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大迫傑、ラストラン (東京2020オリンピック・男子マラソン)

昨日、SNS上で、男子マラソンの大迫傑選手が、8月8日(日)に行われる東京2020オリンピック・男子マラソンを最後に、現役を引退することを表明しました。

ファンの一人として、非常に驚きましたが、その反面、大迫選手らしさを感じて、何か清々しい気持ちになりました。

近著『大迫傑 決戦前のランニングノート』でも語っていたように、これまで、結果以上にプロセスを大切にして来た彼が、今回の東京オリンピックに向けては、更にその思いを強くしている感じがしました。

その思いを突き詰めていった先に、今回の現役引退という選択があったのかな、と思いました。

オリンピックでメダリストになることを目標にして来た彼自身が、退路を断って、五輪マラソンのスタートラインに立つことで、限りなく、純粋な気持ちでレースをしたいという、大迫選手の競技に対する情熱の熱さを感じずにはいられません。

また、私は、今回の決断の背景に、大迫選手が、マラソンランナーとしての、自分自身の力の限界を感じているのではないかと、想像しています。

これまで、失敗と成功を積み重ね、常に、自分の実力よりも高い環境に身を置き続けて来た大迫選手。その挑戦の日々の中で、自分の強さとともに、弱さとも率直に向き合って来た結果、「自分の力を出し切った」納得感のような感情が、芽生えているのかもしれません。

ここ数年、日本男子マラソン界は、記録のレベルが上がり、選手層もかなり厚くなって来ました。しかし、それまでの10数年間は、日本最高記録も更新されず、主要国際マラソンレースでは、東アフリカ勢を中心とした海外選手に、上位を独占される状況が続いていました。

その停滞した状況が変化するきっかけを作ったのが、大迫選手でした。『マラソン界の異端児』と呼ばれ、自らを『愚か者』と表しなければいけない程、これまでには無い道を選択し、歩んで来た、大迫選手のひたむきで、真摯な思いが、日本男子マラソン界を救ったと言っても過言ではありません。

私は、37年間走り続けていますが、彼を応援するようになったこの10年程は、彼の存在によって、どれだけ勇気づけられ、刺激を貰えたか、一言では表現出来ません。

今回、意を決して、札幌まで五輪マラソンを応援することにしましたが、私にとって特別な存在である大迫選手のラストランをこの目で見届けられる機会を得て、最高に幸せな気分になっています。

現役ランナーとしてのゴールともなる東京2020オリンピック男子マラソンのゴールを、大迫選手が最高の笑顔で迎えられることを心から祈るとともに、私自身も、彼への感謝の気持ちを持って、精一杯、現地で応援したいと思っています!




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