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ドラマ正直不動産を解説します(第1話:アパートサブリース)

※この記事はNewsPicksトピックス「ロジカル不動産」で連載された過去記事を引用しております。最新記事はこちらからお読みください。

ロジカル不動産※ネタばれありです。

先週からNHKで始まった「正直不動産」。私も早速見ましたが、面白いですね。軽快な展開と、コメディ調の演出と、それでいて不動産知識がしっかりつくドラマになってくれそうですね。

ということで、不動産スタートアップ経営者目線で、正直不動産を解説していきたいなと思います。なお考察における数値などは私がさっとみた数値なので、あらかじめご了承ください。

あらすじは?

いやがらせオーナーの話もありましたが、正直不動産第一話はアパートサブリースの話が中心でしたね。本音しかしゃべれなくなった山P演じる永瀬が、トラブルが起きながらも最後は円満にことがまとまります。

30年一括家賃保証、かつ数年ごとに家賃協議をしてサブリース賃料を上げられるといって契約をこぎつけた永瀬。ただ、実際は途中契約ができ、保証家賃の値下げも可能という話です。(最後は信用して君に任すよ、、という話になりましたが、「いやいや契約内容うそつきの状態の契約だよ??」と突っ込みたくなりますね。笑 サブリース条項などは見直してほしいです)

せっかくなので、ドラマでは語られなかった部分をお話しします。

和菓子屋はアパートに、工場の土地を2件目アパートにするか、どうするかというところで、顧客を奪ったライバル営業桐山がアパートではなく売却を進める形になります。

ここで語られなかったのが「アパート経営させるのと、土地売却するのと不動産会社はどっちがいいの?」という点ですね。

売主目線において、(正しい)アパート経営がいいのか、土地売却がいいのかはもちろんその人・家庭によって変わりますのでおいておきます。

先に結論から伝えると、不動産会社にとってはロングで見るならアパート経営を提案。ショットで見るなら土地を売却してもらったほうが儲かることが多いでしょう。

解説していきます。

どんな状況?

まず、映像上の描写からわかっている情報としては、

建築費は1億円。

土地は「中野区鷺宮8丁目150番地2」
もちろん実在しない住所ですが、(鷺宮8丁目がそもそもないですね)実在する鷺宮6丁目とすると、下井草駅から徒歩8分くらい。和菓子屋さんということで、商店街の中にありそうな描写もありますが、立地はよさそう。

完成予想図を見るに、2階建て、1K8~12部屋くらい取れそうなアパートですね。

アパート建築費は、軽量鉄骨で建て坪あたり100万くらいが相場。アパートの場合、延床が土地坪と同じになることが多いので、100坪の土地ということになりますね。(描写上、100坪はなさそうな感じですが)

売却すると?

SUUMOで売り出しの土地を見ると、鷺宮・下井草の駅徒歩10分弱の土地で坪200万前後。坪200万としても、2億円の土地ということになりますね。

もしその土地を売却するとなると、2億円×仲介手数料。劇中にも出てきた両手取引(売り手も買い手も見つけてくること)ができれば、最大で6%の手数料を得ることができ、1200万。しかもアパート建築会社に紹介して売却する場合さらに紹介料も得れ、またその物件の賃貸客付けも独占で任される可能性が高いでしょう。固く見積もって1500万くらいの利益が見込めそうですね。

アパート経営となると?

一方アパート建築となった場合は、1億円の建築費に対して、建築費の3-5%を建築会社からの紹介料をもらい3-500万円。その後のサブリースで賃料の15%ほどが手数料で入るため、下井草の1kアパート相場ざっくり7万円として、7万円×12部屋×12か月で1008万円。おそらく保証賃料が850万円として、150万円が年間入ってきます。また、賃貸時の手数料や礼金なども入る可能性があるので、ちょっと多めにですが200万くらい得られそうです。それが毎年、ですので5年間で1000万。そうなると土地の売却と同じくらいの収益が見込めそう。

かつライヤー永瀬(山P)ともなれば、サブリースだからリスクはないことをいいことに、建築費を結構盛って提案してそう。そうなると上乗せ分はがっつりバックしてもらえたり。

ということで、売っても立てても不動産会社としては収益がたつようになっていますし、登坂不動産のような地場の総合不動産(地域密着で不動産にまつわることは何でもやる会社)は、土地を持っている地主さんとの付き合いを何よりも大切にすることがわかるかと思います。

「不動産を舐めないでください」

もちろん、収益のことを話してしまうと、「儲かりやがってけしからん!」と思う人がいますが、適切な資産活用、もしくは資産整理をプロとして手伝い、契約書を作成し、それに対する収入を得ることは当然の行為です。問題なのは、その裏側が理解されていないことでしょう。

このような、不動産の知識が身につく番組が始まってうれしいです。

劇中、山Pが契約前はリスクはないといっておきながら、本音しか話せなくなったら、「リスクはあるに決まっている」と吐き捨てます。

「不動産を舐めないでください」

というのが本音ですし、私もそう思います。

きわめて大事な資産なのに、いざとなったら「私を信用してください」の一言にころっと騙される。私は日本の不動産リテラシーを上げたいと思っていますし、自分が知識があること、不動産会社・不動産エージェントをどう活用すべきかわかってくる部分もありますので、ぜひ常々解説していきたいと思います。

ちなみに私は倉科カナ好きなので、2話以降の出演が楽しみです笑

さらにちなみにですが、私はTERASSという会社の不動産売買スタートアップを経営しております。IT・テクノロジーの力で不動産売買を超効率化しております。また正直不動産に負けるとも劣らない正直さでやっておりますので、不動産売買考えてらっしゃる方はぜひご気軽にご相談ください。


それではまた。

※この記事はNewsPicksトピックス「ロジカル不動産」で連載された過去記事を引用しております。最新記事はこちらからお読みください。

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