桜の季節と母

去年の日記。
桜の木の枝先がほんのり色づいているという一文がありました。今年の同じ日はどこも桜が満開で、1人で買い物がてら車で移動しているとたくさんの満開の桜に出逢います。

その度に、応えてくれない母に「母ちゃん、今年は桜の花がはやいね。満開だよ」と独り言で話しかけてしまいます。

母は花が好きでした。玄関先にはつつじ、朝顔、カーポート付近にはがくあじさい、あやめや牡丹の花など季節によって花が咲いていました。庭もない家だったのでプランターに花を咲かせていました。

そして夏になると、買い物帰りには必ず保冷用にスーパーからもらってきた氷をプランターの土にまいていました。

一昨年までは、春の桜の季節になると桜が咲いている場所を求めて、買い物がてらあちこち母とドライブでした。また山吹が鮮やかに咲き誇る道もあり、そこに出かけていました。

でも去年の桜の季節を間近にして母は入院となり、とうとうその年一緒に桜を見ることなく天国へ旅立ちました。

昨年3月の頭には元気がなくなっていた母。3月中旬ごろには病院に何度か通ったりしてましが、その時点では極度の貧血という診断でしたので、元気になって今年も桜の花を見てまわろうねと励ましていました。

天寿をまっとうしたと言っていいくらいの年齢で旅立った母ではありますが、亡くなる一年前の血液検査などいくつかの検査では異常はありませんでした。むしろ年齢からしての検査結果の数値の状況から、主治医の先生が驚くほど健康でした。

そのように健康で、亡くなる年の年明けくらいまで台所に立って食事の支度をしていた母。不吉なことは考えたくないけど、心の奥底に考えてはいけないこと、母と桜を見れるのはあとどのくらいという気持ちは心に眠らせていました。

そして、母と桜を一緒に見ることがなくなって二度目の桜の季節…

もうすぐ、一周忌です。

息子が、ランニングコースになっている公園の満開の桜の写真を撮ってLINEで送ってくれました。

「おばあちゃんここの桜好きだったんでしょ。プリントアウトして飾ってあげよう」

もっともっとたくさん母とドライブして、お花を見ておいしいものを食べて過ごしたかった。

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