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ペドロ・アルモドバル監督作品を観る。DOLOR Y GLORIA / ペイン・アンド・グローリー(2020年6月19日劇場公開)

正にアルモドバルによるアルモドバルの為の映画。芸術家の創造の軌跡を知っているとより深いところで心が共振します。

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本作も「母」についての映画です。アルモドバルの創作における母親の存在という限定的な視点です。

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本作も「医学」についての映画です。アルモドバルの医学に対する興味が物語の駆動装置です。

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本作も「赤色」についての映画です。それは血の色であり、情熱と愛と運命を表すアルモドバルにとっての永遠の「赤色」なのです。

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主人公の部屋。彼の人生におけるグローリーの象徴がこの部屋です。

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昔、一緒に仕事をした俳優の舞台劇の脚本を書いたことで物語が動き出します。壁の色、椅子の色、わかりますよね、こだわりが。

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その劇をたまたま観ることになるある男性。チケットを買っている女性の服装まで赤色なのが徹底しています。

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ペインの象徴として様々な検査、治癒の跡、病状説明が描かれます。医学に関するドキュメンタリーを見ているかのようです。

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母親とのエピソード。この構図でアーティスティックなセンセーションが本作のテーマですよと告げているのです。

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それから眩いばかりの過去エピソードのシーン、ペネロペ・クルスの存在感がアルモドバル映画に戻ってきて嬉しい。

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子供時代のこの情景の美術的な到達点は、相当な高みにありますね。しかも後々、大きな感動をもたらすシーンの伏線になります。

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カーク・ダグラスにもさりげなくオマージュを捧げています。もちろん着ているシャツは赤色。

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クロニカルなエピソードの見せ方が感心するほど上手い本作。実はポスターがどれもとんでもなくアーティスティックです。

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もし、同じ時代に生きているアーティストを好きになったら、その作品に発表されたタイミングで触れていくことが大切なのです。


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