それは中学の二年生だったと思います。

夜中ふと目が覚めると体も目線も動かすことができず、ただ一点をじっと見つめることしかできなかったのです。

そこに何かが置いてあるというわけでもないのです。

ただ目線を動かすことができないのでそこを見るしかできませんでした。

ですが明らかに深夜だということはわかっていたので見つめるのをやめて目を閉じそのまま眠りました。

次の日になってオカルト好きな私はその辺りになにか金縛りを起させる物があるのかもと思い周辺を探ってみるのですが、よく言う呪いの人形だとか念のこもっていそうなものはなくただ雑誌だとか参考書だとかそういった物しかありませんでした。

なんだ。と思いそのまま登校し夜になりました。

晩御飯を食べ終え当時携帯だとかを持っていなかった私はなにをするでもなくただその辺にあるファッション雑誌をボーっと眺めていました。

街中スナップ記事を読んでいる最中にふと何かの声が聞こえました。

最初は空耳かなと思ったのですがその声はどんどん大きくなってきたので外で猫がけんかしているのかな?くらいに思っていると突然耳元で「わぁ!」という幼い子どもの声が聞こえました。

突然のことに訳が分からず片耳を塞いだまま辺りを見回すもなにもなし

オカルト好きとは言っても所詮他人の話と思っていた節があり

自分がそんな経験をするなど想定しておらず完全にビビった私はその場にいるのが怖くなり自室から出てリビングに移動し家族が見ているテレビを一緒に見ていました

なんとなく家族に外で猫が騒いでなかった?と聞くも何も聞こえていないとのこと

自分の身に起きたことを家族に話しても信じてもらえないだろうと思った私はなにも言わずきっと気のせいだと思いそのまま就寝

真っ暗で寝るのはさすがに怖かったので豆電球をつけました

夜中の何時頃かに目が覚めてまた金縛り

昨日と同じく目線も体も動かずだたぼーっとその場を見るだけですが、声の件があり固く目を閉じなるべくその場を見ないようにして心の中で南無阿弥陀仏と繰り返していました

そしてまた声

前に聞いた声よりも大きく聞こえてはっきりと何を言っているかもわかるほどの声量で聞こえてきました

恐怖で頭が回らない中聞こえたのは私の名前でした

ぶつぶつとずっと私の名前を何度も呼んでいるのです

その声に聞き覚えはなく誰がなんで呼んでいるのかは不明

どんどん怖くなってきて祈る気持ちも強くなってきた頃突然耳元で「わぁ!」という声

びっくりして飛び起きると金縛りなどなかったかのように起き上がることができました

それ以来声は聞こえていません

誰がなぜ私の名前を呼んでいたのか

あの「わぁ!」という子どもの声は何だったのか

なぜ何もない場所から目線が逸らせなかったのか

なにもかもわからないまま今日まで過ごしています。

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