分業制を成功させるための5つの方法
前回の「分業制による3つの悪」をより具体的にどう解決していくかというお話です。
1.責任所在の曖昧さ
2.直接業務100%の悪
3.変化に弱い/アジリティに欠ける
https://note.mu/hitorifest/n/nd5918954d657
ポイントは上記の3つでした。
そもそもなんで起きるんだっけ?
結論からいうと「セクショナリズムが働くため」です。例えば、「営業部」「営業推進部」を分けて管理し、後者に「営業のサポートを担当し、売上を間接的にアップさせなさい」というケースが分かりやすいです。
本来であれば、営業をよりプロモートしていくはずが、気付けば従属型になり、積極性が失われていくという現象です。組織内の会話の一部を切り取ると「あいつらは納期も守らないし、契約一枚も雑。。どうサポートしろというのか。」御社では出ていませんか?
利害関係者同士では問題は解決できない
つまり、同じ会社にいながら、組織が違えば外国のようにお互いを知らないという状況が起きています。
先の事例では、営業推進部には営業推進部の事情があり、契約もなければ、すぐに売上につながるわけがありません。一方、営業には営業の事情があり、営業推進部が言うようにお客にこちらの言い分ばかりを押し付けられない状況があるわけです。
組織には役割があり、与えられた仕事をこなすことが至上命題です。ここで言いがちなのは、「お互いのことを理解して仕事をしろ」という精神論です。
残念ながら、これでは「分業制」の問題は解決しません。問題に直面する利害関係者同士では問題が解決できないのです。
部門を横串する機能は続かない
そういう背景もあり、部門を横串する機能を作ります。そうすると中立的な立場で入ることができ、セクショナリズムもなく問題解決。したかのように見えます。
ここで新たな問題が浮上します。「あいつらは何もしないくせに」という評論家の出現です。
部門横串機能とは、基本的には問題点を洗い出して、それを1つずつ潰していくことが求められます。そうすると、嫌でもその組織における課題が浮き彫りになり、それを担当している者は少なからず煙たがります。
なぜでしょうか?当たり前ですね。自分の組織の批判に聞こえるからです。そうすると次に出る行動はシンプルです。分かりやすく「排除」しにかかるのです。
横串機能の組織の方は、基本的には会社全体の流れや情報を知る立場にいます。有り体にいうと「この人に聞けば会社がわかる人」です。
分業化していると基本的にはバケツリレーで仕事を回していくことになり、その時生じる受け渡し部分に必ず「溝」が出来ます。
つまり、責任範囲のなすり付け合いです。
マネジメントは人ではなく仕組み化が仕事
解決するためにはどのようにすれば良いでしょうか。
まず方法論としては、「組織横断での問題抽出と共有」、「組織横断でのプロセス定義」、「会議体での組織間衝突の日常化」の3つが挙げられます。
一方、この方法論だけですと必ず歪みを生みます。なぜか。そうです。先ほど申し上げた「排除」する動きが出てくるわけです。
というわけで、やるべきことは1つだけ。それを担当する方を「巻き込む」わけです。
この場合、プロジェクト化して、その責任者に任命する。これが一番効果があります。その上で、会議体で進捗を報告させるわけです。
そうすると人間って不思議なのです。自分に矢印を100%向けたくないがために、新たな課題をぶつけてきます。(大抵がほかの部門が悪いという話)
そうすればこっちのもんです。新たな課題が出てきたら、またプロジェクトを立ち上げて、その課題の責任所在をつけて責任者を任命するわけです。そうすれば、だんだんと向かってくる方向が同じになり、自然と団結心が生まれてきます。
さらに、きちんと解決すれば、それに見合ったインセンティブを付けるともっと効果が出るでしょう。
まとめると、、
▼3つの方法論
1.組織横断での問題点の抽出と共有
2.組織横断でのプロセス定義
3.会議体での組織間衝突の日常化(進捗共有と新た課題のぶつけ合い)
▼2つのポイント
1.課題のある部署の責任者をプロジェクト責任者に
2.会議体による進捗報告義務
3.インセンティブ設計
タイトル通り、マネジメントはあくまでも「仕組み化」が仕事です。そこに対して責任を持ってもらうことがミッションのはずが気付けば、足を引っ張り合っていることがよく見られます。
上記の3つの方法論と2つのポイントを抑えれば、確実にうまくいくはずです。
最後に、、
私はコンサルティング会社、事業会社どちらにも勤務したことがあり、実際に事業会社で多くの組織横断機能を担いました。
それを糧に今中小企業、特にベンチャー企業を中心に5社コンサルティングを担当させていただきました。その経験から、今回の課題に直面している企業さんが多いことがわかりました。
もしこの記事を読まれていて、同じような課題に直面している方、それ以外にもお困りのことがあれば、お気軽におっしゃってください。
デザイナーからキャリアスタート。10カ国11拠点のBrand Mgr、IRを経て、金融系ベンチャー企業にてマーケ、BizDev等に関わる。外資系コンサルティング企業、M&Aアドバイザリー企業にて社長室を担当。インサイドセールスの立上げ、管理本部などを歴任。3人兄弟同じ誕生日。