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ジプシーは空に消える


『ジプシーは空にきえる』(1976。ソ連・モルダウ゛ィア共和国映画)、をDVDで見た。
日本公開は1979年4月7日、日劇文化、日本海映画、配給。

この映画を観たのは、確か、東京の大塚にあった映画館でだったと思う。
映画館の名前がもう思い出せない。
とにかく、僕が東京で一人アパート暮らしをしていた頃のことだから、30年以上たっている。同じ頃、グルジア映画の『ピロスマニ』(69)も観たのだった。
ソ連の映画といえば、エイゼンシュタインかタルコフスキーのくらいしか知らなかった僕には、まことに新鮮な驚きだった。

この映画は、青年時代に国内外を徒歩で放浪し、ジプシーと共に過ごした体験をもとに、マクシム・ゴーリキーが24歳の時著わした処女作短篇『マカール・チュードラ』が原作となっている。老ジプシー、マカール・チュードラの語りによって、奔放で生命力あふれるジプシーの世界が描かれている、ものだそうだ。
けれど、この映画の 話の内容は単純。
恋愛もの。だが、そのジプシーの女性は魔女と噂される誇り高き自由な女だった。惚れた男は馬泥棒。彼もまた自由を愛する男だった。結末は悲劇とならざるをえなかった。
この映画の何よりの魅力は、その音楽だ。
そして、ジプシー音楽にマッチした映像だ。
哀愁をおびたその音楽は、僕を魅了するに充分だった。

…………『ロングラン』といい『帰らざる日々』といい、インターネット発達によるネットショップのおかげで、再びみることができたのはうれしいのだけれど、やはり、これはあの映画館の中でスクリーンの映像でみていたいと、思わずにはいられないのだった。


以下、2003年製作販売のDVD内収蔵の解説より。

脚本・監督、エミーリ・ロチャヌー
撮影、セルゲイ・ウロンスキー
音楽、エウ゛ゲニー・ドガ
監督もモルダウ゛ィア(現在のモルドウ゛ァ)共和国出身。
音楽のドガも、主演の二人もそう。他、モスクワのジプシー劇場【ロメン】のメンバーが多数出演している。

ジプシー自身は【ロマ(人間、の意味)】と称する。
ヨーロッパの言葉では「流れ者」「放浪者」を意味する「ジプシー」「ボヘミアン」「ツィゴイネル」「ジタン」と呼んだ。 映画の題名の最初のロシア語単語「ターボル」は、ジプシーの他に「キャンプ」も意味する。
現在のモルドウ゛ァ共和国は、黒海の北に位置して西はルーマニアに接し、南北と東はウクライナに抱き込まれている。面積は九州よりやや小さく、国土はなだらかな波状丘陵におおわれ気候は温和、高品質のぶどうを生産してワイン、ブランデー、シャンパンは世界一流品である。 現在でも、日本人旅行者が気軽に入国できる国ではない。


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