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令和の絵本における文化的アップデートについて考えた話

今日は素敵な『今っぽい』絵本に出会ったのでその紹介と、これからの絵本描写について考えたお話です。


だれかさんのかたっぽてぶくろ  /  すずきみほ 作  /  ほるぷ出版

おきにいりのてぶくろをして、お姉ちゃんと犬のくんくんとさんぽにでかけたまこちゃん。とちゅう、かたっぽだけのてぶくろがひっかけてあるのをみつけます。はらっぱでは、うさぎみたいなかたちの、ちいさなてぶくろのおとしもの。だれかさんがおとしたのかな・・・?

道ばたにおちている、かたっぽのてぶくろから広がる想像力と、つながるやさしさをえがく絵本。

出版社の紹介

落としがちな手袋を題材にした、心温まるお話です!

さらに魅力的だったのは、描写の数々が今っぽかったこと。
いろいろ衝撃的だったので箇条書きにします。どれもストーリーには直接関係の無い要素です。

  • 主人公のまこちゃんはメガネ

  • たぶん男子小学生だけど、カラフルファッションで中性的な感じ

  • お姉ちゃんは令和の女子小学生っぽいラベンダー×水色のカジュアルコーデ

  • お姉ちゃんが散歩中、犬のフンを拾う

  • 途中で出てくるよそのパパさんが、ひとりで赤ちゃん&幼児連れ(赤ちゃんは抱っこ紐の中)

ここまで読んで「どこが衝撃的?」と思いましたか?
アニメやドラマなど他のエンタメコンテンツの世界では当たり前かもしれませんが、絵本の世界では新旧織り交ぜて読まれることもあり、あまりこういったリアルな描写は見かけないのです。

そもそも絵本は、数十年売れ続けるモンスター級のベストセラーがたくさんあるジャンル。言い換えれば「いつの時代でも普遍的に読める素晴らしいもの」が受け入れられるので、細かい描写に今っぽさは求められていないとも言えます。

しかしながら、ストーリーはとっても大切なのだけれど、絵に違和感があると私は入り込めなくなってしまうことがあります(子供には言いませんが)。

昭和に作られた昭和の価値観(もしくはその平成バージョン)の絵本ならば「そういうもの」として楽しめるのですが、令和において文化がアップデートされていないと少し気になってしまうことがあるのです。

例外としては、作風として「昭和っぽさ」を打ち出されている作家さんですね。
例えば、やぎたみこさんは畳の居間をはじめとした昭和の家庭のお家をよく描かれていて、懐かしい気持ちになります。

↑めちゃくちゃ笑った絵本!

そもそも、今っぽいとは?

かといって絵が今っぽかったら良いのか、と言われればそれも違う。
年配の作家さんも多くおられますが、当然、流行りの絵柄でなくとも需要があるからです。ベテランの方々の素晴らしい絵本の数々は違うところに価値があるので、今っぽくなくて良いのです!

とどのつまり、日常を軸としたストーリーの中での「描写」が今っぽいと「令和の価値観に寄り添ってくれているなぁ」と嬉しくなるのかもしれません。そう、絵柄ではなくて、描写!

これからのふさわしい表現

絵柄は個々の好みがあるのでそこでジャッジすることはできませんが、描写には「正解」がある気がしてきました。

昭和の絵本でお父さんが家でタバコ吸ってても気にならないのに、令和に発売された絵本で同じ表現だったら「不適切にもほどがある!」と感じたりして(実際読んでみないと分からないけど)。

これから絵本を描かれる作家さんへの要望としては、登場人物が自転車に乗るときは、大人も子どももヘルメット着用の義務付けをお願いしたいです!笑

改正道路交通法の施行によりヘルメット着用が努力義務化された当初は、私も「髪の毛つぶれるし嫌だなぁ」と思っていました。しかし子どもには必ず被らせている矛盾を重々承知していたので、いまでは自転車に乗る時はあたりまえに被っています。

堀江さんもヘルメットの需要性を発信されていました。ご自身が過去で自転車事故に遭い、ヘルメットを着用していたことで救われたことがあるそうです。


クレヨンしんちゃんも今放映されているアニメではチャイルドシートに乗っていますよね。表現の自由、という点ではこのご時世は作品の作りづらさがあるかもしれませんが…。そういうときは時代設定を昭和にするとか?
キャラクターが動物なら、ヘルメット未着用でも気にならないか否か。

終わりに

そんなこんなで長くなりそうなので、今日はここまでとさせていただきます。

ちなみに、超がつくほど漫画好きな私ですが今っぽいマンガ絵で描かれた絵本と、従来のオーソドックスな絵本との線引きに関してはストイックです。

あの素晴らしい「ノンタン」も登場時は「マンガっぽいから駄目だ」と批判されたらしいので、私の頭が固いだけで令和のマンガっぽい絵柄でお気に入りの絵本が現れるかもしれませんが…(というか、既にある)。
これは「マンガっぽい絵本は有りか無しか」という違う論点になるため、また違う記事で考えてみたいと思います。

それでは、ここまでお読みくださりありがとうございました!

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