WISHING"Road To Recovery" 01/14/21(2)疫病から風土病にするためにTo turn it from a plague to an endemic disease

地球は、定期的な新興病原体による疫病によって人口のかなりの割合を減少させることを人類集団に繰り返し強いています。

 紀元前の遠い昔、従来型コロナウイルスのひとつが、隕石がもたらしたのか森の奥からやってきたのか不明ですが、地球上のある村に突如として持ち込まれました。その村の全ての住民にとって未知の病気が流行りはじめました。あちこちで死者が出ました。子供と女性の死者は少なく、多くは老人と男性でした。
 皆が怖れて、病人の家には近づかないようになり、時には差別や偏見も生まれました。それでも疫病は収まらず、人々は疑心暗鬼に陥り、自然にお互いに接触することを避けるようになりました。
 数年後、村人の人口は6割に減りましたが、生存者の平均年齢は若返り、生殖年齢の女性の割合は増えていました。
 いつの間にか、あの疫病はどこへ行ってしまったのだろうというような日常が訪れていました。乳幼児がしょっちゅう風邪をひく風景は以前と変わりのないものでした。

以上が、疫病が風土病になる物語です。

新種のウイルスがヒト集団に持ち込まれた最初は、全年齢層にまんべんなく感染し、全年齢層から感染者が発生します。子供や女性は軽症で済むことが多いのですが、高齢になるほど、これまで出会ったことのないウイルスに対する死亡率は高く、大人の死者がたくさん出ます(449)。これが疫病の段階です。

一方、すでにヒト集団の中にいついたウイルスの場合は、集団のほぼすべてのヒトがすでに免疫を持ち合わせているために、再感染を繰り返しても軽症で済み、迅速にウイルスを排除できます。新たに生まれてきた乳幼児や子供たちだけがこのウイルスにかかることになります。ただし、子供は新種のウイルスにかかっても軽く済みます。私たちが見慣れているウイルス感染症の風景は、この風土病の段階です。

SARS、MERS、エボラは症候性であったために比較的隔離が容易で、感染地域外で疫病の風景を見ることなく済みました。しかし、SARS-CoV-2は無症候感染率が高く、かつ高い再生産数をもつウイルスであるために、私たちは初めて疫病の段階の風景を目の当たりにし、そして右往左往することになりました。

SARS-CoV-2は、疫学的にも免疫学的にも従来型コロナウイルスとそっくりの性質をもつことがわかっています。モデルシミュレーションによれば、従来型コロナウイルスと同じ物語が描けることが示されました。最終的にCOVIDが風土病の段階に達すると、致死率は季節性インフルエンザの0.001%を下回るようになります。

死者数を抑えると同時に、早く風土病の段階に到達するためには、とにかくワクチン接種を重症化リスクのある人たちからどんどん進めることが唯一の方法であるという結論になります(450)。

(449)

(450)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?