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特別寄稿! 気鋭の海外ドラマ評論家が選ぶ、見逃し厳禁の2022年度・配信ドラマ・ベスト10!

選・文:池田敏

1位 テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく シーズン2
TED LASSO
21年米TV/クリエイター・脚・出:ブレンダン・ハント/クリエイター・脚:ジェイソン・サダイキス、ビル・ローレンス、ジョー・ケリー /出:ハンナ・ワディンガム/全12話/Apple TV+にて配信中
2位 ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男
THE OFFER
21年米TV/クリエイター・指・脚:マイケル・トルキン/指・脚:レスリー・グリーフほか/出:マイルズ・テラー、マシュー・グード、ダン・フォグラー/全10話/U-NEXTにて配信中/DVD:NBCユニバーサル
3位 ウェンズデー
WEDNESDAY
22年米TV/クリエイター・指・脚:アルフレッド・ガフ、マイルズ・ミラー/指・監:ティム・バートン/出演:ジェナ・オルテガ、グウェンドリン・クリスティー/全8話/Netflixにて配信中
4位 ハウス・オブ・ザ・ドラゴン
HOUSE OF THE DRAGON
22年米TV/原・クリエイター・指:ジョージ・R・R・マーティン/クリエイター・脚・指:ライアン・J・コンダル/監:ミゲル・サポチニクほか/出:パディ・コンシダイン/全10話/U-NEXTにて配信中
5位 ザ・オールド・マン~元CIAの葛藤
THE OLD MAN
22年米TV/クリエイター・指・案・脚:ロバート・レヴィーン、ジョナサン・E・スタインバーグ/原:トーマス・ペリー/出:ジェフ・ブリッジス、ジョン・リスゴー/全8話/Disney+にて配信中
6位 ピースメイカー
PEACEMAKER
22年米TV/クリエイター・指・監・脚:ジェームズ・ガン/出演:ジョン・シナ、ダニエル・ブルックス、フレディ・ストローマ/全8話/U-NEXTにて配信済/DVD&BD:NBC ユニバーサル=ワーナー
7位 ステーション・イレブン
STATION ELEVEN
22年米TV/クリエイター・指・脚:パトリック・サマーヴィル/製・原:エミリー・セント・ジョン・マンデル/監:ヘレン・シェイヴァーほか/出:マッケンジー・デイヴィス/全10話/U-NEXTにて配信中
8位 今、私たちの学校は...
ALL OF US ARE DEAD
22年韓国/監:イ・ジェギュ、キム・ナムス/原:チュ・ドンクン/脚:チョン・ソンイル/出:パク・ジフ、ユン・チャンヨン/全12話/Netflixにて配信中
9位 ベター・コール・ソウル シーズン6
BETTER CALL SAUL
22年米TV/クリエイター・指・監・脚:ヴィンス・ギリガン、ピーター・グールド/製・出:ボブ・オデンカーク/出:ジョナサン・バンクス/全13話/Netflixにて配信中
10位 TOKYO VICE
TOKYO VICE/21年米・日TV/指・監:マイケル・マン  /原・指:ジェイク・エーデルスタイン/指・脚:J・T・ロジャースほか/指・出:アンセル・エルゴート、渡辺謙/全8話/WOWOWにて放送済

 特に動画配信サービス方面で、米国・英国などの欧米、さらに韓国など、誰が全部見ているんだという位に増え続けていう海外ドラマ。ここでは個人的ベストテンをご紹介。

●第10位『TOKYO VICE』
 マイケル・マン師匠が第1話を監督し、製作総指揮も務めた米日合作。新型コロナウイルス禍が始まった2020年春に東京でロケを始めた労作。猛勉強した日本語の巧さに驚かされるアンセル・エルゴートが演じる新聞記者が、1999年の東京で日本の犯罪社会に迫る物語で、渡辺謙らが共演。只、作品的評価は今後作られるシーズン2を待とう。

●第9位『ベター・コール・ソウル(シーズン6)』
 ブライアン・クランストン主演の『ブレイキング・バッド』では脇役だった、うさん臭い弁護士ソウル(ボブ・オデンカーク)を主人公に格上げしたスピンオフだが、こちらも傑作。『ブレイキング・バッド』の個性的な登場人物が次々と再登場するタイミングも秀逸。とはいえ、面白さでいうとシーズン5後半のほうが上だったか。でも大好きだ。

●第8位『今、私たちの学校は…』
 韓国では、『イカゲーム』に続き、今年もドラマの良作が生まれた。中でも本作は、ゾンビの群れが高校を襲うという、シンプルな物語ならではの強靭さを発揮しながらも、歩くゾンビもいれば走るゾンビもいるといった大雑把さは少々残念。でも面白かった。

●第7位『ステーション・イレブン』
 まるでパンデミックを予感していたかのようなサスペンス。パンデミックの始まりとその20年後を描くが、前者のリアル感も上質だが、後者の不思議なムード(生存者やその子孫はめちゃくちゃ陽気に暮らしている!)に驚かされた。第1・3話を監督したのは『アトランタ』も好評だったヒロ・ムライ。名音楽プロデューサー、村井邦彦の息子だ。

●第6位『ピースメイカー』
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(21年)で死んだはずのピースメイカー(ジョン・シナ)が生きていたというドラマ版。シーズン1の全8話で脚本を担当し、第1~3話で監督したのはジェームズ・ガン! まるで『スーパー!』(10年)あたりの悪趣味に原点回帰した。アクアマン役のジェイソン・モモアなど、ゲスト出演陣も充実。

●第5位『ザ・オールド・マン~元CIAの葛藤』
 新生『スパイダーマン』シリーズのジョン・ワッツが第1・2話を監督した渋いスパイ系サスペンス。30年前にCIAから引退したダン(ジェフ・ブリッジス)は田舎で暮らしていたが刺客に襲われて逃亡。しかし自分が狙われると予想していたダンは反撃を開始。ジジイ(失礼)が実は強かったという世界観で、大人のサスペンス好きにもお薦めだ。

●第4位『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』
『ゲーム・オブ・スローンズ』の前日譚であるスピンオフ。『ゲーム~』と同じく、ドラゴン(竜)がいる世界で人々が繰り広げる愛憎の関係と権力争いを描く。『ゲーム~』の大ヒットで、非常に高く上がったハードルを軽々と飛び越えてきた。まだシーズン1が始まったばかりなのでこの順位だが、展開次第ではもっとランクアップしてくるかも。

●第3位『ウェンズデー』
『アダムス・ファミリー』のお化け一家の長女ウェンズデー(ジェナ・オルテガ)をヒロインにした最新作だが、あれこれ感心してしまった。全8話中、第1~4話はあのティム・バートンが監督。考えたら『アダムス・ファミリー』とバートンって相性がいいのではという期待にまちがいはなく、フタを開けたら大当たりだった。いじめっ子の男子がいるプールに大量のピラニアを放つ、最凶ゴス美少女ウェンズデーから目が離せなくなる。

●第2位『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』
 名作『ゴッドファーザー』(72年)の製作の舞台裏を明かすノンフィクション。新人プロデューサーのアルバート・S・ラディ(マイルズ・テラー)は、題材にしたマフィアから目を付けられ、新人のフランシス・フォード・コッポラ監督(ダン・フォグラー)が予算をオーバーするなど四苦八苦。当時のパラマウントの社内抗争も盛り込んだのも面白く、『ゴッドファーザー』のファンのみならず、映画好きならまずは必見としておきたい。

●第1位『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく(シーズン2)』
 米国人アメフトコーチ、テッド(ジェイソン・サダイキス)が、なぜか英国のプロサッカー・チームでコーチ(事実上は監督)として雇われて珍騒動になるスポーツコメディ。当初は『メジャーリーグ』(89年)のサッカー版的なノリかと思いきや、試合の場面がほとんど無い上、負け犬たちの群像劇として最高。シーズン2は泣かせる場面が増え、番組自体がまだ進化。エミー賞のコメディ・シリーズ作品賞、2年連続制覇はダテにあらず。

 次点は、エミー賞でリミテッド・シリーズ作品賞を受賞し、シーズン2も配信が始まった『ホワイト・ロータス 諸事情だらけのリゾートホテル』(U-NEXT)。
 しばらく見て楽しんだが筆者に時間が無く、残念ながら視聴が止まっているのは『1899』(Netflix)、『ペリフェラル~接続された未来~』(Amazon)、『ウイニング・タイム-レイカーズ帝国の誕生-』(U-NEXT)、オムニバスの『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』(Netflix)など。あぁ、時間をください。

よろしかったらこちらも 町山智浩アメリカ特電『シン・ウルトラマン』

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