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行き場のないこの手は、気づけばまた、カップに延びている

目を開ける。
目を閉じる。

再び開いた目に映る時計の針。
思わず飛び起きる癖さえも抜けた
8日目の昼下がり。

いつもは出しっ放しのよそゆきのヒールも
今は靴箱で惰眠を貪っている。

優雅なブランチとは似ても似つかない
食べかけの出来合ものが喉元を過ぎたころ、
ゴミ出しを忘れていることに気づく。

ビンや缶の詰まった袋を手に
軒先に出た私の眼に映る
荒らされた袋と幾羽かのカラス。

「そっか、火曜日か。」

この時間であれば得意先に
少し高めの声を届けるはずのこの口は
時折行き来するカップのふちの
相手をするのに忙しい。

気づけば空で歌えるようになった
J-POPの新曲と一気見した映画のDVDだけが
ループして傾く太陽の影。

有り余った時間は
容量オーバーの不平不満不安を
吐き出させるには十分過ぎて。

休まる身体と安まらない心。

減りゆく収入、増し増す支出。

"あやふや"と"うやむや"のこの世の中で
私が掴める確かな温もりに、
今日もこの手は吸い寄せられて。

🍀気づきと、希望と、キッカケと。🍀 2年間、教師ののちテストを作る編集部 学童、パソコン教室を経て、 ゲーム関係のカスタマーサポート。 「生まれたての感情を孵してゆく」 https://mobile.twitter.com/EGG_TODAY