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やる気が、業務を放棄し始めてからだいぶ経ちます。

「もう、やる気を出したくないよ。」
「どうして?」
「どうしてもだよ。」
「そう。」

 10代の頃でしょうか、ある日やる気が突然業務を投げ出したのです。
どうしたのだろうか、愛が足りなかったのだろうか。
なぜ? ワタシはやる気に休息を与えたり、対話してみたりやる気が業務再開するのを試みました。

「ねえ、ほらセーラーメイトだよ」
「可愛くないよ。僕の好みじゃない」
「ほら、ニャンニャン投稿Zだよ」
「生々しいよ」
「じゃあ、ほらギルガメッシュナナナナーイト」
「もういいよ。」
「ま、待って」
「………」

 やる気は言葉を発することもなくなりました。
ずっと横たわったまま動きません。
ワタシは呆然と立ちすくむしかなかったのです。
ワタシは悩みました、苦しみました。
なぜやる気は業務放棄をしたのか。
それも10代というサッカーボールが顔面にぶつかった後の匂いが常にしているあの時期に。彼女も欲しいし、勉強もしなければいけない、ヤンキーに絡まれるかもしれない。この先、やる気が無い中でどう生きていけば良いのか。

★★★

早いものであれから10数年経ちました。
ワタシは、鎮皇になりました。やる気は相変わらず仕事をしておりませんが、鎮皇にはなれました。
やる気はその機能を失ったまま相変わらず寝たきりで動きません。
そして、とある日ワタシは、あることに気がつきました。

「やる気と、やるやらないは関係がない。やる気がなくてもやることは出来る。やる気に依存してはならない。」 
ということに。

そして、やる気はそのことを教えてくれるために突然業務を停止したのです。
それに気がついた瞬間、

「よく気がついてくれたね、ありがとう。」

と言い残し機能を停止したやる気も完全に消失しました。こうして、ワタシは完全にやる気は失いました。

やる気はありません。毎日だるいです、めんどくさいです、かったるいです。
でもやる気に頼ること無くとも、生きること、ことを成し遂げることは出来るのです。

これがワタシとやる気の物語です。

やる気ないからもうおうちに帰りたい。

完。


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