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「地面師」「原野商法」「手付金詐欺」…不動産に詐欺はつきものなの?

※この記事はNewsPicksトピックス「ロジカル不動産」で連載された過去記事を引用しております。最新記事はこちらからお読みください。

ロジカル不動産

正直不動産第9話は「地面師」の話でした。

見た方はもうおわかりかと思いますが、不動産売買における詐欺師(詐欺グループ)を地面師と呼びますが、記憶に新しいのは積水ハウスが55億円だまし取られた五反田土地事件でしょう。

お金を支払ったのに登記がされないときの担当者の冷や汗具合は想像するだけでゾッとします。そして不動産の怖さを思い知らされる話題です。

ただ、なかなか個人の取引に地面師はなかなか出てきません。なぜなら地面師としても相手を騙すために周到な準備をするため、取引金額が大きい事業用地などがターゲットになります。高くても数億という個人取引にはそこまでの労力が避けないというのが実態でしょう。(ただもちろん、出てこないというわけではないので注意するに越したことではないのですが)

となると、個人の取引で詐欺に合うとしたらどんな形?というのが気になりますよね。ということで今回は、「不動産詐欺」について語っていきます。

詐欺を受けるのは売る方よりは買うに多いので、今回は買う方にフォーカスした内容にします。(ただもちろん売却側が受ける詐欺もあるのでそれはそれで今度紹介します。)加えて、不当な価格で(新築ワンルーム)を売りつける、なども詐欺行為に近かったりしますが、事件性は低いあまりないためそれらも省略します。これは当然悪質なのですが、被害にあうほうにも一定の責任はあります。

当社TERASSはこのような詐欺が起こり得ないようなリーガル・取引ルールを設計しており、安心できる取引を提供しています。

手付金詐欺

さて、一番ベーシックなトラブルはこれだと思います。また、仲介側も売主側もやりえるため、注意が必要です。さらに、これは賃貸でも同様のケースが発生しうるので、賃貸派の人でも合わせてチェックしておきましょう

不動産購入の際には、契約時に物件価格の5-10%の手付金を払うことは一般的です。ただその手付金を払うときに現金で払う場合は気をつけましょう。売主に直接払う場合はまだしも、現金で仲介担当に一旦預けると言われた場合、その担当者が持ったまま消える可能性があります。また、売主に渡した場合でも、その売主が決済を履行しない場合はその手付金の倍額を払わすことができますが、その手付金を受け取った記録はないなどと主張する可能性もあります。

それを防ぐためには、

① 手付金の現金払いは極力避ける

ただし、仲介会社によっては、現金が鉄則としているところもありその場合はやむなしです。(これは契約行為と手付金の支払いは同時履行されるべきものであるという主張です。ただ、今どきオンラインで即時振込もできるじゃん、、と私は思います)。現金の場合は支払った履歴が残りにくいので、なにかトラブルが起きたときの経緯の確認が困難になる場合があります

② 仲介担当者に預からせない

一旦仲介担当者が手付金を預かり、私がデリバリーします。という提案があったときには最大限注意しましょう。そのまま消える可能性大です。仮に大手の不動産会社だったとしても、もしその担当者が個人的にお金に困っていたら苦肉の策でそれを持って消える可能性は大いにあります。その場合には所属会社が補填をしてくれる可能性は大手ほど高いでしょうが、不要なトラブルを避けるためにも避けましょう。また、賃貸の場合でも、敷金・礼金を管理会社ではなく仲介会社に振込む、もしくは個人の営業が一旦預かるという提案は全くもっておかしいので、指摘するようにしましょう。

③ 必ず手付金の領収書を受け取る

これは当たり前のようにも思われますが、書類が多い契約、また初めての不動産取引となると、受け取らないものなのかな、、と思ってしまうかもしれませんし、また普通に仲介側が忘れる可能性もあります。ただ原則として、支払った金銭を証明するものはどんなときでも受け取るべきということは覚えておきましょう。

④ 売主の登記情報、身分は必ず確認

当たり前のように思えて当たり前ではないことが起こります。眼の前で契約をしても、実はその眼の前の人が対象の不動産の本当の持ち主ではない可能性もあります。不動産投資の場合、存在しないでっち上げの物件の契約を行い、複数の買主から手付金を受け取り、そして消えるということもあります。契約時、当然重要事項説明ということでその物件の謄本や所有者情報を参照しますが、必ず書類は自分の目で確認するようにしましょう。

原野商法

古くからある古典的な詐欺ですが、手を変え品を変え、生き残っている詐欺です。未だに被害者が毎年発生し続けています。

何かというと、価値の低いものを不当に高く売りつける、というものです。

「ショッピングモールが建つ計画がある」や「駅ができる」というような値上がり期待をさせるような、しかしながら未確定情報をさも確定情報のほうに伝え、例えば普通は100万円の土地を1000万で買ってしまう、というものです。

また昨今では、組織ぐるみでの詐欺として、
「XXエリアの土地を探している。もしあるなら高値で買います」という土地を求めている営業の架電をしておいて、その後に「XXエリアの土地を急遽売る必要があり、買い手を探していて、、」という連絡が別の会社の人から入る。

そうなると自分はなんて幸運な人間なんだろうと舞い上がり、買って売るだけで数千万儲かるぞ、、と皮算用をし、土地を買ってしまうが、買ったら最後、買うと行っていた不動産業者は二度と現れない、、という話もある層です。

また、もう少し程度の低い話では、この土地にはこんなプランが建てられます。と歌っていた広告を見て購入したものの、そんなものはもとより規制の関係でできない、という形式の詐欺もありますので、必ず契約時直前の重要事項説明において確認するようにしましょう

対策として考えられるのは

① うまい話は信じない。必ずエビデンスをチェック

なんかもう当たりまえ過ぎて書くのも憚られますが、人は美味しい話はすぐに信じてしまうものです。

② セカンドオピニオンを取る

この土地ってどうなの?と一言他の不動産会社に聞けば「そんなわけないじゃん」となって終了です。それくらいの手間もかけずして得られる儲け話なんてないため、情報をしっかりと扱えるようになりましょう。

不動産という商材の特性上、詐欺が起こりやすい

まだまだありますが、今回は頻度の多いと考えられる手付金詐欺と原野商法について取り上げました。

「正直不動産」が今注目を浴びるということは、逆説的に「悪徳不動産」がはびこっているもしくははびこっていると思う人がいるからでしょう。

そして私はそれは残念ながらそのとおりであり、詐欺もしくは詐欺まがいなことをする不動産会社は未だにたくさんいると思っています。

これは、経験頻度が少ない・取引金額が大きい。という不動産の特性ゆえです。

将来この特性はどんなにテクノロジーが発達しても変わりませんので、ぜひ知識と蓄えて、ロジカルな判断ができるようになってもらいたいと思います。

また、何かあったときにすぐに相談できる、という存在を見つけておくことも大事ですよね。

それではまた。

※この記事はNewsPicksトピックス「ロジカル不動産」で連載された過去記事を引用しております。最新記事はこちらからお読みください。

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