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PAPICHA / パピチャ 未来へのランウェイ(2020年10月30日劇場公開)

90年代のアリジェリアの内情は全く知りませんでした。だからイタリアで公開されたときのタイトルは、"NON CONOSCI PAPICHA"=『君はパピチャを知らないで』でなきゃダメだったんです。

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この映画が描こうとしていることは、パピチャ達がほぼ内戦下のアルジェリアでファッションショーを開催したっていうことじゃなくて、90年代に人間の尊厳を奪われていた女性たちがまだまだ沢山いたんだということを誰も知らないじゃないか!という怒りの告発だと思います。

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だから、パピチャ達をヒロイックに宣伝する日本の配給会社のセンスには大いなる疑問を感じます。

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「サフラジェット」という映画がありました。19世紀末から20世紀初頭にかけて、「参政権」"Suffrage" を女性にも与えるよう主張する英国の女性団体のメンバー達を描いた映画。これも何故か日本では『未来を花束にして』というタイトルで公開されました。

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先月亡くなったアメリカ最高裁判所判事のルース・ベイダー・ギンズバーグの半生を描いた映画、"ON THE BASIS OF SEX" も何故か日本では『ビリーブ 未来への大逆転』として公開。

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どの邦題も映画で描かれた女性達の活躍のおかげで、女性が自由に活躍できる社会が実現しましたっていうお気楽な考えの下、女性観客に感動話を売り込むという手法を安易に選び過ぎな気がします。

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女子寮の管理人、イスラム過激派の女性たち、恋人の男性達から、女性というだけで人権侵害を受けていたことの告発こそがテーマだから見ているのも辛くなるような惨劇を描いたのです。

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映画から何を受け取るかは個々人の自由ですが、せめて配給会社にはその映画の作り手の意図を最大限尊重するような真摯な態度で配給・宣伝という仕事を期待したいと思います。

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https://papicha-movie.com


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