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蝉ノ抜殻


蝉ノ抜殻 (セミノヌケガラ)



長くを土中で過ごした後に、地上に現れると
窮屈なその殻を脱ぎ捨てて空を飛んで樹々を
飛び回る蝉 (セミ)。その後に残ったのが
この、蝉ノ抜殻である。



何年か前のこと、岡山の女子高生が自由研究
で独自にセミの生存率調査を単独で実施して
(それを始めたのは、中学三年生の時の事)
「中四国地区生物系三学会合同大会」という
テーマ発表が、広島大学で実施されてなんと
高校生部門の中での最優秀に選ばれた。この
地道な研究を女性が、それも個人的な好奇心
からの地道な研究という事に私は感動した。



以前の記事でも書いた通り、女性は思春期を
過ぎた辺りで、虫に対する拒否反応が出る。
これは女性が自身の中に新たなる命を身体の
中に育める準備が整うと同時に、危険因子と
なりうる虫というもの全体を嫌悪対象とする
自己防衛&胎内生命防衛の二重のプログラム
が発動するからである、というのは私自身の
勝手な憶測である。



なので、この虫の研究を思春期である女性が
なしえたというのは、私自身スタンディング
オベーション並の快挙として心からその功績
を称えたものである。



セミの捕獲数は合計863匹。その捕獲した
セミの種類はアブラゼミ、ツクツクホウシ、
クマゼミ、ニイニイゼミ、など。たった一人
で2ヶ月の間にそれを実行したのは凄いこと。



個体識別法を使って、捕獲したセミの羽には
マーカーで記録を記載していく。これの結果
セミは地上にあがってからは、10日程度の
生存率であるとの一般的に浸透している概念
を覆して、以下の研究発表となった。



アブラゼミ   ▶︎ 32日
ツクツクボウシ ▶︎ 26日
クマゼミ    ▶︎ 15日
ニイニイゼミ  ▶︎ 個体数不足で不明



アブラゼミは、1ヶ月も地上で生きるなんて
ツクツクホウシもそれに近い日数を生きるし
逆にクマゼミは、2週間と意外と短いのか…



セミは土中においても、冬虫夏草などの菌類
により命を落とすものも多数ある。



また、せっかく地上に出たばかりなのに誰か
に踏んづけられてその命を落とした姿を見て
無性に悲しい気持ちになったりする。折角、
地上に出てきたのに、と手を合わせる。



だから、セミの抜け殻を見つけると私は無事
に空を飛び回って、全く違う世界をたのしむ
セミ達の姿を見るのが好きである。



このセミの抜け殻もまた、暗黒の世界からの
卒業おめでとうって気持ちにもなる。



セミノヌケガラの写真は、関西のあちこちにて。

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