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“映人仲間”第十三回『撮影監督』

映画『初めての女』の原作『俳人仲間』(新潮社)になぞらえて、本作の監督・小平哲兵が撮影当時のキャスト陣とスタッフ陣を振り返ります。

監督絶賛のカット
鶴昇のセリフだがフォーカスは孝作へ


僕のお兄ちゃん

16回目は、撮影監督の仁宮さんについて振り返っていきたいと思います。
僕と仁宮さんの付き合いは8年前くらいになります。

プライベートの悩みの時も親身になって相談にのってくれたり、他愛のない長電話もする気心知れた仲で、仁宮さんは僕のお兄ちゃんだ。

そして今作でも、大変お世話になりました。
具体例は……幾つも思い浮かびますが……


俳優さんと共に演じている

例えば脚本には無い、現場で生まれた新しいアイデア。

その芝居に対して、どう動くかわからない中でも仁宮さんは機転を効かせて毎回対処してくれます。

それを見て、僕が毎回思うのは仁宮さん自身も撮る事と一緒に、俳優さんと共に演じているんだろうな〜と思います。

振り返ると……このチームは特に技術部の人達は演じていたのだろうと思います。


なかなかにヒートアップ

他にも、現場で僕と仁宮さんの意見が対立する何てことも幾つもありました。

その中でも、なかなかにヒートアップしてお互い言い合いになり現場の空気が冷えこんだ時もあります。

しかし、その時はいつも仁宮さんは撮影監督としての新しい解決策を僕に提示してくれます。

更に、侃侃諤諤の論争が終われば仁宮さんはちゃんと皆んなが聞こえる様に、僕を立て「コヒ(仁宮さんが言う僕のあだ名)さっきは言い過ぎたよ、ごめん。良い作品にしてこうな」と、声をかけてくれます。

人間が出来てると言うか大人と言うか何と言うか……
そのお陰で他のスタッフ、キャストも一層一丸となる事が出来ました。

雪が無いので「トラックで雪を取りに行く」と言い出す監督
それを止めたのも仁宮さん(落ち葉にして正解だった)


「監督はもっと仁宮さんに感謝しなきゃ駄目だよ」

他にも私の代わりに他のスタッフ、キャストに嫌な事も率先して言ってくれます。

もちろん、それは僕にも言ってくれます。
例を挙げればキリが無い程にまだまだあります。

本撮影が終わり、先に帰るスタッフを見送る時に、何人かのスタッフが僕に「監督はもっと仁宮さんに感謝しなきゃ駄目だよ」と言われました。

全くもってその通りです!

しかし、こんな時でも軽口をたたくクソガキの僕は「仁宮さんは僕みたいな馬鹿が好きなんです」と言ってのける始末……

全くわかっていない……いい大人がありがとうと言えないなんて……

そんな僕に仁宮さんはいつだって"大丈夫、演出に集中すれば良い、あとは何とかするから、期待してるんだから"と言って下さいます。

現場で、不安と孤独に打ちのめされてもそんな言葉のお陰で出し切り、やり切ることが出来ました。

感謝感謝です。


ボサボサ頭で気難しそうだけど

見た目は基本的にボサボサ頭で気難しそうな撮影監督といった感じで近寄り難いですが。

仁宮さんは僕にとっても、この作品にとっても"余人をもって代えがたい"そんな人物です。

そして僕個人にとっては、師匠であり大好きなお兄ちゃんです。
だからしっかりと……仁宮さん。

いつも、ありがとうございます。



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