ARISTOLOCHIA SALVADORENSIS

アリストロキア サルバドレンシス
（ARISTOLOCHIA SALVADORENSIS）

コショウ目、ウマノスズクサ科、の多年生植物

中南米エルサルバドルの熱帯雨林の固有植物

アリストロキアの仲間は特異な形状をもった
ものが非常に多い品種となる。

袋状のこの大きさは小型の鬼灯（ホオズキ）
と同じ位である。これは芒（ホウ）と呼ばれ
花を囲む部位であり、花弁とは違う。これの
表面全体には独特の紋様が網目となって全体
を覆って、独特のアート世界を見せつける。
この美しい網目で飾られた袋は縫目部分から
三裂して大きく開く開いていくのだが中には
花弁らしいものは存在しない。


正面から見たこの植物のこの部分の印象から
スターウォーズの悪役の、ダースベイダーの
俗称でも呼ばれる。この植物の網目の入った
袋状の苞の奥に二つ見える白いものは球体に
非らず、奥の方へ落ち込んでいるロート状の
穴である。この奥からは悪臭が漂い、それに
誘われた蝿がこの中に落ち込む。受粉の為の
トラップとなっている。この中に落ちた蝿は
二度と這い上がる事はなく餓死してしまう。


この植物の解説記述で、食虫植物と紹介する
文章がネット上で散見されるがこれは誤り。
この花の受粉目的でありそこには捕獲虫類の
分解、吸収機能は花の中にはない。一般的な
食虫植物が虫を捕獲する部位の多くは葉っぱ
や根であって、生殖機能を持つこの部分には
他の機能はない。ちなみにこの花は一週間で
その役割を終えてしまうが、シーズン中には
次々と花を咲かせるのである。


学名アリストロキアという名がつく植物とは
複数種のものが存在しており、そのどれもが
ナイトメアに出るダークサイドビジュアル系
のものたちばかりである。


学名アリストはギリシャ語で『最良』の意、
ロキアは 『出産』を意味している。


今回紹介のサルバドレンシスは、その形から
『子宮』を模しているものと言われている。
この植物のこの立体的な苞を側面や背面から
見た時に女性の子宮のカタチに似ているとの
事でついた名称。


自然界のこれら造形を担当するアーティスト
やデザイナーがいるとするなら、その中にも
何人かは、この手のダークファンタジー系を
専門とする者がいる様である。

男の子向けのデザインと紹介したが、女性も
最近では『キモカワイイ』などのデザインに
興味を示す方々も増えているのだという。
それはそれで面白いと考える。


これは世界の珍奇種植物、ビザールプランツ
のひとつである。ただ、アリストロキア系の
植物は悪臭を放つことから、一般人がこれを
育てることはまずないと考える。

和名　馬之鈴草（ウマノスズクサ）
洋名　ダースベイダープラント
　　　（DARTH VADER PLANT）
学名　アリストロキア サルバドレンシス
　　　（ARISTOLOCHIA SALVADORENSIS）
分類　コショウ目、ウマノスズクサ科、
　　　ウマノスズクサ属
種類　多年生植物
草丈　１ｍ
開花　４〜７月
花色　茶
花寸　４〜６月
原産　中南米エルサルバドルの熱帯雨林
言葉　私を忘れないで
解説　アリストラキアは植物の世界の中でも
　　　特異な形状をもったもので、自然界の
　　　掃除屋である蝿を受粉媒介の為に悪臭
　　　で呼び寄せる植物のひとつとなる。
　　　エルサルバドル原産のパイプカズラで
　　　世界には５００以上もの種類をもつ。
撮影　京都府立植物園　熱帯ゾーン

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