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22人の魔法士とタロット〈ツイステ考察〉

前々から言われ続けている、ツイステとタロットの関連について、考察してみました。

この記事は、ツイステのあらゆるネタバレを含む可能性があります。
全然ツイステを知らない人、これからツイステを始めようと思っている人には、全くオススメしません。(おそらく、読んでもピンとこないと思います。)

私は貧乏人なので、監督生必携のファンブックを持っていません。ファンブックの中にとてつもなく重要な事実があったとしても、100%拾えていません。すみません。(誰か恵んでください。)
貧乏人なので、全てのパソストを網羅しきれていません。拾い切れていないネタがあると思います。すみません。

それから、初っ端からとても不安な発言をしますが。
執筆時点でタロットを始めて1ヶ月ほどで、お世辞にも詳しいとは言えません。間違い、勘違い、知識不足があるかもしれません。
あくまでも私の捉え方であり、タロットリーディング(タロット占い)の参考にはならないと思ってください。
ただ、この記事をきっかけにタロットに興味を持ってくれる方がいたら嬉しいです! 最後に、私がリーディングでお世話になっている本のリンク(Amazon)を貼っておくので、是非参考にしてください。

この記事は、20,000文字を超えています。
スキマ時間に読み切れる分量ではありません。
ただし、項目ごとに読み進めたり、気になる項目だけを読むことも可能な記事になっていると思います。(一部、繋がりの濃いカードは例外です。)
長過ぎてすみません。先に謝っておきます。
めちゃくちゃ時間のある時に一気読みするか、計画的に少しずつ読み進めるかをお勧めします。

この考察をもとに、さらに付け加えた記事をかきたい、タロットとキャラを関連付ける絵や小説をつくりたいなど、いわゆる『三次創作』をしたい場合、この記事のリンクをつけてくれれば自由にしてくださって構いません。
(できれば、その存在を教えてください。私が見たい。見せろ。)

そして何よりも重要なのが、あくまで考察であり、正しい情報である確証は何一つとしてありません。いっそのこと二次創作としてお楽しみください。
面白い意見がありましたら、是非コメントください。

以上のことを念頭に、読み進めてくださいね。


なぜタロットの話になるの?

そもそもなんでこんな無理やりな考察をしたのかという、根本的なところから説明しましょう。

理由は、2つあります。(+1つ、しょうもない理由があります。)

1つ目は、サバナクロー寮の3人のユニーク魔法の名称が、タロットの大アルカナと関連があるからです。

レオナ『王者の咆哮(キングスロアー)』
ラギー『愚者の行進(ラフ・ウィズ・ミー)』
ジャック『月夜を破る遠吠え(アンリイッシュ・ビースト)』

と、それぞれ『Ⅳ 皇帝』『0 愚者』『ⅩⅧ 月』を連想させる、あるいは含んだ名称になっています。

ただ、『皇帝』は英語で『Emperor』、『King』ではないので、ちょこっと違和感があるような気もしますが。もし、本当にタロットの大アルカナがあてがわれていたとすれば、レオナは皇帝で間違い無いかなと思います。(理由は後述。)

2つ目の理由は、生徒の人数が全部で22人で、タロットの大アルカナの枚数と同じだからです。

ぶっちゃけ、ユニーク魔法の名称だけだったら、考察しなかったと思います。なんとなく、タロット関連付けちゃえみたいなノリだったのかなぁで流したと思います。
でも、生徒の人数が22人ということを踏まえると、タロットと関係があると考えるほうが自然のように感じます。これで全くの無関係だったら、とんでもないミスリードですよ公式さん…。

+1つ目のしょうもない理由は、サバナクローがタロットと繋がっているなぁと思いながら、「”〈世界〉のマレウス・ドラコニア”って響き、パワーワードじゃね?」って思ったからです。
一人でツボりました。楽し苦しかったです。


タロットって何?

この考察を読む上で重要なことだけ、簡単に説明しようと思います。
タロットを知っている方は、この項は読み飛ばしても大丈夫です。

タロットには、大きくウェイト版とマルセイユ版の2つがあります。
2つのタロットの一番の違いは、『力』と『正義』の番号が入れ替わっていることです。(ウェイト版では、『力』が8番、『正義』が11番になり、マルセイユ版では『正義』が8番、『力』が11番になります。)
今回は、ウェイト版のタロットを使って考察をしました。順番も、ウェイト版に沿って説明していきます。

タロットには『正位置』と『逆位置』という概念があります。
タロットで占いをすることをリーディングと呼びますが、この2つはリーディングの際に使う用語です。

正位置と逆位置.001

出たカードが、上下の正しい状態ならば『正位置』、逆さまの状態ならば『逆位置』と呼びます。
リーディングにおいて、正位置と逆位置では意味が変わってきます。正反対の意味だったり、カードの示す概念に対する捉え方をポジティブ・ネガティブにしてみたりと、カードや場合、人などによって様々な解釈があります。
そのため、基本となるイメージやキーワードはありますが、これが正解というものはありません。


無属性魔法の光と闇

今回考察をする上で、無属性魔法の色をかなり重要視しました。
無属性魔法とは、戦いにおいて『灰色』のマークをしたものです。

ツイステのキャラのほとんどはヴィランモチーフのため、ほとんどのキャラが黒や紫の闇っぽい魔法を使います。
しかし、ヴィランモチーフではないと言われている、カリム、ルーク、シルバーの3人だけ、白や金の光っぽい魔法を使います。

無属性魔法.001

光の無属性魔法を使う3人は、『正位置』
闇の無属性魔法を使う人は、『逆位置』
というふうに、考察をしてみました。

というか、ヴィランモチーフなだけあって、ポジティブな意味合いの多い正位置で解釈するのは、根本的に無理がありすぎる。逆位置の方がしっくりくるのは致し方ないよね。
逆に、光の無属性魔法の3人を逆位置で解釈するのもちょっと難しい。(情報が少ないのもあったかも…。)

というわけで、それを念頭に。
なんでこいつだけ正位置なん?って質問は受け付けませんからね!


0-愚者/ラギー・ブッチ

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〈愚者〉は『自由』のカードです。
身軽な旅人が、想いの向くままに旅をする様子が描かれています。しかし向かう先に道はなく、一歩先は崖。犬がそれを知らせようとしていますが、気付く様子はありません。

逆位置では、『自由』が裏目に出てきます。
あまりにも自由に行動していると、周りからの信頼を失ってしまいます。また、決まった居場所がなく彷徨い続けている、不安定で孤独な状態、という解釈もあります。

ラギーの場合、自分にとって利益がある人のそばに寄るという要領の良さが、〈愚者〉と通ずるところかなと感じます。利益のためにそこに留まっているだけで、そこを居場所と思えていない寂しさを抱えているのかもしれません。

最初の項で説明した通り、ラギーを〈愚者〉としたのは、ユニーク魔法の名称が理由ではありますが、もう1つ根拠があります。
タロットの大アルカナの中で、『犬』が描かれているカードは2枚しかありません。それも驚くことに、ラギーの〈愚者〉と、ジャックの〈月〉だけ。
二人とも獣人族、偶然とは思えない。

また〈愚者〉は、トランプでいう『ジョーカー』のような、例外的なポジションのカードになります。タロットの大アルカナは、〈愚者〉が〈世界〉にたどり着くまでの旅路を描いたもの、なんていう解釈もあります。
そんな特殊な立場故に『トリックスター』という捉え方もあるようです。
ツイステで『トリックスター』と言われれば、ルークが監督生につけた呼び名です。もしかしたらこの先、ラギーも監督生のように『トリックスター』的な動きを見せる展開が来るのかもしれません。


Ⅰ-魔術師/エース・トラッポラ

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〈魔術師〉は、『創造力』のカードです。
右手に持った棍棒と、机の上に置かれた金貨、聖杯、剣は、宇宙を構成する4要素で、小アルカナのスート(記号)にもなっています。
〈魔術師〉は、それらを自由に扱うことができ、なんでも生み出せることを意味します。また、計算高い人物であり、時として人を騙すこともあるかもしれません。

逆位置では、自らの持つ『想像力』に対する意識が、ネガティブな状態と解釈してみます。
例えば、目的意識が曖昧だったり、力に自信が伴っていなかったり。或いは、何か悪いことに利用しようという下心を持っていたり。

エースは、器用貧乏な側面があるように感じます。
5章では「”要領がいい”お前には、分かんねぇよ!」と、デュースに言われる場面がありました。色々な場面で機転が効くというか、悪知恵が働くような部分も、〈魔術師〉に通ずる部分があるかもしれません。
また、『トラッポラ』の意味する『裏切り』も、〈魔術師〉の逆位置が持つ意味の一つになってきます。現在進行形で欺かれているのか、これから裏切りの展開が待っているのか。

根拠は、意味を読んでいてなんとなくエースっぽいなと思ったのがきっかけでしたが、エースの特技が『手品』だということを思い出して、エースしかいないと感じました。
『手品師』は英語で『Magician』、この単語は〈魔術師〉という意味も持ちますし、英語表記も同じですからね。


Ⅱ-女司祭/エペル・フェルミエ

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〈女司祭〉は、『精神性』のカードです。
被っている冠からは高貴さを、服装の、ベールからは清廉さ、青という色からは冷静さを、手にしているものは聖典で、聡明さを連想させられます。
彼女の左右に立つ白と黒の柱は、光と闇、意識と無意識、男女などといった、相反する2つのものを表しており、彼女の持つ神聖な雰囲気もあいまって、緊張感を感じさせられるのも特徴です。

勤勉な〈女司祭〉は、高い目標を持ち、実現のためにコツコツと努力する人物です。
逆位置では、ストイックさが裏目に出てきてしまい、自分の持つ理想像や完璧以外を受け入れない『頑固さ』が目立ってきます。

エペルは、サバナクロー寮生のような『男らしさ』に憧れており、ヴィルの持つ『美しさ』に対しては、否定的な感情を抱いています。自分の女々しい容姿のことも、同じく否定的なようです。理想像以外を受け入れない頑なさが、通ずるところかなと思います。
一方で、実験服のパソストでは、熱心に勉強する様子が語られ、『ヴィルに勝ち寮長になる』という高い目標を持っている部分は、〈女司祭〉の人間性そのものとも捉えることができます。

エペルを〈女司祭〉にした根拠はかなり薄弱で、正直、消去法のような形でした。
しかし、よくよく〈女司祭〉として考察をしてみると、足元にある三日月は、〈月〉のジャックとの繋がりを示唆していたり、エペルの可愛らしい容姿は、女である〈女司祭〉と繋がったり、〈女司祭〉の青い服が、ポムフィオーレの青い寮服と重なったりと、それなりの説得材料が出てきてびっくりしました。


Ⅲ-女帝/ヴィル・シェーンハイト

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〈女帝〉は、『豊かさ』のカードです。
豊かな自然の中にいる、穏やかな表情をした女性。体のふくよかさは妊娠を思わせ、精神的にも物理的にも、家庭的にも肉体的にも、あらゆる面で『豊か』であることが窺えます。
傍らに置かれた縦に描かれているのは金星のマーク。愛と美と実りを意味し、『豊かさ』の象徴です。

逆位置では、『豊かさ』が裏目に出ている、あるいは不足しているという解釈になります。

ヴィルには、どちらも当てはまっているように思います。
せっかくもらった映画キャストのオファーを、断るシーンがありました。周りに認められていて、求められてもいるのに、「そういうタイプキャストは嫌」と、応えない。
ヴィルは自分に対しストイックな性格をしているので、決して、わがままや傲慢というわけではありません。しかし、与えられる豊かさと求めている豊かさの違いに苦しんでいて、理想的な豊かさを渇望し、今ある豊かさには、少しうんざりしている部分はあるでしょう。

〈皇帝〉と〈女帝〉は、男女という対になる存在。加えて、男性性には人の作り上げた『社会』、女性性にはありのままの『自然(女性性)』という意味もあり、こちらも対になっています。
レオナが〈皇帝〉だとしたら、〈女帝〉は誰になるだろうか?と考えると、寮服のDUO魔法でセットのヴィルが自然かなと。また、ルークが”都会的な美と野性的な美”と、2人を対照的に語るシーンからもヴィルが適切のように感じます。
キャラの中で唯一女言葉なところも、女帝を連想させる要因の一つでした。

加えて、ヴィルのユニーク魔法、

『美しき華の毒(フェアレスト・ワン・オブ・オール)』

注目して欲しいのは、『美』と『華(≒花)』の部分。
〈女帝〉の絵には、愛と”美”と実りを司る金星のマークが描かれており、女性性は『自然』を意味します。若干繋がる部分があるかなと。

余談ですが、実は、考察中に候補が一番多くて悩んだキャラでした。
”豊かさにうんざり”という意味が、なかなかヴィルに当てはまらない気がしてしまって…。この解釈は、少々こじつけっぽいかもしれません。


Ⅳ-皇帝/レオナ・キングスカラー

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〈皇帝〉は、『社会性』のカードです。
描かれているのは一国の王(King)で、様々な苦難を乗り越え、周りに認められたからこそその地位に就いたというストーリーがあります。

逆位置では、〈皇帝〉としての振る舞い方がネガティブになると解釈。
誰かに対し『不当』な扱いをしたり、地位を利用した独りよがりな行動で、自分が統率する集団そのものを危険に晒してしまったり。

レオナの場合、加害者側と被害者側、両方の解釈ができます。
まず、2章でのレオナの振る舞いがそのまま、加害者側に当てはまります。マジフト大会優勝のために、他寮の有力生徒たちに怪我を負わせ、サバナクローの大会出場を危うくさせてしまいました。
それからもう1つ、被害者としての側面。実家でレオナの受ける扱いが、努力や実力を認められないという意味で、不当と考えることができます。

また、レオナは第二王子で、『一国の王』ではありませんが、『サバナクローの寮長』という意味では、ポジション的に『王(King)』に通ずる部分があるかなと思います。

根拠はラギー同様、ユニーク魔法の名称からです。
先ほど、〈女帝〉の項で先述した通り、ヴィルと対比になることからも、自然かと思います。


Ⅴ-司祭/アズール・アーシェングロット

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〈司祭〉は、『道徳心』のカードです。
左手に十字架を持ち、2人の神父に祝福を与える〈司祭〉の様子が描かれています。〈女司祭〉と違い、彼が書物を手にしていないのは、彼自信が法であることを示しています。
また、ここで描かれている2人の神父は双子だそうです。

逆位置では、『道徳心』を守らないいい加減さや、道徳心を『悪用』し、偽善的な行動によって弱みにつけ込む『悪辣』さを表します。

アズールの、交わした契約をきっちりと守る部分は、〈司祭〉の道徳的な印象そのものです。
一方で、自らを『慈悲深い』と言いながら、相手の弱みを盾に取引を持ちかける卑劣な手口は、明らかに道徳心を踏みにじる行為にあたるでしょう。取引内容が、ほとんどアズールの一存で決定してしまう部分も、自信を法とする〈司祭〉に通ずるところです。

根拠は色々あるのですが。
まず、逆位置の解釈を読んで、「これ、絶対アズールじゃん」ってなったからです。〈教皇〉の正位置の意味の1つに『慈悲』があることも、その直感を手助けした要因になります。
そして、一番強い根拠は、描かれている2人の神父に双子という解釈があることです。〈教皇〉と2人の神父は、アズールとリーチ兄弟を彷彿とさせます。


Ⅵ-恋人/ジェイド・リーチ

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〈恋人〉は、『快楽』のカードです。
2人のいる場所はエデン。この男女のモチーフは、アダムとイブという説があります。女性の背後に立っている木には蛇が巻きついており、赤い果実が実っています。
蛇の誘惑に負け、禁断の果実に手を伸ばしてしまった2人は、神の怒りを買いエデンを追放されてしまう運命にあります。

正位置でも逆位置でも、『快楽』に身を委ねるという意味合いに変わりはありません。正位置では、快楽に対する『責任』を自覚していて、逆位置では快楽に『溺れる』という意味で解釈してみます。

オクタヴィネルにおいて、アズールの補佐をしているジェイドは、ヴィルからも一目置かれるほど、細やかな気配りのできる優秀さ。直接的に手を下すのはアズールの役目ですが、ジェイド無しには成立しない”取引”でしょう。
ジェイドは、この”取引”の持つ悪い『快楽』の虜で、心の底から楽しんで、あくどいことを平気でやっているのかも。

ユニーク魔法の、

『かじりとる歯(ショック・ザ・ハート)』

『Shock the heart』は、直訳すると『心に衝撃を与える』
禁断の果実をかじることで、裸であることに気づかされた〈恋人〉たちの様子から付けられたのかな、なんてこじつけてみました。
詠唱の『そんなに怖がらないで、力になりたいんです。』も、蛇の囁きだと捉えると、少しだけ納得がいく気もする。

根拠は、もうしばらく読み進めて、15番〈悪魔〉フロイドの項でまとめて説明します。

余談ですが、『禁断の果実』といえば『林檎』。
『林檎』といえば、エペル。そして、『蛇』といえば、ジャミル。
そのうち、この3人が絡むエピソードが出てくるのでしょうか。
気になるところです。


Ⅶ-戦車/オルト・シュラウド

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〈戦車〉は、『エネルギー』のカードです。
真っ直ぐと行先を見つめているであろう青年は、白と黒のスフィンクスが引く戦車に乗っています。2頭のスフィンクスは、異なる感情を表し、それらを手綱なしで制御するのは、強靭な精神力を必要とすることでしょう。戦車の前面に描かれた、小さな赤いコマは、その不安定さの象徴とも言えます。
この戦車は、一度進み出したら止まることができません。恐怖や迷いに打ち勝ち、勢いを制御することこそが、大きな『エネルギー』を正しく使うためのポイントです。

逆位置では、『エネルギー』の制御が上手くいかず、『暴走』してしまうことを暗示。

オルトは、ケイト曰く、学園七不思議的なミステリアスさがある存在。
現に今のところ、オルトがどういう存在なのか、そもそも生きているのか死んでいるのか、人間を元に作られたのか、ロボットとして作られたのかなどなど、謎が尽きないキャラクターです。

しかし、オルトが『戦車』だと言い切れる根拠はちゃんとあって。
おそらくオルトの名前の由来であろう、ギリシャ神話に出てくる『オルトロス』は、双頭(二つの頭)を持った犬とされています。
タロットの『戦車』も、2頭のスフィンクスによって動いている。
根拠としては十分な材料ではないでしょうか。

もし、オルトが『戦車』だとするならば、6章では『暴走』する未来が待ち受けているのかもしれません。


Ⅷ-力/カリム・アルアジーム

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〈力〉は、そのまま『力』を意味するカードです。
しかしこのカードには、獰猛なライオンを、力の弱い女性という存在が、心を通わせることで手懐ける様子が描かれています。『勇気』や『愛情』などといった『本質的な力』を意味します。
女性の頭にある『∞』は、無限の愛情の象徴とも言えるでしょう。

正位置では、相手と心を通わせるまで、辛抱強く向き合い続けるという意味になります。

正直、カリムには、あまり当てはまるところを感じないような気がしています。確かにカリムは優しく情が深く、愛に満ちた印象はありますが、相手と向き合い心を通わせられているか?と問われると、逆に、もしも心を通わせることができていたのならば、ジャミルはオーバーブロットしなかったと思います。
だから、『本質的な力』を、初めから持っていたかは微妙なところ。持ち得るかと聞かれれば、それに対しては自信を持って「もちろん」と答えられます。

でも、〈力〉をカリムにした根拠だけは一応あって。
カリムのユニーク魔法は、

『枯れない恵(オアシス・メイカー)』

ですが、『枯れない』は『無限=∞』を連想させます。
また、『少ない魔力』で、『大量の水』が作れるという点は、『〈力〉の弱い』女性が、『無限の愛』で心を通わせるという、カードの絵と通ずる部分があります。

ここからは、二次創作としてお楽しみください。
レオナのユニーク魔法の詠唱に、『俺こそが飢え、俺こそが渇き。』と、干上がった状態を連想させる言葉が含まれています。そして、〈力〉のカードにもライオンが描かれている。
それに対しカリムは、『枯れない恵』という、レオナとは対照的な情景を連想させます。もしかしたらこの先、ライオンであるレオナと、『本質的な力』を以て心を通わせるような展開がやってくるのかもしれません。


Ⅸ-隠者/リリア・ヴァンルージュ

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〈隠者〉は、『探究』と『導き』のカードです。
彼はかつて旅をしていた人物です。様々な経験を得た先で、俗世間からは距離を取り、自分の内面や、過去、経験などと向き合い『探究』に明け暮れています。
また、経験豊富さ故に、時には誰かを『導く』こともあるでしょう。

逆位置では、今の自分を受け入れることができず、過去の栄光に縋るという意味を持つようになります。

リリアもまた、学園七不思議的なミステリアスさがあり、現時点では分からないことの方が圧倒的に多いキャラクターでしょう。
しかし、かつて茨の谷の領主に仕えていた近衛兵で、勲章を授けられるような活躍や、魔法史の教科書に載るような活躍をしていたことが明かされています。場外乱闘では、飛び抜けた身体能力を披露してくれました。
また、2章やゴスマリなんかでは、達観したようなアドバイスを授けるシーンも。

根拠は、現時点ではあまりありません。すみません。
強いちえば、第一線を退いた、という意味合いで、〈隠者〉はリリアにぴったりなカードかなと感じました。カードの意味よりかは、〈隠者〉という人物に近いと思います。
もしかしたら今後、過去の栄光に縋ったり、今に不満を感じている様子が描かれることになるのかもしれません。

余談ですが、紆余曲折あって最終的にリリアに落ち着きましたが、〈隠者〉というワードから、直感的にはイデアかなと思っていました。


Ⅹ-運命の輪/デュース・スペード

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〈運命の輪〉は、『宿命』のカードです。
輪の上には、時間を断ち切るソードを持ったスフィンクス、生死を司るアヌビス、人を唆す蛇が、四隅には、宇宙を構成する4要素の聖獣が描かれています。
『宿命』とは、自分の意思ではどうすることもできず、流されるしかないようなもの。聖獣たちに囲まれている〈運命の輪〉は、人の力ではどうにもならないのです。

『宿命』によって、正位置ならば『好転』し、逆位置ならば『翻弄』される、という意味になります。

デュースは、エースとは逆に、何をやるにも要領が悪いと、自分でも認めています。人並みに努力しても人並みの結果が手に入らないからと、NRC入学前はぐれてヤンチャをしていた様子。〈運命の輪〉の逆位置には、『空回り』『徒労』などの意味もあるので、デュースの性格や感情に当てはまるように感じます。

また、5章で目覚めた彼のユニーク魔法。

『しっぺ返し(ベット・ザ・リミット)』

ルビの『Bet the limit』とは、ポーカーにおいて最大限ベットを行うことを意味します。デュースが本当に〈運命の輪〉だったならば、正位置なら運が味方を、逆位置なら運に見放されるという解釈も。

根拠については、『"Wheel" of Fortune』、『マジカル”ホイール”』です。
〈運命の輪〉と言われることが多いですが、私の持っている本には〈運命の車輪〉と書いてあり、そこからインスピレーションが湧きました。
こんな直感任せな考察見たことない。←

あとは、根拠にはなり得ない気がしますが。
デュースは、エースや監督生と並んで、ツイステの主人公ともいえる立ち位置のキャラクターです。
そもそも監督生と出会ったこと自体、運命の悪戯ですし、この先ももしかしたら、とんでもない運命を引き寄せてくるのかも…なんて期待も若干こもっています。
5章でユニーク魔法が覚醒したことも、デュースの運命力が引き起こしたことかもしれませんね。


ⅩⅠ-正義/シルバー

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〈正義〉は、『均衡』のカードです。
左手に持つ天秤で罪の重さを計り、悪いことをした者には容赦無く、右手に持つ剣で裁きを与えるでしょう。
石造りの椅子や柱は、揺らぐことのない公平さの象徴。
また、画像はウェイト版タロットですが、マルセイユ版タロットに描かれている天秤は、左右の皿の大きさが微妙に違うのに均衡を保っており、公平が常に左右対称であるとは限らないことを意味しているそうです。

正位置と逆位置は、自身の『感情』を介入してしまうかどうかで解釈をします。正位置ならば、感情的でない、冷静で正しい〈正義〉を持てるでしょう。

正直、〈正義〉とシルバーの共通点が分からない。申し訳ない。
情報があったら、是非教えて欲しいです。

根拠としては、シルバーの象徴である『剣』を、〈正義〉に描かれている人が持っている、という部分。
あとは、根拠というには弱いですが、マルセイユ版とウェイト版とで入れ替わっている〈力〉が、光の無属性魔法を使うカリムということを考えると、〈正義〉にも光の無属性魔法を使う人物が来る方が自然かなと感じました。入れ替わっても問題ない、とまでは言えませんけど、気質が似ているということで。


ⅩⅡ-吊された男/ジャミル・バイパー

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〈吊された男〉は、『忍耐』のカードです。
逆さ吊りにされ、手足の自由もなく、正にどうしようもない状態の男性。
しかし彼の顔は苦痛に歪んでいるわけではなく、それどころか頭に後光が差しています。
本当にどうしようもない状態に陥った時ほど、思いの外、現実を冷静に見つめることができるのかもしれません。

逆位置では、この”どうしようもない状態”を受け入れることができず、どうにかしようと足掻いていたり、でもやっぱりどうにもならなくて苦しんでいたり、という『もどかしさ』を意味します。

ジャミルには、絶対に争うことのできない『カリム・アルアジーム』という存在がいて、しかし、そこをどうにか覆してやろうと画策していました。その姿勢は、逆位置の〈吊された男〉そのものです。
そして結果的に、やはりどうにもならなかったという部分もまた、〈吊された男〉に通ずる部分があるように思います。

一方で、オーバーブロット後の、どうにもならないものはどうにもならないと割り切った様子は、正位置の〈吊された男〉が意味する『妥協』に繋がります。
今回の考察は基本的に、闇の無属性魔法を持つキャラは逆位置で解釈していますが、オーバーブロット前後で正逆が変わるという考察をしてみると、また違った発見があるかもしれません。

また、ジャミルの使うユニーク魔法は、『他者をマインドコントロール—する』というものであり、他者を〈吊るされた男〉のように、自分ではどうにもならない状況へ陥れるという部分が、若干繋がるかなと思います。
加えて、アズールを魔法にかけようとした際の、『抗えば苦痛が長引く』というセリフには、逆位置の意味に近いものがあります。

明確な根拠は、心の底からありません。すみません。
このカードの持つ意味や印象と、ジャミルという人物やユニーク魔法が、なんとなく繋がり、私の中ですぅっと馴染む心地がした、くらいの直感的なものだけ。
せめて、蛇が描かれていたらもう少し説得力のあるものになったのですが…。


ⅩⅢ-死神/イデア・シュラウド

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〈死神〉は、『終わり』のカードです。
冥界の使者である〈死神〉が、白馬に跨って戦場を進んでいく様子が描かれています。
名前も絵柄も恐ろしいカードですが、よく見ると朝日が登りつつあります。明けない夜はなく、夜が明ければまた、新しい1日が始まるものです。
『終わり』の先には『はじまり』があるというのが、このカードの意味するところ。『死』ではなく、人との関係や今の環境・状態、気持ちなどの『区切り』を示します。

タロット占いでこのカードが出たときは、逃れられない運命がすぐそこまで来ているという意味になります。
ただ、このカードの正逆の解釈については、知識不足でちょっと難しい。

手持ちの本には、正位置だと、運命を受け入れて新しいステージへ進むことができ、逆位置だと、運命を受け入れられず、いつまでも次のステージへ進めない、という解釈で解説されていました。
しかしWikipediaさんには、正位置だと、はじまりのない終わり『ゲームオーバー』を迎え、逆位置だと、終わりの先にはじまりがある『コンティニュー』という解釈で解説されています。

逆に、イデアという人物からアプローチをかけてみるならば、古いものはどんどん新しいものへと刷新していくべきみたいな、変革に対し肯定的なマインドが、『終わり』と『はじまり』の象徴である〈死神〉に通ずるところかなと思います。
バトルや錬金術で使われる、ドクロの装置も、ガイコツ姿の〈死神〉と繋がります。〈死神〉が冥界の使者という部分も、元ネタの冥界の王・ハデスを彷彿とさせます。

根拠と共通点はそれくらいです。

あとは余談。
公式さんの方で、この〈死神〉というカードが、どっちの意味で解釈されているのかがとても気になるところ。Wikipedia通りだったなら、逆位置に救いのある意味が入ってくるので一安心ですが、もし6章で『バッドエンド』を迎えてしまったら……。

6章で時空が捻れて、また入学式とか、10億マドルのシャンデリアとか、やめてくださいよ本当に。
5章最後が不吉すぎて。無事でいてくれ、監督生。


ⅩⅣ-節制/トレイ・クローバー

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〈節制〉は、『反応』のカード。
『混ぜ合わせる』『結びつける』という意味のラテン語に由来するカードです。
カップに入った水を、もう一方のカップへと移す、天使の姿が描かれています。水を移し替えるという行為は、錬金術の基本・調合そのものです。
また、片足は、潜在意識を意味する『水』に、もう片方の足は顕在意識を意味する『地』についているということも、異なる2つのものの狭間に身を置いていることを意味します。

異なるものを混ぜ合わせた結果、どんな『反応』が起きるのかを、正位置では受け入れる、逆位置では拒むと解釈してみます。

トレイは、比較的温厚な性格をしていて、「思っていても言わない」ことが多いタイプです。怒っていたとしても、それを表に出すことはしないため、後になって仕返しが待ち受けていたり。そんな性格なので、何かを『拒む』という印象はありません。

ちょっと視点を変えて、『反応』そのものを制御する天使ポジションと考えると、トレイっぽくなるかなと思います。
1章にて、タルトを盗み食いしたエースと、タルトの主・リドルの間を取り持っていたり。誰かに心を開かないケイトを、静かに気にかけていたり。
人と人との繋がりによって起こる『反応』を、上手にコントロールしている、縁の下の力持ち、ハーツラビュルのお父さん。そんな部分が、〈節制〉に繋がる要素かなと思います。

また、トレイの得意科目は錬金術、料理系の部活がなかったため、サイエンス部に所属しています。
そして、先述した通り、〈節制〉に描かれている天使がしているのは、錬金術の調合。小さいですが、トレイと〈節制〉を結びつける根拠の1つかなと感じます。

もう1つ、〈節制〉をトレイにした理由がありますが、17番〈星〉ケイトの項でまとめて説明します。


ⅩⅤ-悪魔/フロイド ・リーチ

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〈悪魔〉は、『誘惑』のカードです。
描かれている男女は、蛇の『誘惑』に負けて禁断の果実を口にしてしまった後の、アダムとイブと言われています。しかし2人には、怯えた様子も混乱した様子もありません。その上、首元の鎖はとても緩く、逃げ出そうと思えば逃げ出せる状態に置かれています。
〈悪魔〉のカードは、『不自由な心』を意味しているのです。
また、背後の〈悪魔〉は、足は鳥、羽はコウモリ、ツノは牡鹿と、訳のわからない破茶滅茶な組み合わせ。これは錯乱状態を表し、〈悪魔〉が、混沌や破滅を招く恐ろしいものというイメージを形にしたもの、と解釈されるそうです。

このカードは、正位置よりも逆位置の方が良い意味を持つカードになります。正位置では、『誘惑』に負け、相手を束縛してしまったり、相手と共に堕落してしまったりすることを暗示しますが、逆位置では、『誘惑』に打ち勝ち、堕落した関係を断ち切り、新たな出会いや生活によって生まれ変わるという意味になります。

むらっ気の鬼なフロイドは、常に『誘惑』に突き動かされているようにも見えて、逆位置についてはあまり当てはまらないような気がします。
しかし、〈悪魔〉というカードそのものに、ユニーク魔法が引っかかるんですよね。

『巻きつく尾(バインド・ザ・ハート)』

『Bind the heart』は、『心を縛る』
〈悪魔〉の意味する、不自由な心、束縛された心と通ずるものがあります。
〈悪魔〉に囚われたアダムとイブには尻尾が生えており、〈悪魔〉と同化している様子が窺えます。心も体も、〈悪魔〉によって『束縛』されているということでしょう。

また、全然別の解釈として、〈悪魔〉を〈救世主〉とする解釈もあるそうです。これは、〈悪魔(=蛇)〉が唆し、アダムとイブを唆して禁断の果実を食べさせたことで、〈悪魔〉の意思には関係なく結果として、人類は科学を発展させ、地球上に種を広げる結果になったことから生まれたそうです。トリックスター的な解釈。
寮服フロイドのパソストにて、アズールから、難易度の高いお使いを頼まれたフロイドは、最終的にわらしべ長者的な流れで目的を達成してしまいます。
意図せず望まず奇跡を起こす気質は、〈救世主〉と解釈される〈悪魔〉に通ずるところがありますね。

さて。6番〈恋人〉で先延ばしにしてしまっていた、ジェイドが〈恋人〉である根拠を説明していきましょう。
すごく単純な話で、おそらく読んでいる途中で気づいた方もいると思いますが、絵の構図がほとんど一緒なんです。ちなみに、〈司祭〉アズールも構図が似ています。

オクタヴィネル.001

左から、〈恋人〉〈悪魔〉〈司祭〉になります。
下半分左右に1人ずつと、真ん中に1人という構図が、オクタヴィネルの3人を表すカードの共通点となっています。
そして、〈恋人〉と〈悪魔〉には、アダムとイブという同じ人物が描かれている。
〈恋人〉をジェイドにした根拠というよりかは、〈恋人〉と〈悪魔〉をリーチ兄弟にした根拠って感じです。〈司祭〉も合わせてみると、この3枚がオクタヴィネルを表しているのは間違い無いかなと思います。

余談ですが、リーチ兄弟に関して、どっちがどっちという考察について、めちゃくちゃ悩みました。かいている今も現在進行形で、悩みに悩みまくっています。
一通り説明が終わった最後に、2人を反対に解釈してみたバージョンもあるので、気になる方はそちらも一緒に読んでみてください。


ⅩⅥ-塔/セベク・ジグボルト

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〈塔〉は、『破壊』のカードです。
神の怒りとも取れる雷によって、今まで築き上げてきた〈塔〉が破壊され、2人の人間が投げ出されている様子が描かれています。突然のアクシデントにより、今まで築き上げてきたものが一気に崩れ落ちることを意味します。
しかし、そのうち1人は、落下中にもかかわらず、王冠をかぶり続けている。気付き上げてきた成果は崩れ落ちても、権力だけは変わらず持ち続けるという意味もあります。

このカードは正位置でも逆位置でも『破壊』を意味し、どちらもポジティブにならない唯一のカード。
しかし解釈の幅も広く、手持ちの本には、正位置では一撃で全てが崩れ去りますが、逆位置ではじわじわとゆっくり崩れていくという、状態の現れ方の違いで解釈しているようです。
また、正位置では、マイナスイメージの強いアクシデントやトラブルなのに対し、逆位置では、打破や改革、ひらめきなど、プラスの衝撃を表すという解釈もあります。

分かりやすい、根拠から先に述べます。
気づいていると思いますが、『雷』です。少なくとも、大アルカナの中で『雷』が描かれているカードは、これしかありません。
セベクの元ネタは、マレフィセントの操る『雷』と言われていて、グルーヴィー素材のキャンディも『雷』なので、根拠としてはかなり強い方だと思います。

カードの意味的に当てはまる部分は、正直あまり感じません。
おそらく、崩される側である〈塔〉ではなく、崩す側の『雷』という意味合いの方が強いのかなと感じます。

ここからは、完全なる二次創作としてお読みください。
王冠をかぶった人物と、おそらくその従者であろう人物が描かれている部分から、王(≒マレウス )の築き上げてきたものを壊してしまうようなポジションになる可能性があるかなと感じます。
ただし逆位置だと、改革やひらめきなどと言った、良い意味の『破壊』をもたらすトリックスター的な要素が入ってくるので、決して悪いばかりでは無いだろうとも思います。
5章まで、1年生と監督生の距離は、オーバーブロットという事件以前から近いものがあります。エーデュースは言わずもがな。ジャックは利害の一致から、監督生たちに協力的でしたし、エペルとデュースは近しいものを感じ意気投合していました。ディアソムニア回であろう7章では、1年生としてのセベクの活躍に期待ができそうです。


ⅩⅦ-星/ケイト・ダイヤモンド

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〈星〉は、『希望』のカードです。
何があっても消えることのない〈星〉は、強い『希望』や、目指し続ける『目標』を意味します。
描かれた女性は、両手に持つ杯から、片方は地へ、もう片方は水へと水を注いでいます。地に注がれた水は生命を育み、水に注がれた水は流れをもたらし、巡り巡って生命の繁栄をもたらすでしょう。
二つの杯を持っている部分や、片足は水面(潜在意識)に、もう片足は地面(顕在意識)に触れている部分は、〈節制〉との繋がりを示唆します。

逆位置では、星が下にくることから、『希望』の失墜を意味します。
抱いていた希望は、高望みすぎて叶わないものだった、あるいは信じていたのに裏切られてしまうことの暗示かもしれません。

先に根拠からお話しします。
先述した通り、〈節制〉と〈星〉の間には、強いつながりがあります。そのことから、この2つのカードのキャラクターはペアのような印象のある組み合わせになるだろうと思い、セットで考察をしました。
初めは、〈節制〉をケイトとして考察をしていました。ケイトの相棒といえばトレイ、だから〈星〉はトレイかなぁなんて思っていました。その後考察を進めてく中で、ポジションが入れ替わった感じです。
〈節制〉をケイト、〈星〉をトレイとして考えたものは、一通り説明が終わった最後に残してあります。

では、カードの意味とケイトの共通点を、と行きたいところなのですが。カードの持つ一般的な意味からは、ケイトを連想できる要素があまりなく、かなり苦戦しました。
しかしWikipediaに、空に輝く小さな星を、パーソナリティ(人格)の一片とする解釈が説明されており、裏表のあるケイトの性格や、自分の分身を作るユニーク魔法と通ずる部分があります。

また、ケイトの裏人格的な部分が、希望の失墜、即ち『失望』の要素を持っているという解釈ができるかなと。
『失望』は、どうせ無理という無力感や、未来への悲観にも繋がるものです。頑なに心の扉を閉ざし続けるケイトの中には、そういう感情もあるのかもしれません。

ところで、ケイトの得意科目は『占星術』です。星と深い繋がりどころの話ではありませんね。ちなみに、トレイの得意科目は『錬金術』で、『反応』を意味する〈節制〉と強い結びつきがあります。
この二人の得意科目は、もしかしたらタロットを元に設定されたものなのかも、なんて思っています。
(2022/01/04加筆)


ⅩⅧ-月/ジャック・ハウル

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〈月〉は、『曖昧』のカードです。
暗い〈月〉の光の下では、何もかもがぼんやりとした『曖昧』な輪郭しか浮かびません。正しさと間違い、現実と幻想などの線引きが、『曖昧』な状態を暗示しています。
また、満ち欠けする〈月〉は、『不安定』さの象徴でもあり、不安や疑念、恐怖などを捨て切れていない優柔不断さを表す場合もあります。

〈月〉は、正位置よりも逆位置の方が良い意味のカードです。
正位置では幻想に浸り切って、なかなか現実を直視できないままになりますが、逆位置では、日の出と共にゆっくりと、『曖昧』だった輪郭がはっきりとしてゆき、現実が見え始める、という意味になります。
具体的には、嘘や本性を見ぬいたり、悪事を暴いたりと、影に隠れたものを明るい場所へと引きずり出すようなイメージ。嗅覚が優れているともとることができます。
ぼんやりとしていたものがはっきりと見えてくるというイメージから、相手と心を通わせていくという解釈もあります。

ジャックは、2章で暗躍していたレオナとラギーの悪行を、監督生たちと協力することで暴き立てました。逆位置の〈月〉そのものです。
また、物理的にも性格的にも、嗅覚が鋭いことも通ずる部分の一つかもしれません。
また、正位置では『曖昧』さを表す〈月〉ですが、逆位置では『明瞭』さを表すと言ってもいいでしょう。ジャックの、不正が許せないという生真面目さは、逆位置の〈月〉からきているように思います。

根拠は、レオナたち同様ユニーク魔法から。
加えて、狼が描かれていることも、大きな根拠の1つです。タロットで狼が描かれているカードは、少なくとも大アルカナだと〈月〉の1枚だけです。


ⅩⅨ-太陽/リドル・ローズハート

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〈太陽〉は、『幸福』のカードです。
生命サイクルの象徴でもある〈太陽〉は、日の出によって1日の始まりを知らせ、世界を明るく照らすことで人々を導いてきました。
裸で、手綱もついていない馬に乗る子どもからは、無邪気さと同時に、絶対に大丈夫という約束された安全性を感じさせられます。
背景に描かれているひまわりもまた、〈太陽〉の象徴です。

逆位置になると、描かれている〈太陽〉が下に来ることから、日没を意味します。〈太陽〉を、権力やチャンスと捉えると、権力の失墜や、チャンスを逃してしまう、あるいは生かしきれないという解釈もできます。

〈太陽〉をリドルとしたのは、カード意味よりも根拠が先だったので、根拠から説明します。
ずばり、描かれている『子ども』と『馬』が、『小柄』なリドルと、リドルが所属する『馬術部』を連想させるからです。カードの絵をぱっと見て、馬術部であるリドル、シルバー、セベクを連想しましたが、その3人だと一番、リドルが印象に合致しますよね。
そこそこに強い根拠かなと思います。

意味的には、圧倒的なユニーク魔法と、何がなんでもハートの女王の法律を守ろうとする厳格さから、慕われることなく『真紅の暴君』となってしまったリドルは、権力の失墜を意味する逆位置の〈太陽〉に、そこそこ当てはまるように思います。
また、手持ちの本には『無駄な努力』『頑張りが認められない』という解釈もかかれており、リドルの親子関係を連想できるかなと。

あとは、ちょっと無理やりですが、ひまわりに囲まれた子どもという情景が、バラに囲まれたリドルと似た部分があるかなとも思います。


ⅩⅩ-審判/ルーク・ハント

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〈審判〉は、『判定』のカードです。
天使の吹いたラッパの音により、棺の中から目覚める死者たちの姿は、『最後の審判』を連想させます。生前の行いを〈審判〉されることで、死者たちが、天国と地獄どちらへ行くか決定されることになります。

解釈はとても簡単で、正位置では天国へ、逆位置では地獄へ行くと考えるとなじみやすいでしょう。
ただし、ここで意味する天国は、神々の暮らす天界と考える方が適切です。つまり、新たな世界へ生まれ変わるという意味になります。

ルークは、フロイド以上に謎めいたかつ意外と本質を見据えたあだ名をつけていたり、イデアからはミステリアスハイテンションな陽キャと評されていたりと、とにかく掴み難いキャラクターをしています。加えて、5章でもユニーク魔法が明かされなかったという、今までの流れに沿わない部分もあいまって、さらに謎が増してしまった感。

ぶっちゃけ、考察材料が少なく、根拠も共通点もあまりありません。すみません。
唯一あるとすれば、人を見極める力が、〈審判〉をする立場である天使と通ずる部分かなと思います。

エペル同様、ほぼ消去法で決まりました。

6章にて、S.T.Y.X本部のある『嘆きの島』へと乗り込み、さらわれた仲間たちを取り戻そうとするその行動は、『嘆きの島』を『冥界(=死後の世界)』とすると、〈審判〉のカードに描かれている天使そのものになります。
また、『嘆きの島』=『冥界』という解釈は、イデアの元ネタであるハデスを連想させる自然な解釈でもあるため、自信のなかったこの解釈も、6章が解禁されたことで、間違いではなかったのかな?と感じました。
(2022/01/04加筆)


ⅩⅩⅠ-世界/マレウス・ドラコニア

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〈世界〉は、『完成』のカードです。
0番の〈愚者〉から始まった旅が、〈女司祭〉〈女帝〉〈皇帝〉…など、様々な人に出会い、〈運命の輪〉〈正義〉〈死神〉…など、たくさんの試練を乗り越え、一度は〈塔〉に落ちた雷によって崩されてしまいます。
しかし、崩れた塔の上で輝く〈星〉〈月〉〈太陽〉などの天体に導かれ、〈審判〉の結果、ついに〈世界〉にたどり着きます。
〈世界〉は終着点であると同時に、新しい旅への始発点でもあります。
こうして運命は輪を成し、廻り続けるのです。

逆位置ではそのまま、『未完成』を表します。
また、長い旅を経て『完成』するはずが、途中で投げ出してしまうような、意気地や計画性のなさの暗示であることも。

『ツイステッド・ワンダーランド』のPVにある、有名なこのセリフ。

『本当のハッピーエンドを見せてやる』

これが〈世界〉のカードからきていると考えると、とても自然なものになります。

〈世界〉は、〈愚者〉が旅の末に手に入れた『完成』であり『完全性』でもあります。
そして、〈世界〉はタロットの大アルカナにおいて、一番最後のカード。
そういう解釈をすると、〈世界〉は『完全な結末』のカードになるのです。

マレウスという人物にというよりかは、マレウスという立ち位置に当てはまるカードかなと思います。
逆に、このカードはマレウスしか当てはまらない、マレウス以外あり得ないとも思います。


22人の魔法士とタロット

軽い気持ちではじめた考察でしたが、し終わって思うことは、「ツイステとタロットは確実に繋がっている」ということです。

私は正直、カリムやジェイドのユニーク魔法について、どうしてこうなった感があったのですが。タロットと一緒に考察をしてみると、なんとなく納得がいくというか、きっとタロットから着想を得たんだろうなぁという気がしました。

他にも、現時点では分からないけど、今後こうなるのかもしれないという可能性もちらほらと見えてきて。
例えば、〈戦車〉オルトが『暴走』するとか、〈力〉カリムがライオン(レオナ)と心を通わせるとか、〈審判〉ルークの審美眼は確かなものかも、とか。

個人的に一番気になるのは、〈愚者〉ラギーです。
ここまで、そこまで目立った活躍をしていない気がしていたのですが、タロットにおけるトリックスターである〈愚者〉が、ツイステにおいて何もしないわけがないのでは。
同じくサバナクロー寮のレオナは、留年しているけど実は超優秀だったり、マレウスに喧嘩を売れるくらい肝が座っていたりという点で、何かと考察ネタに上がりがちですが。彼の腹心であるラギーこそが、一番考察されるべき”何か”を秘めているのかもしれません。

遅くなってしまいましたが、長々と読んでくださり、ありがとうございました。
今後、新たな情報が出てきた場合、追記という形でアップデートしていくつもりなので、是非また読みにきてください。

そして、あなたの監督生生活が、もっとねじれ歪んだ不思議で奥深いものになりますように!


以下、余談です。完全なる二次創作としてお楽しみください。
(リーチ兄弟、トレイ&ケイトの入れ替わったバージョン考察も、この下にあります。)

ハーツラビュルとタロット、それからスート

記事をかいていく中で、ハーツラビュルのユニーク魔法だけは、タロットのアルカナや、その意味にうまく繋がらないなぁと感じました。
他のキャラクターは、なんとかこじつけるようなことができたのですが。ハーツラビュルだけは、それすらも難しい。

むしろ、ハーツラビュルだけ妙に、原作に忠実過ぎて違和感を感じました。
リドルくんのユニーク魔法は言わずもがな。エース以外の3人も、トランプを連想させる単語『スート』『カード』『ベット』が入っています。

リドル『首を跳ねろ(オフ・ウィズ・ユアヘッド)』
トレイ『薔薇を塗ろう(ドゥードゥル・スート)』
ケイト『舞い散る手札(スプリット・カード)』
デュース『しっぺ返し(ベット・ザ・リミット)』

ところで、トランプは元々、タロットの小アルカナから派生したものだと言われています。小アルカナには4つの『スート(記号・マーク)』があり、トランプのスートの元と言われています。
また、タロットは元々ゲームに使われていたもので、占いとして使われ始めたのは、タロットの起源よりも後の話になります。
そういう豆知識を踏まえると、『カード』『スート』はそのままタロットのことを表していそうです。そして『ベット』は、カードゲームを連想させ、タロットの由来と通ずる部分があります。

そもそも、『ツイステッド・ワンダーランド』というゲームの名称が、『アリス・イン・ワンダーランド』から来てそうだよねという、既に百万回は言われているであろうことを踏まえると、トランプの生みの親とも言える『タロット』が、重要な意味をもたらしていてもおかしくないのでは。
究極的に、『ディズニーヴィラン』と『タロット』を『ツイスト』して生まれた『ふしぎの国』だったりするのかな、なんて。(根拠は皆無)

閑話休題。
さて、ここでエースを示す(であろう)アルカナを思い出してみましょう。
宇宙を構成する4要素、片手に1つと、机の上に3つ。これらは小アルカナの『スート』に繋がっており、先述したとおり、トランプのスートの元にもなっています。
そして〈魔術師〉は、それら全てを”自在に操る”能力を持つ。

”トラッポラ”が、さらに不穏さを増してきたような心地がしませんか?
私はします。背筋が凍りつきそうです。
ハート、スペード、クローバー、ダイヤモンドを姓に持つ彼らは、〈魔術師〉の手によって・・・?

(2021/07/16 加筆・修正)


〈恋人〉フロイド、〈悪魔〉ジェイド

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当初、目の前の『快楽』に身を委ね、気の向くままに行動するフロイドを〈恋人〉、ニコニコしながらさらりとえげつないことをやってのけるジェイドを〈悪魔〉にしていました。
さて、〈悪魔〉の項をかくぞというところで、ユニーク魔法を思い出して、「これ反対なのでは?」という結論に至り、泣く泣く〈恋人〉の項を書きなおうすことに。

しかしやはり、〈恋人〉が、フロイドに当てはまらないわけでもなく、かき終わった今もモヤモヤとした気持ちが残っています。
おそらく、〈恋人〉と〈悪魔〉を合わせて、性格や関係性も踏まえた『リーチ兄弟』が出来上がったのではないかなと思います。(一応、どちらがどっちという設定はあると思いますが。)

両方の解釈ができて、どちらも面白い。考察の醍醐味ですね。

Ⅵ 恋人/フロイド・リーチ
フロイドは、ツイステのキャラの中で一番、むらっ気の強い性格をしています。料理の味付けもテストの点数も、気分次第でとんでもない有様に。
また、双子のジェイドとは対照的に、アズールにユニーク魔法を貸すことに躊躇いがないことは、気まぐれさや執着の薄さの現れかなと思います。

そんな風に、今さえ良ければいいという、刹那的な『快楽』に身を委ねている様は、〈恋人〉のカードが意味するところそのもの。
〈恋人〉に描かれている蛇が、樹に巻きついている様子から、ユニーク魔法の『巻きつく尾』が来ているという考え方もできます。

ⅩⅤ 悪魔/ジェイド・リーチ
ジェイドは、爽やかな笑顔のまま、さらりとえげつないことを言ったりやったりと、見た目と言動がちぐはぐな部分が〈悪魔〉らしさを彷彿とさせます。
トレイには「アズールとフロイドに振り回される苦労性」と思われる一方で、リドルからは「フロイド以上に近づきたくない」と言われるようなところも、ちぐはぐさの現れでしょう。

自分で『山を愛する会』を設立してしまうような、何か(特にキノコ)に対する異様な執着心は、〈悪魔〉の解釈の一つ『呪縛』に関連するものかなと思います。


〈節制〉ケイトと、〈星〉トレイ

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当初、〈節制〉をケイトとしており、今とは逆のポジションで考察していました。〈節制〉は『反応』のカードなので、二面性があり、他社との交わり(≒反応)を拒絶している風にも見えるケイトが適切かなと。そして、ケイトの相棒といえばトレイ。
しかし、トレイにこのカードは、あまりにも当てはまらな過ぎてしまって行き詰まってしまいました。

結果的には、先述した通りのものに落ち着いたわけですが。
一応、こちらの解釈も面白いと思ったので残しておくことに。

ⅩⅣ〈節制〉/ケイト・ダイヤモンド
2つの聖杯、潜在意識と顕在意識など、2つに分かれているものが、表裏のあるケイトの性格や、ユニーク魔法の『スプリット(分割)』を連想させます。

また、〈節制〉は『反応』のカードですが、逆位置になると、反応を避けるというイメージから、人付き合いを避けたり、本音からの交流をしないという意味を持つようになります。
もう少し別の解釈をすると、他者を受け入れず自分のやり方を押し通すという見方もできます。
意味的に、ケイトの裏面を連想させる要素が多いカードに思います。

ⅩⅦ〈星〉/トレイ・クローバー
〈星〉に描かれている少女は裸で、これは彼女の清らかさを表すという解釈があります。
ちょっと無理やりですが、そういった処女性を『幼さ』と解釈すると、ユニーク魔法の『ドゥードゥル(落書き)』に、ちょっとだけ繋がるかも。

逆に、空に輝く〈星〉に注目して、そんな清らかな少女を静かに眺める姿は、ハーツラビュルの”お父さん”であるトレイの立ち位置に通ずる部分があります。
寮生たちの目標や理想、あるいは困った時に導いてくれる先輩として慕われている彼の様子が目に浮かぶようです。


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参考文献など

私がタロットリーディングに利用している本で、今回の考察でも大変お世話になりました。

ウェイト版タロットの画像は、こちらから引用させていただきました。

Wikipediaのタロットのページに、死ぬほどお世話になりました。
ありがとうございました。


pixivに移植しました。
(noteの方が頻繁に更新する予定です。)


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