まだ誰にもわからない。

こういう事態に直面したとき、成功している会社は、当たり前だけど会社として対策を考え、組織として挑戦をはじめる。

なのに一部の会社は、「新しいことは、若い人に」と言ってしまう。

そのセリフを聞くと、いつも「まじか」と言いそうになる。

若い人ってことは、入社年次が若い人。社内でのポジションがまだ浅い人。充分な権限を与えられていない人。仕事の経験がまだ深くない人。そんなことを想像しながら、くらくらしてくる。

ちゃんと権限のある人を据え、組織として改革にとりくむべきなのに、なぜそんな普通のことができないんだろう。

やってみろと言われた若い人。仮にドラスティックな挑戦をして結果を出したとしても、結局上が理解できなかったり、認めなかったりしたらそれで終わる。気持ちが。こんな会社続けてられっか。ってなるよね。だって、その会社でできなかったことができるかもしれない感覚を掴んだりしてるのだから。

人類が成し遂げたはじめての月面着陸。アポロ11号は、チームの平均年齢が27歳だったそうだ。そしてその27歳のチームを、40万人が支えた。
[https://www.bbc.com/japanese/video-48977288]

変革は、会社としての課題なら、組織として取り組み、やるべき人がとりくむべき。そしてやらせるなら、全力で支援して、最後までやらせる。
そういうことだと思うよ。

人口減少社会なんだぜ。

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