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J-OSLERの病歴要約こうやって書いた

前書き

病歴要約の二次評価が無事承認されました。J-oslerを通じて病歴要約の書き方を学ぶことができました。学びを共有したいと思います。

前提として、院内指導医は全てノールック承認、二次評価もやさしいご評価で差し戻しや否定的なコメントはありませんでした。いろいろ書きましたが、評価者ガチャが全てです。

対象とする読者
・内科を選ぼうか迷っている初期研修医、学生
・まだ病歴要約に取りかかっていない後期研修医

ルールブックについて

J-OSLERは様々な時期のルールがインターネット上に散在しています。
現在は、後期研修医3年目10月末までに29個の病歴要約を書いて院内の一次評価をもらうのが1個目の締め切りです。その後、2月末までに院外の二次評価をもらう必要があります。
症例登録もありますが、本ページでは病歴要約の話をします。

「専門研修の流れ」にはCOVID-19対応版と標準スケジュールが2個載っていますが、
COVID-19措置が恒久措置となったため既に標準スケジュールは廃止されています。

2023年、2024年にわかりやすいルールブックが発表されました。
【旧ルールブック】病歴要約作成と評価の手引き
【2023年10月】「作成の手引き」「評価の手引き」「COVID-19影響に伴う内科専門研修の措置について
【2024年7月】「J-OSLER病歴要約サンプル
評価の手引きも含め、病歴要約に取りかかる前に一読することをおすすめします。COVID-19に伴う措置はどの学年まで適応となるか毎年更新されているので、確認が必要です。

症例選択、担当期間にまつわるルール

症例選択のルール

下記は主な抜粋です。
・消化器は消化管・肝・胆膵から1つずつ。疾患群9「急性腹症」は消化管に使用できない。
・糖内は代謝・内分泌から1つずつ、total3
・外科転科症例は全身麻酔症例
29症例のバランスも考慮されるようなので、併存疾患が被りすぎないように心がけました。

担当期間のルール

初期研修症例、チーム制診療、異動、他科併診などで他の先生との被りの可能性が除外できていない症例も使用しましたがシステム上では特に弾かれませんでした。
担当期間が入院期間より少し短い症例も使用しましたが、評価者からコメントはありませんでした。

血液疾患における出血性貧血

「出血性貧血は血液疾患に相応しくない」という理由での症例差し替えの既報がありますが、2024年に血液疾患としての考察があればOKと明示されました。膵管出血の症例を出血性貧血として血液疾患に提出しましたが不問でした。

グズグズすぎる症例を避ける

『末期腎不全に対してこんな尿毒症症状が出たので療法選択を行い透析導入しました』といった型通りの症例が書きやすいと思います。
多少イレギュラーなことがあった症例でも、主病名と関わりのない点については記載を要約する(省く)、あるいは何故イレギュラーな選択をしたかについて全人的な考察を加えれば使用できると思います。厳選しすぎて締め切りギリギリになるよりは、どんどん書いてしまった方がいいと思います。
明らかに副病名である症例、経過が長く多数のプロブレムが重なっている症例、典型的な治療・検査を全く行っていない症例、外来症例は避けた方がベターかもしれません。

疾患群の変更について

疾患群の変更には症例登録の承認取り消し+差し戻しの2つの操作が必要になり、指導医の先生にご迷惑をお掛けし申し訳なかったのでなるべく避けたいところです。

のちの専門医での使用も考慮

当科では病歴要約に使用した症例の再利用ができないので、のちに専門医で使う可能性がある症例は温存しました。

入院後経過と考察

診断、重症度評価、治療を記載する

入院後経過は「診断の根拠、鑑別診断、重症度評価、治療の概略、転帰」、考察は「治療法選択の根拠となる文献+全人的考察一文」の順に記載しました。文献の検索にはPerplexityを使用しました。
全人的考察のネタがつきた症例では患者の趣味を生きがいとして紹介し自宅退院につなげたりしました。

病歴を要約しよう

主病名と関連のない併存疾患や既往歴については要約(省略)しました。

引用はPaperpileで生成した

引用文献の書き方で差し戻されたという既報があります。Paperpileでワンクリックで引用文献表示を出力してくれるので多用していました。

書式の統一

半角、全角やスペースの位置、退院処方の記載方法などの細かな表記揺れは決まりがないようです。29個の中で統一するよう指導を受けたという既報は耳にしました。
既往歴には発症年齢を記載しました。
薬剤は一般名で記載する必要があります。抗菌薬はアンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム ● g/day という形で記載し不問でした。
検査結果についてはインターネットでテンプレートをお示しくださっている先生がおられますのでご参照ください。
退院処方は一般名+一日総投与量で記載しました。主病名に合わせ少し要約しました。

誤字チェック

Wordの校正機能でも誤字を拾うことができます。私は更にラフラボに課金して校正機能を併用していました。

謎ルール

病歴要約の登録直前に『チェックリスト』という画面で改めてルールが表示されます。一応読みましたが、旧ルールブックの病歴要約サンプルを参考にしたルールで、全てに従うと文字数をオーバーすると思います。評価者ガチャによるところだと思います。

凝固の基準値

凝固採血には基準値の記載が必要らしい。

要約のサンプルにも基準値の記載のないものがあります。

現病歴には事実を記載する

事実と意見の混在

退院サマリでは「○○をうたがい、精査加療を目的に入院した」と現病歴を記載することが多かったのですが、客観的事実でない記載は全て考察に含めるべきとのことです。
外来初診までの経過を現病歴に記載し、「入院した」との文言がなく入院後経過に移行しているサンプルが2024年に示されています。

提出

一次評価提出後、二次評価を提出するのに何故か提出操作が必要です。
二次評価は提出2週間以内に評価されることになっていますが、数日過ぎてから「●月●日ごろになる見通しとのことです。」とメールが来ていた人もいました。

後書き

これが終わると、1-2割が落とされる試験を受ける権利を得られます。
迷いを感じる初期研修医の先生は内科をやめておいた方が無難だと思います。
既に内科に進まれた方は、事務手続きだと思って頑張りましょう。

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