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チェーンメール〜時代は変われど〜
何十年も前の話
私が小学生の頃、クラスメイトから同時期に同じ内容のはがきが届いた。
書かれてることと同じことを書いて5人だったか10人だったかに送ってほしいというもの。
途切れさせなければ、ギネスに載るのだとか。
ちょっと待って。
発信元も不明で、どこまで広がってるかもわからないものが、どうやってギネスに載るというのだろう。
万が一、証明できて載ることがあったとして、今回のように被って届いたはがきの判定はどうなるの?どちらかひとりの子のはがきに対応して、もうひとりの子には他の子に送り直してくれと頼むのが、妥当な対応だろうか?
送る子の心境
私に葉書を送ってくれた子は、また別の子から葉書をもらって、それを見て送ってきたに違いないのだが、その心境やいかに?
・本気でギネスに載るのだと信じている
・なにも考えず書いてあるとおりにしただけ
・付き合い
・よくわからないけどおもしろそうだから
私は、明らかにギネスは嘘だろうと思っていたが、信じている子がいて、自分を信頼して送ってきてくれているのだとしたら、その期待を裏切るのも申し訳ない気がした。
それで、母親に相談した。
こんなはがきが届いたのだけれど、どうするのがいいだろうかと。
そのとき、母親から、納得のいく答えをもらった記憶がない。
が、翌日か、翌々日だったか。
当時の担任から、クラスのみんなに向けて通達があった。
チェーンメールが流行ってるみたいだけれど、ギネスに載るということはないから、送るのはやめましょうと…。
え、それだけ?
っていうか、私がみんなのゆめ(期待)を壊しちゃったのかな???
先生の言うことはそのとおりだと思うし、送らないのが正解なんだということもわかるけど、実際に送っちゃった子がどんな気持ちでいたか、といったことへの配慮はまったくなされなくていいものなんだろうか?
きちんと悩んでいた私の気持ちは、母親にも先生にも素通りされてしまって、透明になった自分の中の、もやもやだけが、宙ぶらりんに浮かんでいた。
電子の時代
携帯電話が普及し、個人で持つのが当たり前になると、はがきではなく、電子メールでのチェーンメールが再来した。
私は小学生ではない。もちろん、私に送ってきた人も…。
本文の内容はギネスネタではなかったが、時代が変わっても、年齢を重ねても、人は同じことを繰り返すのだろうか?
そして今日
小6の息子に届いたSNSの、2つのメッセージ。
コピペで簡単便利。切手代もかからない。
SNSの運営会社がチェーンメールの危険性について実験してるということで、協力したら謝礼も弾むとか…。
本文の内容も形態も違えども、やってることは変わらない。そして、軽い気持ちで拡散しちゃう。
「信頼」とか「ゆめ」とか「期待」とかではなくて、なんにも考えてないだけなのかな。
大人に言われたことを、ただ、やっていたらいい。そういう教育だから、起こることなのかな。
だったら、みんなのゆめを壊しちゃったかもなんて、罪悪感を感じなくてもよかったのかもしれない。
大人になった、今の自分が、あのとき透明だった幼い日の自分の頭をなでなでしてあげよう。
「間違ってなんかないよ。教えてくれてありがとう」ってね。
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