DISCLOSURE / (口外)
とても刺激的なオーストラリアの映画、スイス生まれ英国育ちのマイケル・ベンサム監督・脚本。
ロマン・ポランスキー監督の『おとなのけんか』という作品と同じテーマ。子供の喧嘩におとなが口を出す話です。でもポランスキー作品より面白かった。
でも、本作は口論だけでは済まなくなるほど、親同士は大げんかをします。着火点に向けて導線を長く引っ張るようにコトの次第を描いていくセンスは相当なもの。
オーストラリアのヴィクトリアのある夏の日の午後。風音、木々のざわめきなど親同士の喧嘩を嘲笑うような一見関係のないショット挿入が実に映画的に雄弁です。
「どの物語にも本当か嘘かの二つの側面があります、そしてどの物語にも真実があります」という惹句が、ほぼ会話劇だけの84分の本作の全てを表しています。
観ている間、厭な感覚に襲われます。どちらの言い分もそれなりにわかるので尚更始末が悪いです。ただ本作はそんな人間同士のいがみ合いを遠くから見つめている視点の存在を意識させるので、寓話的な印象を抱かせる懐の深さを持っています。
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