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麝香鳳蝶


麝香鳳蝶 (ジャコウアゲハ)


チョウ目、アゲハチョウ科、ジャコウアゲハ属

下に掲載しているこのまるで海洋生物の海牛
(ウミウシ)や雨虎(アメフラシ)にも似た
この生物は、ジャコウアゲハの幼虫である。


何とも奇怪な造形で、中にはキモカワイイの
分類に含まれるやも知れない幼虫の姿である。


さて、この記事は『アリマウマノスズクサ』
の続編となっている。何がどうしてそうなる
のかではあるが、そこをこれから解説しよう。


六甲高山植物園の屋外に放置されている鉢植
の中に、蠢いていたのがこのジャコウアゲハの
幼虫であるが、本来ならばこんな幼虫などは
野鳥の餌食になるものである。我々の周辺に
いる雀(スズメ)などは、実は肉食に長けてる
鳥類であり、スズメガ、アオスジアゲハなどの
幼虫をガンガン突つき回して捕食する姿を私は
何度も目撃して写真に撮っている。残酷な場面
なので、このブログに掲載してないだけである。

カラスも肉食系のハシブトガラスもであるが、
普段は草食系を中心とするハシボソですらも
一般的な幼虫や毛虫類は啄む。


ジャコウアゲハのこの幼虫は、果たして大丈夫
なのであろうか?の疑問が湧く訳であるのだが
ジャコウアゲハの幼虫も、サナギも、チョウも
一切、これらの鳥は襲う事をしないのである。




ジャコウアゲハの幼虫が写真の中で齧り付いて
いる植物の葉は、アリマウマノスズクサである。




前回の記事にて、アリマウマノスズクサの葉は
アリストロキア酸という強毒性のアルカロイド
を含んでいる為、この葉を食すジャコウアゲハ
の幼虫そのものも、成虫となった蝶そのものも
猛毒生物となっているのである。


コレを食べようものなら、鳥は即座に悶絶して
食べたものを吐き出し、捕食対象から除外する。
このウマノスズクサなる植物はこの葉を食した
だけの、牛、馬、羊、山羊などの哺乳類の方が
その毒による重篤度が高いもので、あの世行き
の片道切符付きのものなのである。

長く間延びしたミッキーマウスの様なこの葉を
食べる事により、有毒成分を体内に取り込んで
自分自身が有毒生物へとなり自分の身を守る。
まさに『毒をもって天敵を制す』という戦略を
ジャコウアゲハはとっているのである。


ただのキモカワイイ幼虫が、無敵の生き物にも
見えてきた事であろう。


そんなジャコウアゲハ、世界のアリストロキア
の葉の捕食者となっている。


そして、優雅にも空を飛び回っているこれらの
姿は淀川の河川敷にて夏の終わり頃に撮影した
ものである。


求愛行為に励む彼らは、またアリストロキア種
の植物に卵を産み付けるのである。


そろそろ夏休みの宿題の自由課題を考える時期
毒草とそれを食む幼虫の種類を纏めるのも良い
かも知れない。


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和名 麝香鳳蝶 (ジャコウアゲハ)
   麝香揚羽 (ジャコウアゲハ)
洋名 チャイニーズ ウインドミル
   (CHINESE WINDMILL)
学名 アトロファネウラ アルキノウス
   (ATROPHANEURA ALCINOUS)
分類 チョウ目、アゲハチョウ上科、
   アゲハチョウ科、アゲハチョウ亜科、
   ジャコウアゲハ属、ジャコウアゲハ種
種類 アゲハチョウ類
全長 10cm
出現 成虫 春〜夏
食性 幼虫 アリストロキア類の葉
特徴 幼虫、成虫、共に有毒生物となる

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