見出し画像

ウェブアクセシビリティ法規制の世界的動向について

前回、日本でのウェブアクセシビリティの法的義務化について記事にしました。
今回は、日本以外の、世界各国での取り組みはどうなっているのかを見ていきたいと思います。


主要な国々の法規制

Webアクセシビリティに対する法規制は、国によって異なりますが、共通しているのはデジタルコンテンツへのアクセスを全ての市民に保証しようとする目的です。
今回は、アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリアの法規制について解説します。

アメリカ合衆国

アメリカでは、障害を持つ人々の権利を保護する主要な法律に「Americans with Disabilities Act」(ADA)があります。
また、連邦機関のウェブサイトに適用される「リハビリテーション法第508条」は、連邦政府が購入または開発した電子情報技術が全ての人にとってアクセス可能であることを要求しています。

ヨーロッパ連合

ヨーロッパ連合では、「Web Accessibility Directive」と「EN 301 549」という規格を通じて、公共機関のウェブサイトやモバイルアプリが特定のアクセシビリティ基準を満たすことを義務付けています。

カナダ

カナダでは、「Accessible Canada Act」が導入され、アクセシビリティの向上を目指しています。
特に、オンタリオ州では「Accessibility for Ontarians with Disabilities Act」(AODA)がウェブアクセシビリティの基準を定めており、2025年までに公共および私企業のデジタルアクセスを完全に確保することを目標としています。

オーストラリア

オーストラリアでは、「Disability Discrimination Act」(DDA)が制定され、障害者が公平にサービスを利用できるように求めています。
これにはウェブサイトやその他のデジタルプラットフォームが含まれ、アクセシビリティガイドラインが実施されています。

法規制の比較

Webアクセシビリティに対する法的アプローチは、国によって大きく異なります。
主要な国々の法規制を比較し、違いを見ていきたいと思います。

法規制の厳格さ

  • アメリカのADA
    非常に厳格で、すべての公共の場所(ウェブサイトも含む)が障害を持つ人々に対してアクセシブルであることを要求しています。
    違反した場合の法的責任が重く、企業に対する訴訟も頻繁に発生しています。

  • ヨーロッパのWeb Accessibility Directive
    公共セクターに限定されており、私企業には直接的な規制が少ないですが、EU全体で一貫した基準を推進しています。

適用範囲

  • カナダのAODA
    オンタリオ州に特化しており、2025年までに州内のすべての組織でアクセシビリティを確保することを目指しています。

  • オーストラリアのDisability Discrimination Act
    より一般的で、すべてのセクターに適用される広範な法律です。ただし、具体的な実施基準は業界団体や地方政府によって異なります。

罰則の有無

  • アメリカ
    ADA違反に対する罰則が非常に厳しく、高額な賠償金が課されることが一般的です。

  • ヨーロッパ
    罰則は国によって異なりますが、違反に対して罰金を科す国もあれば、警告や是正命令のみにとどまる国もあります。

  • カナダ
    AODA違反に対しては罰金が科されることがありますが、その適用は州によって異なる場合があります。

まとめ

日本以外の各国でもウェブアクセシビリティに関する規制を多く行っており、また日本より早く規制が敷かれていたことがわかりました。
特にアメリカでは、違反していた場合には高額な賠償金が課される可能性もあり、取り組みの重要性がわかります。
日本では、まだ努力義務という段階ですが、今後より厳重になる可能性もあります。
引き続き動向に気をつけていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?