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殿方の登場をただ待つ姫君


蓑虫 (ミノムシ)

チョウ目、ミノガ科


蛾のその幼虫が木の葉や小枝などを集めては
その身を守る為の単独用の防護巣を作る様が
昔の身に纏う雨具の蓑(ミノ)に似る事から
蓑虫(ミノムシ)と呼ばれているもの。


私の子供の頃には、ミノムシを使った授業が
あり、色んなの折り紙を手で千切ったものを
用意して箱の中へ入れてやる。


そこら辺の樹木を探せば、幾らでも見つける
事のできたミノムシを捕まえたのを、纏った
そのミノを分解して裸にしてやり、千切った
折り紙の入った箱の中に入れてやると、途端
にそれらで新たな巣を作るという理科と美術
の混ざった様な授業があった。


そんなのは私の小学校の頃だから70年代の
遠いお話である。今はもうミノムシの姿など
殆ど見かけないのが寂しくも思う。


連日の様に、猛暑、酷暑が報道される世の中
ミノムシの生存可能な環境から大きく外れて
個体数はどんどん減っていくのだろう。


オスは、ミノの中で蛹(サナギ)になった後
羽を持った姿となり、ミノの中から外の世界
へと羽ばたいて、メスのいるミノを探し求め
飛び回って、それを見つけるとメスのミノの
中に潜り込んでめでたくゴールインする。


この時はオスには、食べる為の口は存在せず
ただただ子孫を残す為だけの生き物となる。


メスに至っては、サナギから孵っても羽すら
生えずに、口もない姫君はただただ、殿方が
やってくるのをひたすらに待つだけとなる。


虫の使命は、生まれたら食べて生き延びる事、
そして未来への命を繋ぐ事の二つだけである。


無事にゴールインできた姫君は自分の身を守る
為のミノの中に無事に新しい命を産みつけると
そのミノを子に託し、中から大地へと身を投げ
そのまま土へ還ってゆく。悲しい姫君の一生の
お話である。


出会いがなければ、何も残すこともないままと
考えると殿方が来てくれた姫君はまだ幸せな方
なのだと思う。



和名 蓑虫(ミノムシ)
洋名 バッグワーム モス
   (BAGWORM MOTH)
学名 サイチダエ
   (PSYCHIDAE)
分類 チョウ目、ミノガ科
撮影 京都府立植物園


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