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2023年 ベルギー・アントワープ 年越しの旅

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暴風雨が続くオランダ・フローニンゲンのアパートで暮らす大学生。ヒーターが壊れたため、年末、アントワープに旅に出た。 アントワープで全く無名の名作『フランダースの犬』で少年ネロが見…
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#一人旅

2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(9)

正月、お昼に街を散策の後、仮眠をとって起きたら、まさかの19時。 しかも外は生憎の雨である。 一年の計は元旦にあり、というジンクスを信じるのであれば、このまま何もしないことは良くない気がするが、濡れに行くべきか...と悩むも、今日は潔く眠ることに。 アントワープ旅行 最終日 あと数時間の間だけ、小雨ふるアントワープの街を散策する。 新年を迎えまだまだ疲れが抜けきっていないかのような、さまざまなものが散乱したままの静かな朝の街。 流れる音楽を追っていくと、大聖堂に辿り着

2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(8)

2023年から2024年へ あと1時間僅かの時間で2023年が終わる。 まだ何も終わっていないからか、あまり実感が湧かない。 しかしそれでもこのアントワープで一年を始められることは後悔のない選択だったと思う。けたたましく鳴り響く爆竹以外は・・・ 深夜、爆竹も鳴り響く中で人の流れを追っていく。観光客も、現地の人も、流れの中を迷いなく進んでいく。 その先にあったのはアントワープの市庁舎だった。 まだクリスマスの飾りが取り付けられたそこに、皆が集まり新年に思いを馳せる。きっと

2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(7)

アントワープの中心部は車も自転車も通り難い往来の激しい区間である。 そこで活躍するのがトラム。レールの上を走るこの電車は、そのまま郊外に出る時地下に潜り、メトロとして機能する面白い特性を持っている。 アントワープのシナゴーク アントワープにはユダヤ人が、昔も今も、多く住んでいる。 地図を見ると、建物の間に多数のシナゴーグが存在している。 トップページの写真も、いずれかがシナゴークなのだが、ぱっと見ただけではわからない。 見つけづらいのは、元々は隠れるためだったのか、ある

2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(6)

アントワープ王立美術館 アントワープ王立美術館には、様々な年代の美術館が時代を問わず展示されており、ルーベンスは勿論、教科書などで見たことがあるような有名な絵画まで所蔵されていた。 不満点といえば、現代美術とルネサンス絵画などが分類分けされていないところがあり、少し混乱したことだろうか。 プランタンモレトュス博物館 大印刷業を営んだプランタンが、印刷出版のための施設として、また同時に博物館としても運営していた場所である。 ルーベンスとも親交のあった彼の成果は、博物館を

2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(5)

ダイヤモンドの歴史を知る DIVA MUSEUM ダイヤモンドをダイヤモンドで研磨する技法はベルギーにて生み出され、その後回転盤を利用する技法など様々な技術がここで発達した。 このアントワープがそうした地として頭角を表した背景には、当時の百年戦争とそれによって起こる交易が深く関わってきた。 当時のダイヤモンドは希少であり、王への献上品として西へ東へ移動する宝石が集積するこの地は職人たちが宝石加工の研究を行える数少ない地であったのだ。 大きなダイヤモンドの加工が行えるように

2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(4)

アントワープ聖母大聖堂でルーベンスをみる 聖母大聖堂、カテドラルと呼ばれるものを、そこそこの数見てきた私は、この建築に対し、比較して考えることができるようになった。 入り口部分は、かなり古い様式で建てられたゴシック、その中でも比較的シンプルな構造であること。奥の方は新しく建て直されていること。 ステンドグラスは建築よりも精緻であることから、最低一回は貼り直されていること。尖塔が建てられたのは後からであること。そして、火事があったであろうこと... 建築から、様々な歴史

2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(3)アントワープのユースホステルへ

荷を下ろして街を散策すると、既に暗くなり始めていた。 曇り空に夕日は見えないが、しかしそれでも夕方の寂寥感は確かにあった。 広場には仮説の屋台が立ち並び、人の動きは活発で、どこからともなくドイツ語やフランス語、オランダ語まで聞こえてくる混沌とした様相を見せる。 まだクリスマスの用意が片付けられてはおらず、それがそのまま正月まで続くであろうことを予感させる。 さて年明けはどこで過ごすべきか。明日はアントワープの聖堂に行こうと決めて、今日はゆっくり眠ることにしよう。

2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(2)アントワープでフレンチフライ

フレンチフライ発祥の地? フレンチフライと言われるフライドポテト。 この料理がフレンチの名を冠するのは、この食文化を持ち帰ったアメリカ人がフランス語話者から伝え聞いたため、フランスの料理だと勘違いしたらしい。 実はその源流はこのベルギーのワロン地方にある。 河川が凍りついた時、じゃがいもを魚の小骨の大きさに切って食べたのが始まりなのだとか。 現代においてフリッツについて調べると、フリッツ料理を開業するための厳格な決まり事についてのサイトがヒットする。 大きさや揚げ方など

2023年冬 ベルギー アントワープ 年越しの旅(1)フローニンゲンからアントワープへ

フローニンゲンからロッテルダムへ オランダの冬は厳しい。これでもかというくらい暴風雨が続く。アパートのヒーターが使えなくなり、修理が年明けだと聞いて、旅に出ることにした。 朝のフローニンゲン駅の雰囲気はいつでも旅の始まりを感じさせてくれる。 空が明るくなった頃、ロッテルダム中央駅に到着。ここから慌ただしく次の電車へ乗り換え...のつもりが5分の遅延。いずれにせよ、実感が湧かないほど、国外に出るのが手軽なことには、いつになっても慣れない。 ベルギー アントワープへ 空