400字作文 14枚目

人間の娘に恋した悪魔

　メディアのエクバタナの町に、ラグエルという男がいた。娘のサラは聡明で美しく、彼女を見初めた男たちからの求婚が絶えない。だが彼女に恋するのは、人間に限らなかった。

　彼女は悪魔に付きまとわれるようにる。彼女が結婚すると、悪魔は相手の男が新妻に触れる前に殺してしまう。サラにはすぐ次の夫が現れたが、彼も結婚式の直後に死んだ。それが、これまで七回も繰り返されていたのだ。

　すっかり結婚を諦めた父娘の前に、ニネベに住む親戚の青年トビアが現れて結婚を申し込んだ。家族だけの質素な婚礼のあと、新郎新婦は寝室に入る。だがトビアは死ななかった。彼を守る天使ラファエルが、サラに付きまとう悪魔を捕らえたからだ。翌日、サラは新たな夫と共にニネベの町に旅立った。

　捕まった悪魔はその後どうなったのだろう。残念ながら、それは聖書に書かれていない。