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茶ノ緑姫横這


茶ノ緑姫横這 (チャノミドリヒメヨコバイ)



カメムシ目、ヨコバイ科の昆虫。
ヨコバイの名称は、我々が近付くとその身体
を横へ横へと移動して葉の裏側などに隠れる
その横へと這う動きを指しての名称である。





成虫で越冬し、4〜10月にかけ発生する。
その間の発生サイクルは、6〜8回ペースと
なっている。卵は約1週間で孵化、約2週間
で成虫となり、平均寿命は約1か月と短い。


体長は成虫で3mm程度の大きさで、幼生は
身体の色がやや薄緑に青色掛かったものから
写真のものは成虫になる寸前のものとなる。



日本国内においては、この虫は吸汁性の昆虫
の扱いで茶畑に於いての害虫となり駆除対象
とされている。大量発生影響によって茶葉の
矮小化、褐変、落葉などの、茶葉の商品化の
阻害に繋がるものとなっている。


だが、しかしである。


日本国内で害虫とされているこの虫であるが
台湾の茶葉では、この虫をコントロールして
それにより高級茶葉販売されるものがある。


その名とは『東方美人茶』
一般のお茶よりもフルーティな芳香のお茶で
マスカットフレーバーなのである。香料を
足したものではない。


メカニズムはチャノミドリヒメヨコバイより
吸汁された茶葉が自己修復作業をする過程と
同時にフルーティな香りを漂わせるものだが
これは実は、吸汁するこの虫を討伐してくれ
とのサインで、このヨコバイを捕食する虫を
呼ぶためのSOS物質なのである。これより
その茶葉はマスカットの芳香を纏う高級茶葉
へと昇格するものなのである。


害虫を単に害虫として駆除するのもひとつの
考え方、それを多元的に捉えて分析の実施へ
突き進んだからこそ生まれた『東方美人茶』。


飲み比べたらすぐに分かるので是非ともお試し
を頂きたいのである。




日本茶の世界も伝統的であり素晴らしいが
台湾茶の世界もまた色んな意味で素晴らしい
ものである。こんな虫を活用した製法もだが
危険な崖に並ぶ茶の葉を訓練した猿に茶摘み
させていたという昔話もあるし、凍頂烏龍茶
などは、官民一体となり茶のブランド化へと
導いたなど素晴らしい取り組みがなされた末
香料を足さずとバニラエッセンスしたのかと
言われる程の甘い香りのするお茶で日本にも
多くのリピーターを持つものであり、花粉症
対策となるメチル化カテキンが多く含まれる
ものとなっている。


ジャスミンティに至っては、ガラスポットの
中花が咲いた様になるものもあれば、実際に
花が茶葉の中に仕込まれていて、華やかさと
香りと味と効能を楽しめる素晴らしいものが
ある。今度は台湾茶専門店の特集も組もうと
北浜の素敵なお店を思い出したのである。



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