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「狂った映画、世にも異様な映画、それが今回の作品の狙いなのです」ホラーでもSFでもない、黒沢清の最新作『チャイム』の制作が決定!

  ※写真『チャイム』黒沢清監督

 ジャパニーズ・サイコホラーの金字塔『CURE』や、20世紀末の世に放たれ、当時”NEOホラー”と宣伝で形容された黙示録ホラー『カリスマ』、Jホラー表現のひとつの到達点であり、正統な日本版『ゾンビ』でもある『回路』を発表し、その他あらゆるジャンルの作品を手掛けつつ、90年代以降の日本ホラー映画史に多大な影響を与えてきた、黒沢清。このたび、黒沢の手により、ホラーでもなければSFでもない、まったく新しいジャンルの映画制作が決定した。
 黒沢が監督と脚本を担う『チャイム』と題された本作は、Web3時代のメディア配信プラットフォーム・Roadsteadで、2024年の独占販売を予定。以下に内容を紹介する。

<ストーリー>
 この世に確実にある摩訶不思議でおそろしい出来事……。
 ある料理スクールで、男性生徒の田代を教える松岡。田代が突然、何かの声が聞こえると言い出す。料理教室でも、田代は少し変だと言われているが、松岡は気にしない。しかし翌日、田代は「僕の脳の半分は入れ替えられて、機械なんです」と言い出し……。

 現在、発表されている情報はタイトルとストーリーのみだが、あらすじだけでも、ジャンル映画好きや黒沢清作品を追いかけてきた者の期待を膨らませるのに十分だ。黒沢清、高橋洋、篠崎誠、小中千昭らが追及してきた恐怖表現のさらなるビヨンドにある世界を見せてくれるのか。
 黒沢からは、心おどるフレーズが並ぶコメントが寄せられた。

―これは見た人があ然となり、見終わった後に恐怖が強く残ることを狙った作品です。 通常の物語で必要とされていることは一切説明されません。また、ホラーとかサスペンスといったジャンルにも当てはまりません。狂った映画、世にも異様な映画、それが今回の作品の狙いなのです。―

 新しいプラットフォームだからこそ実現できる、尋常ならざる物語。いまや世界的巨匠となった黒沢が放つ”狂った映画、世にも異様な映画”の完成を期待して待ちたい。【本文敬称略】(文:後藤健児)

黒沢清監督プロフィール
1955年生まれ。兵庫県神戸市出身。立教大学在学中より8ミリ映画を撮り始め、1983年商業映画デビュー。『CURE キュア』(1997年)で世界的な注目を集め、『トウキョウソナタ』(2008年)で第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞を受賞。『岸辺の旅』(2015年)で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞。『スパイの妻』(2019年)で第77回ベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞。

作品情報 『チャイム』
監督・脚本 黒沢清
製作:ねこじゃらし
企画:Sunborn
制作:C&Iエンタテインメント

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