見出し画像

社内研修向けのPower Appsの教材を作ってみました

Qiita アドベントカレンダーの記事として、先月「Power Apps の教材を作ってみた」という記事を投稿しました。

 記事を要約すると「独習の環境は充分すぎるほど整っている一方、それでも学習に踏み込めない人たちの存在の方が世の中の大多数を占めている」というものでした。

 それに対抗する策として「何から始めれば良いのかが分からない人々のために、学習の初期段階では、手取り足取り用意する」必要性を上のイベントでお話させてもらいました。

 今回、その提案として作成していた教材の章立てを大幅に見直し、その内容にも改良を加えた教材を新たに作り直しました。その初稿を先日書き終えたので、他の教材と異なる点(教材の新規性)について覚書です。

 現在、Power Apps などのツール導入を検討されている方は、当記事を参考にしていただき、独自の教材を作ってみてはいかがでしょうか。

1. 特徴

本書は、市民開発者養成及びツール導入の一助になればと、筆者の考えた Microsoft Power Apps の学習教材です。タイトルは未定ですが、暫定的に Power Apps Builder としています。

 40項目(計118ページ)のレッスンを通して、Power Apps(敷衍すればプログラミング)を学習できるようになっています。

01. 講師が扱いやすい

現時点(2023年1月)で出版されている Power Apps の教材は、どれも初学者用の教材として優れているものばかりです。正直、改良の必要はないとさえ感じています。

 「1人で学習すること」を意識して作られており、学習者に読んで理解してもらうため、その文章には目に見えない配慮が盛り込まれています。

 しかし、研修や講習に文脈が変わった時、当たり前ですが、じっくり読みながら授業を進められるほどの時間はありません。

 学習者の習熟度に大きな差があった場合や、その企業の予算および動員数の都合など、様々な要因が重なって工面し難いといえます。

例 : Navigate関数、Back関数

この教材は、限られた時間を無駄なく使うために(一部を除いて)見開き1ページを原則に、4ステップで機能を紹介できるように工夫しています。

 その4ステップ全てにスクリーンショットを貼り付け、紹介文も箇条書きを基本とし、具体的な指示は吹き出しを利用しています。

 「一緒に触ってみましょう」という形で授業できるような状況をイメージして作っているので、講師が本を1冊読み込んで受講者に還元するという負担を軽減できるのではないでしょうか。

02. 学習者が復習しやすい

見開き1ページ、スクリーンショット、指示は1行(箇条書き)を基本としているので、復習も容易であると考えています。学習内容が見開きでまとまっているノートにもなっています。

03. 他学習教材との連携を図る

このテキストでの目標は、ひと通り学習を終えた段階で別の書籍やブログ記事を読みながら Power Apps を扱えるようになることです。

 各章での学習内容は、研修向け教材である性質上、可能な限り機能を絞ったものにしています。

 例えば、関数の学習では「入れ子構造が理解できる」を目標に作っています。変数の学習では「グローバル変数とコンテクスト変数の相違点」にのみ着目しています。

 「委任」や「SharePointサイトの作成方法」などについては、あえて取り上げず、ハイパーリンクや参考文献を紹介することで連絡を図っています(取り上げたことによる混乱を防ぐ目的です)

 ひと通り学習が済んだ後は「付録」の書籍紹介、Webサイト、YouTubeチャンネル、そしてコミュニティの一覧から、興味を引いたものを受講者自身が選ぶことで、継続学習の環境を用意しています。

04. 適切な学習負荷をかける

「前の学習内容が、次の学習にも活かせる」を原則に、1ページに複数の学習項目を設定しないように心がけています。

 ある関数の説明のために、学習したことのない関数を使ったり、その引数に別コントロールのプロパティを取得したりして説明することは、初学者にとって負荷が大きいものと判断しています。

例 : アイコンの挿入

コントロールを配置して色を変えたり、テキストラベルに各コントロールの値を取得していくところから始め、受講生がボトムアップ式に理解を深められるように意識しています。

05. 各章学習前の「ミニ講義」

例 : データの話

このミニ講義に関しては文章を取り扱っています。各章での到達目標について(画像付で)1~3ページ以内での執筆を心がけています。

 コントロールとは、プロパティとは何なのか。変数の解説、テーブルとフォームの仕組み、配列操作…といった、アプリ開発における基礎知識を(意識して欲しいことだけに絞って)さらえるような内容になっています。

2. 過去案との比較

過去案は、コチラの記事に書いてあるように、UIに影響しない「関数」に焦点が当てられたものとなっていました。

 しかし、この関数特化型教材の制作中に、多くの初学者が「プロパティの取得」で躓いていることが判明し、さらには「似たような機能の関数(例:Filter関数、Search関数、LookUp関数)を一度に教えると理解が妨げられるのでは」というご指摘を賜りました。

 急遽、緩衝材としてセクションを追加し、さらに機能を絞った形で提供することで「自分にもできる」という感覚を養ってもらえるように致しました。

 改訂新版の目次は(現時点で)以下の通りです。

  1. 画面の説明とアプリ作成のルール

  2. コントロールとプロパティ

  3. 関数を使う練習

  4. 変数を使う練習

  5. データテーブルと入力フォーム

  6. データテーブルを操作する

  7. コレクションを操作する

  8. 付録

時間の経過と使用感と共に加筆修正する可能性はありますが、概ねの流れは最良の手順だと思っています。

 コントロールの配置をしながら命名規則に慣れ、プロパティの設定をマウスで行い、マウス操作でプロパティを設定できるようになったら今度は数式バーでそれを設定し、数式バーで設定できたら関数で制御し…といった流れを汲んでいます。

 過去案と比べてみても、取っ付きやすさ、そして予想される理解の度合いなどは飛躍的に上がっているのではないか…と考えています。

3. 今後の展望

今後、有識者に査読をお願いしたり実際に使ったりするなどし、この教材に加筆修正を加えていく格好となりそうです。

 気になった点などを検討材料に、さらなる改良を加えたいと考えています(具体的には、クラウドフローや他ツール連携など)

 また、この教材の公開方法に悩んでいます。
 ご助言やお誘い合わせのほどよろしくお願いします。

 恩送りの観点から無償提供するのか、出版社に持ち込みをするのか、Kindleでの自費出版(無料ですが)をするのか、そもそも公開せずに自身が全国各地を動き回って研修に向かうのか…。

 この記事を起点に、Power Apps がもっと広まりますように。

結(お仕事の募集)

現在、2023年3月3日以降からのお仕事を募集しています。案件によっては来月2月からでも可能なのでコチラからご連絡いただけますと幸いです。

ご連絡は Twitter のDMからでも結構です(そちらの方が反応が早いと思います)

 ご検討のほど、よろしくお願いします。

追伸

余談ですが、筆者は Power Platform 開発支援や講師などを請け負うフリーランスとして生計を立てているのですが、そう名乗っている方が「無職よりも箔が付くから」というだけで、実際のところは求職中でもあります。

「広島から出られない」という制約はありますが、1週間程度の出張であれば(交通費・宿泊費・食費を良識の範囲内でいただければ)全国どこへでもお伺いします。

こちらもご縁がありましたら、お待ちしております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?