生物

緊急自体宣言の終わり頃、布団に転がって天地創造デザイン部という漫画を読んでいた。この本は、動物たちがどんな風に生きているか、体の仕組みがいかに優れているか、そのデザインを面白おかしく紹介している本なのだが、読み進めているうちに、なんて人間はちっぽけなんだろうかと声が漏れた。

さまざまな生物がもっている生きていくための仕組み、生き残るための仕組み。それらすべてをひっくるめたデザイン。空を飛ぶためのデザイン。身を守るためのデザイン。体温。骨。筋肉。栄養。排泄。繁殖。どれも淘汰されて磨き上げられている。

そういうものの偉大さの前には、人間の個性は大したことがない。反芻する。走るのが遅いとか、髪が薄いとか、声が小さいとか、背が低いとか、太っているとか、そういうあらゆる悩みが、果てしなくつきまとうのが人間だけれど、大枠として、デザインとして同じ種でしかない。星一つ離れた世界の住人からは、僕とトランプ大統領の区別さえできないだろう。

だから許されていると思う。自分が存在することを世界に容認されている。多くの欠点を抱えているにせよ、自分が、生命としてきちんとデザインされていた。これを覚えている間は、安心して夜を迎えることができるだろう。大げさな話かもしれないが、宗教を持たない僕らには、何かそれらしい拠り所が一つでも必要なのだった。

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