【シリーズ・会社員を考える】『ベクトルの和』(個人と組織のシナジー効果)
私は、中学生の頃から、会社員であった父親の働く姿を見て、「将来は、会社員になる!」と心に決めていました。同時に、「会社員であっても、自分の名前で勝負出来る人になろう!」とも思っていました。
その意味で、私の場合は、早い内から、会社と個人の両立が、自身のテーマになって来た訳ですが、一般的には、会社員になってしまうと、「どうせ、会社の言われた通りにしか働けないのだから、個人を磨いても仕方が無い」と、諦めの境地になってしまう傾向にあるかと思います。
会社側も、今も含めて長らく、個人の成長を『本気で』促すような取り組みを行っては来ませんでした。
様々な研修を取り入れてみても、それは、あくまでも、会社にとって都合の良い人材にする為のものであり、場合によっては、転職してしまうような、個人の力を養成する場を提供することは、控えて来た感じがしています。
そんな思いを持ちながら、「個人の成長する姿を、現場で見届けたい!」と思い、今から15年程前に、社内公募制度を利用して異動した研修会社時代に出会った言葉が、タイトルの『ベクトルの和』でした。
この言葉は、リクルートから都内初の公立中学校の民間校長に転身し、『よのなか科』の創設など、数々の新たな取り組みを行った、藤原和博さんが提唱している概念です。
私が、『ベクトルの和』を初めて耳にした講演の中で、藤原さんは、会社という組織の中でも、個人の力を高める努力をし、その個人のスキルや考え方を、会社・組織の方針、施策にすり合わせることで、その相乗効果により、会社の成長を最大化することが大切であると説いていました。
それを、個人と会社・組織の各々のベクトルの長さと和の関係で表現されていました。
ちなみに、藤原さんが在籍していたリクルートでは、毎週、個人面談を実施して、上記の個人と会社のベクトルのすり合わせを、定期的に行っていたそうです。
その結果、新規事業が絶え間なく生まれ、組織が活性化される状況が作り出されていたと、語られていました。
冒頭にお伝えした通り、私は、若い頃から、会社員でありながら、個人のアイデンティティの確立を目指して来て、今は、東洋運命学をベースに自分らしさを発見し、自分軸を確立するメソッドを紹介する取り組みを行っていますが、会社員が、「自分らしさを見出したい!」と、心から思えるにはどうしたら良いか、考えて来ました。
その思考の中で、私の記憶の片隅から蘇って来たのが、『ベクトルの和』でした。
藤原さん自身は、最近、この概念の説明は、あまりしていないことを、以下の動画で語られていましたが、たまたま『ベクトルの和』を思い出し、検索してみたら、前述動画に出会えたことも、何か運命的なものを感じてしまいました。
藤原さんは、以下動画で、「著書『負ける力』の中で説明していますが、『ベクトルの和』の考え方は、初めから、自分の負けを認めて、自分から会社・組織に歩み寄り、自分が日頃、地道に努力を重ねている取り組みを、会社・組織の取り組みに対して、どう利用していくかを考えること」だと述べています。
私は、一般的な会社員は、自分の負けを認める以前に、先ず、行わなければいけない、個人の力の養成、自分軸の確立が、なされていない状況にあると考えています。
「会社は分かっちゃいない」と愚痴を言う前に、先ず、自分という存在を、とことん考え抜く行為を、行って欲しいと強く思う次第です。